Disney、Netflix、Amazon、ワーナー、HBO,Appleとこれからの映画産業


Disney

先日ウォルトディズニーの株価が上場来高値を更新した。このコロナ渦でディズニーランドも集客がなく映画も延期に次ぐ延期でろくに公開していないのに収益源は?何故?と思う方も多いかもしれない。

大きな理由は2019年11月から世界138ヶ国でサービスをはじめサブスクリプションのオンライン動画配信サービス『Disney+』だ。日本では月額770円でディズニーグループの劇場公開済み映画や『Disney+』のみで配信される独自の作品が観れるサービスだ。昨年ディズニーが買収した20世紀FOXの作品は日本では観れない。別チャンネルを作る予定だ。

当初2024年までに全世界で加入者6,000~9,000万人との自社予測を発表していた。20年度12月2日時点での総加入者数が1億3,700万人突破した(Hulu含む)。2024年までに最大3億5000万人になる可能性があるとの大胆な予測を発表した。コロナ渦の篭もり需要もあり1年も立たずに達成してしまったのだ。とてつもない上方修正である。劇場公開予定だった実写版ムーランを延期に次ぐ延期で独占配信に踏み切った。月額+追加の3000円支払い程度で『Disney+』で配信した。劇場で観るより高いと思うかも知れないが家族や友人で観ればすぐ元が取れてしまうだろう。おまけに複数回観れる。

そして『Disney+』の目玉として先日公開されたピクサー・アニメーション『ソウルフル・ワールド』だ。ピクサーの150億円も掛けた新作が『Disney+』でしか観れないのだ。本作は月額770円だけで観れてしまうようだ。これは凄まじい。映画館で観れば割引を使っても1000円~1300円くらいだ。音響やスクリーンの差はあれど自宅である程度環境が整っていればそれで満足する人も多いであろう。

さらに現在配信中のマーベルドラマの『ワンダ・ビジョン』3月に『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』5月に『ロキ』と次々に加入者が増えそうな作品がリリースされていく。ディズニーは『ソウルフル・ワールド』等の映画館公開の見送りの発表後、欧州の映画館経営者を代表する国際映画館連合から猛反発を受けている。当然映画館の存続に関わるからだ。ディズニーが行えば競合他社も追従するであろう。

映画館と映画製作会社の取り分は会社によるが50:50位。 映画制作会社はこれに劇場公開後にリリースするDVDブルーレイの売り上げも入る。DVDブルーレイも動画配信サービスにより淘汰されていくので。新作を劇場公開と同時配信されたら映画館側の売上は減るだけで済むが動画配信のみなら1円も入らないのである。死活問題だ。

ワーナー・ブラザース

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『ワンダーウーマン 1984』を劇場公開と同時に動画配信サービスHBO Maxでも配信することを発表していた。ワーナーは米大手通信業者AT&Tにより2018年に買収され子会社等扱いになっている。

HBO Max

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米国で20年5月から開始した動画配信サービスだ。料金はアメリカでは月額14.99ドル。HBOと言えば昨年世界中で大ヒットした(日本ではヒットはしていない)海外ドラマ『ゲームオブスローンズ』の製作会社だがこちらもワーナー同様AT&Tの子会社になる。

先日ディズニーの大幅な方向転換位にヤバいと思ったのかワーナーブラザースは21年度の劇場公開予定作品『ザ・スーサイド・スクワッド』『DUNE /デューン 砂の惑星』『ゴジラ VS コング』『マトリックス4』等の大作20作品以上をHBO Maxと同時に公開すると発表した。買い切りではなくHBO Max契約者は月額費用のみで観れるそうだ。これはまた映画業界に凄まじい影響が出るであろう。HBO Max日本ではまだ対応していないため今のところ国内では劇場公開のみであるが近いうちにHBO Maxもサービス開始するであろう。

Netflix

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月額ベーシックプランは800円、スタンダードプランは1,200円、プレミアムプランは1,800円。最近少し値上げ。時価総額25兆円 元はビデオレンタル業社だった。日本で言うところのTSUTAYAにあたる。ネット配信に方向転換して成功を収めた。『ストレンジャー・シングス』等オリジナル作品で順調に会員数を増やしている。マーティンスコセッシやデビッドフィンチャーの大御所にも自由に作品を作らせている。日本では『全裸監督』を配信したが題材的にも日本の会社ではキャスティング、予算、にはゴーサインはまず出ないであろう。オリジナルの作品数は他社と比べてもダントツでありクオリティーの高い作品も多い

Amazonプライム

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 月額他サービスも同時に受けられる。J・R・R・トールキンの有名小説のドラマ版として『ロードオブザリング』を製作中。映画版より前のストーリーになり同じキャラクターもでるそうで相当力を入れている。公開はコロナの影響で遅れているが2021年末か2022初頭であろう。

時価総額170兆円一時期はAppleをも超える時価総額でありCEO(最高経営責任者)のジュフ・ベゾスは昨年浮気写真がバレて離婚しメディアを賑わせたのは記憶に新しい。1994年に創設し1代でここまでの企業にしてしまったのがすごい。資金力があるのでどこを買収してもおかしくない。

Apple

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 Apple TV+ 月額600円 現状は他配信サービスと比べるとオリジナル作品も少なく弱い。最近スティーブン・スピルバーグ製作作品も発表している。『Apple TV+』もだが世界で一番時価総額が大きい会社でもある。株式時価総額200兆円越えでディズニー同様FOXやマーベルを買収したようにディズニー、Netflixをする可能性もあり昨年から噂が立ったりすることもあった。最近ではEV自動車に参入することも表明した。

映画館のこれから

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映画館はかつてレンタルビデオ業界やCDレコードショップが通った道と同じになりそうだ。10年位前米国でのビデオレンタル最大手ブロックバスターが動画配信ストリーミングサービスの波に乗れなく倒産していったように。映画館も需給に合わせて方向転換出来なければ同様の末路になるであろう。日本国内では東宝が映画館最大手になる。映画自体も製作しているし業績も好調だがAmazonやNetflixのようなプラットフォーマー向けに映画製作するだけの会社になってしまうこともあり得るのではないか。

どう考えてもアメリカ資本の動画配信サービスの台頭により日本の映画館に来る人は大幅に減るだろう。生き残るのはIMAX級の大型スクリーンがあり大音響で観れる映画館くらい。ミニシアターは潰れ、シネコンも数年で今の半分になるかも知れない。料金形態も変わると思う。映画館の魅力は周りの観客の反応が面白い、音響が家庭では絶対にだせないとかだろう。観客の反応は逆にデメリットにもなり得るが。

そもそも映画に年1回すらいかない人もいる。私はコロナ前は月に2ー4回は行っていた。今では3ヶ月にに一度も行かない。新作がやっていないのもあるし家で映画を観るのが日常となってしまったからだ。自宅から徒歩10分に映画館があるのに人混み行くのが嫌になってしまった。

ミニシアター系の映画は家でいいやって感じにもなってしまったし、最近海外ドラマの方が面白い。動画ストリーミングの台頭により映画の上映時間、等の概念も変わってくるのではないだろうか?家で見るのであればトイレの時に一時停止出来るし、映画の時間そのものも気にする必要があまりない。映画館側の回転率を上げる為に上映時間を少なくする会社側と自分の作品表現として上映時間を増やしたい監督側の対立がなくなる。ある程度の長編映画(2時間半以上?)であれば2ー3分割で配信も普通になるであろう。現にNetflixではリミテッドシリーズとして映画を分割したような作品もいくつもある。

近いうちに映画は2時間という概念、ドラマ、映画の形態区別は無くなるのかもしれない。

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