赤坂優太

「働く人の生きやすさ」をミッションに、人材育成/組織開発を生業にしています。 部下との…

赤坂優太

「働く人の生きやすさ」をミッションに、人材育成/組織開発を生業にしています。 部下とのコミュニケーション、キャリアの考え方、研修のつくり方、人事という仕事などについて書いています。 部下を持つ人、研修担当になった人、人事という仕事に興味のある人などに向けて書いています。

マガジン

  • 「現場リーダー」に向けて(現場の中でメンバーを育てる)

    「現場の中」で、日頃の仕事を通して、社員を育てる現場リーダーに向けて。主にフィードバックの記事をまとめています。

  • 「人材育成担当者」に向けて(社員を育てる仕組みづくり)

    「現場の外」から、仕組みによって、社員を育てる人材育成担当者に向けて。主に研修デザインの記事をまとめています。

  • はたらく幸福論

    「はたらく」にまつわる幸せや悩みについて。個人的/個別的なことなので、そんな考え方もあるな、くらいに肩の力を抜いて読んでみてください。主にキャリア観/就活/働き方についての記事をまとめています。

  • 研修の作り方

    研修を受けたことのある人はたくさんいる。では、研修を作ったことのある人は?研修の作り方についての記事をまとめています。

  • 人事という仕事

    人事という仕事のなかで感じた、喜びやもどかしさ。個人と組織の両方に、片足ずつ乗せる人事という仕事。足並みが揃ったときの喜びと、揃わないときのもどかしさ。

最近の記事

  • 固定された記事

「現場感のある研修」のつくりかた

人材育成担当者が「良い研修」を作っていくためのヒントを書き連ねています。 今回は、研修と現場のつながりについて考えてみます。 忙しいなか、現場を「離れて」研修に行く意味とはなんでしょうか? 研修が現場とは「別の場所」で行われるがゆえに必要なこととはなんでしょう? 望ましい研修の姿としてよく使われる、「現場感のある研修」という言葉。これを中身のないスローガンとせずに、効果をともなった研修に落とし込むための方法について書いてみます。 受講者は現場で「もう一度」学ぶ「研修

    • 会社でのあいさつは、「お疲れ様です」ではなく「こんにちは」にしている

      タイトルのままなのだけど、会社(フルリモートで働いている私の場合はオンラインミーティング)でのあいさつは、「お疲れ様です」ではなく、「こんにちは」と言うようにしている。 さらに、心なしか、声量と声のトーンを上げて、「こんにちは⤵️」ではなく、「こんにちは~⤴️」といった感じに。 もちろん私も以前は「お疲れ様です」と言っていた。 「なぜ?」と聞かれても困るくらい、無意識のうちに。 いま会社で「お疲れ様です」とあいさつしている人に、「なぜ『お疲れ様です』なんですか?」と聞いた

      • 「いま私に言ってくれた言葉を、そのまま本人に伝えていますか?」

        人や組織にまつわる相談を受けていると、頻繁に感じることがあります。「それをそのまま本人に伝えたらいいんじゃないですか」という思いです。 これはなにも、「私のところにそんな面倒な相談を持ってこないで、自分で本人に伝えてくれよ」という投げやりな気持ちからではありません。そうしたほうが事態が好転するはずだ、という左脳的な判断であり、右脳的な信念でもあります。 よくある相談たとえばメンバー育成について。 「何度言っても仕事ができるようにならない」という相談を受けたとします。相談

        • 読み手のことを考えてはいけない

          文章の書き方を指導していると、「読み手のことを考えてはいけない」と口にしていることがある。 「読み手のことを考える」ではない。 「読み手のことを考えては『いけない』」のだ。 文章の書き方に戸惑っている人は、「こういう書き方で失礼にあたらないでしょうか…」という戸惑いを吐露することがある。この逡巡は、読み手のことを考えているようで実は、「私は読み手にどう思われるだろうか」というふうに、書き手である自分のことを考えてしまっている。 読み手のことを考えているうちに、書き手であ

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        「現場感のある研修」のつくりかた

        マガジン

        • 「現場リーダー」に向けて(現場の中でメンバーを育てる)
          56本
        • 「人材育成担当者」に向けて(社員を育てる仕組みづくり)
          59本
        • はたらく幸福論
          28本
        • 研修の作り方
          17本
        • 人事という仕事
          17本
        • タスク管理「再」入門~「働く人の生きやすさ」のために~
          9本

        記事

          本人のキャリア自律のために「何」を支援する?

          若手の育成を、世代論に矮小化せずに、キャリアを取り巻く不可逆的な環境変化から見通そうとしており、共感の深い一冊。 若手の育成を世代論として捉えることは悪手だと思っている。その理由は、この一説に集約されている。 では、〈キャリアを取り巻く不可逆的な環境変化〉とは一体何なのか。本書でいくつか挙げられているなかで、最もインパクトの大きいものが《選択の回数が飛躍的に増えた》ことだと思う。 《選択の回数が飛躍的に増えた》というのは、見方を変えると、〈【いま】の有限性〉を意識せざる

          本人のキャリア自律のために「何」を支援する?

          良い研修にするために「き」をつけること

          今まで書いてきた研修の作り方にまつわる記事たちをまとめてみる。 乾き ⇔ 裁き研修設計というと、「研修の中身」に目が行きがち。それはもちろん大切なのだけど、もう一つ大切な観点があって、それが「受講者のレディネス」だ。 極めて原理的なことを言ってしまえば、本人の意欲が発現しさえすれば、人材育成担当者としては、もう出る幕はない。本人の「喉の乾き」は、学びにおける最大のリソース。 一方、「乾き」との対比で気をつけたいのが、「裁き」だ。 企画者や講師の、無意識を含めた上から目

          良い研修にするために「き」をつけること

          人は「やればできる」のか?

          「やればできる」というのは、真理ではなく心理についての命題だと思っている。 つまり、客観的事実あるいは世界の理について言っているのではなく、「私は世界をどのように見ているのか」という世界観あるいは信念についての言明。信じるか信じないかなは、あなた次第です、というやつだ。 「やればできる」を遂行的に捉え直すと、仕事におけるハイ・スタンダードを維持する、ということになるのかもしれない。 そして、その遂行性を高めるのにいちばん大切なのことって実は、《私はこれを何度も体験しまし

          人は「やればできる」のか?

          心理的安全性と責任

          羽田と成田を間違えたときに、あなたならどうしますか? 「ご自分だったらどうなさいますか」というのは、心理的安全性を醸成するテクニックの一つだなと感じた。 責任って不思議な言葉だと思ってて。 それこそ「無限責任」というトートロジーな言い回しがいちばんそれを表していると思うのだけど、この「責任」という言葉が持つ暗黙的な暴力性(だから、責任という言葉というか、この言葉を安易に持ち出す人を好きになれない)をうまく飼いならすことが、心理的安全性を確保するひとつの方略だと思う。

          心理的安全性と責任

          「成長課題を設定する」ことの大切さ、難しさ、やり方

          現場の人に振り返りを「やってみよう」と思ってもらうために試行錯誤するなかで、経験学習を「サイクル」ではなく、インプット/プロセス/アウトプットという「ステップ」として捉え直すことを思いついた。 これが現場の人にはわかりやすいようで、振り返りについて相談を受けたときによく持ち出している。そんな経験から、物事の捉え方(概念の構造)として、「ステップ」という枠組みが、現場の人にとってはわかりやすいのではないだろうかと考えるようになった。 「ステップ」というフィルターを通していろ

          「成長課題を設定する」ことの大切さ、難しさ、やり方

          僕の仕事

          今度の4月で、人材育成や組織開発の仕事を始めて10年になる。 その質はどうあれ、曲がりなりにも10年やってくると、いろいろなことが自分の中に(澱も含めて)積み重なる。玉石混交の経験のミルフィーユを横から眺めていると、いったいこれはどんな味がするんだろうと考えるときがある。 僕の仕事って、いったい何なんだろう。 『メンテナンス。努力と結果をつなぐもの。』そういうとき、僕の中でいつも浮かんでくるキーワードがある。 「メンテナンス」だ。 この表現が自分の中で大きな場所を占

          振り返りを「これならできそう」と思ってもらうために

          振り返りに関して以前、経験学習を「サイクル」ではなくてインプット/プロセス/アウトプットという「フロー」で捉えてみることを書いた。 インプット/プロセス/アウトプットで捉えるとさらに、振り返りの質を上げるための方法も見えてくる。 入り口であるインプット(具体的経験)の解像度を上げる、というものだ。これは「記録を取る」という一点に収斂していく。 インプット/プロセス/アウトプットという説明は実際、現場の人にとってすごくわかりやすいようだ。説明したときの顔が明るい。振り返り

          振り返りを「これならできそう」と思ってもらうために

          「部下が1on1で本音を話してくれない」問題

          1on1の推進に関わっていると、いちばんよく聞く悩みがこれかもしれません。 ちなみに、この悩みは、1on1の「導入」期においてはほとんど聞かれません。導入したあと、ある程度回数を重ねた後である「浸透」期だからこそ、出てくる悩みだと思います。 そういう意味で、この悩みを相談されたときは、「あ、ちゃんと1on1やってくれてる!」と前向きに感じますし、実際そのように相談者に伝えます。そうすると、その相談者は顔を明るくします。 この余談についてはまた別の機会に書くとして今回は、

          「部下が1on1で本音を話してくれない」問題

          タスクをナラティブで書く

          タスクのためのタスク管理ではなく、人のためのタスク管理を思い描いて、タスク管理に「再」入門しているわけだけど、最近よく人に勧めるのが「タスクをナラティブで書く」というTipsだ。 タスクをナラティブで書いてみるとこうなる「タスクをナラティブで書く」とは煙に巻いたような言い方けど、やってることはなんてことはない。ToDoリストや作業メモに書き込むタスク名を、話し言葉で書くということだ。「今日やろうと思っているタスク」とか「今から取り掛かるタスク」のような「鮮度の高い」タスクに

          タスクをナラティブで書く

          「対話型の学びの場」は誰を救うのか

          リクルートワークス研究所の『対話型の学びが生まれる場づくり』(以下、元記事と呼ぶ)と、それに対する実践知を紹介したうえむらさん(note/X)の記事と、それらにまつわるうえむらさんとのやりとり。 このやり取りを通して、「対話型の学びの場」と「研修」という対比が私の中で立ち上がってきた。《対話型の学びが生まれる場づくりは難しくもあり、とても面白い領域ですよね。「研修」との接続を考えることもまた面白さを感じます》という言葉から、自分なりに「対話型の学びの場」と「研修」の関係性を

          「対話型の学びの場」は誰を救うのか

          朝型の自分が「自分のための朝時間」を過ごしたあとに感じること

          私は思えば子どもの頃からずっと朝型で、その日までにやらなきゃいけない宿題やレポートがあると、前の日の夜遅くまでやるのではなく、「その日」の朝早くにやっていた。 朝早くというのが具体的にどれくらいかと言うと、朝5時とか、これはやばいとなったら朝2時とか。でもそのぶん夜は9時前には寝ます。(普段からだけど) ショートスリーパーというわけではないんです。 こういう話をすると、朝型っていいですね、すごいですね、自分も朝型になろうとがんばってるんですみたいな反応をされることが多いけ

          朝型の自分が「自分のための朝時間」を過ごしたあとに感じること

          「複数の業務を担当する」という身近な人的資本経営

          ある日の新聞記事から。 マルチタスクを導入した当初の目的は人手不足解消や収支改善だったが、副次的な効果として、従業員の視野が広がるなどの効果があったとのこと。 この現象を、《人手不足解消や収支改善》という経営の観点と、「本人の成長のための経験学習」という人材育成の観点とのバランスとして捉え直すと、こんなふうに見えてくる。 《レジや会場整理》といった仕事を「費用」として捉えると外部化(派遣社員、アルバイト)という方向性が出てくる。ところが、外部から労働力を調達できなくなっ

          「複数の業務を担当する」という身近な人的資本経営