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歌唱 おかあさんおとうさん

「おかあさんて、いい匂い」と、シャボンの泡や卵焼きの匂いをさせる母を歌いあげる、有名な童謡「おかあさん」には、実は3番と4番の歌詞がありました。

  おとうさん なんだい
  おとうさんって いい匂い
  タイヤを替えてた匂いでしょ
  油にまみれた匂いでしょ

  おとうさん なんだい
  おとうさんって いい匂い
  お仕事していた 匂いでしょ
  血水と汗の匂いでしょ

____

この歌詞は、まったくのでっちあげです。私が書きました。

私は、子どもらが小さい時、この歌に感じていた、そこはかとない切なさを、短いエッセイにしました。その時に、コメント欄の返信の一つに、「おとうさん」で歌詞を足してやりたい、と書いたら、すかーれっとさんが、書いて、と、けしかけてくれました。その提案コメントに、水野うたさんとゼロの紙/元コピーライターさんからのスキマークが。それで、すぐ書いてみました。

童謡「おかあさん」の世界感は、1960年頃の、明るく平和で、まだ貧しいけど満たされている、戦後の新しい家族像。手に入れてないかもしれないけど、そうであったらいいな、というような。私には、長い間専業主婦をしていた母がいました。私の両親は、この歌の雰囲気がぴったりあてはまるような、若い父母であった気がします。

「おとうさん」は、卵焼きや洗濯の泡のにおいがするおかあさんの連れ合いとして、イメージしました。今の言葉で言うステレオタイプ、とか、みんながそうじゃない、と言われたら、まったくその通りです。おかあさん、と呼ばれる人もみんなが、その当時も今でも、卵焼き焼いてニコニコしているわけではありませんから。

そして、時代をかえて、歌詞を書いてみました。
(歌詞というより、川柳に近い気がします。)
それぞれの設定は、わざわざ書くのもなんだし、ご想像におまかせします。それぞれの時代の中での、私が持つイメージの一つです。

昭和末期版

  おかあさん なあに
  おかあさんって いつ寝るの
  おべんと 作って 全部して
  仕事も行ってて パパもいて

  おとうさん なんだい
  おとうさんって いばってる
  男が そんなにエラいわけ?
  男に 生まれて よかったね

平成版

  おかあさん なあに
  おかあさんって おこりんぼ
  お仕事 大変みたいだね
  わたしの発表 見にこれる?

  おとうさん なあに
  おとうさんって ちょっとクサい
  オジサンみたいな 匂いだね
  さようなら また来てね


令和版

  おかあさん なあに
(おとうさん)  
  おかあさんって なんでも屋
   (おとうさん)         
  ときどき おとうさんみたいだね
       (おかあさん)     
  ワンペア育児って言うんだね

  おとうさん なあに
  (おかあさん)    
  おとうさんの 好きな人
 (おかあさん)     
  ちょっとママにも 似てるのね
      (パパ)       
  ママは元気よ それじゃあね
(パパ)         

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これが、書いたエッセイです。


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