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リモートワークで成果を上げる「ヤフー流コミュニケーション」10個のコツ

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、さまざまな企業がリモートワークを実施しています。ヤフーでも2月下旬から在宅勤務推奨、4月上旬から在宅勤務指示となり、多くの社員がリモートワークで業務を進めています。

ただ、オンラインのみでのコミュニケーションは、対面コミュニケーションとは異なり、「不自由」「不便」「気を遣う点が普段とは違う」など、誰にとっても簡単ではありません。
そのため、チーム内や上長とメンバー、メンバー同士の密なコミュニケーションがとても重要です。また、職種や業務内容によって、最適な方法は異なるため、パフォーマンスを維持・向上させるために最も良い方法を模索していく必要があります。
ヤフーには「1on1(上司と部下の週に1回の対話の場)」など日常的な対話を重視する文化がありますが、その分、オンラインに移行してどうなってしまうのか未知数な部分がありました。しかし、結論として、多少の不便はあっても「オフラインでできることはオンラインでもすべてできる」ということがわかってきました。
これまでの約3カ月間にヤフー社内で推奨されてきた、成果をあげるリモートワーク・コミュニケーションの10個のコツをご紹介します。

1.積極的なコミュニケーションが必要

リモートワークの環境では、オフィスで顔をあわせている環境に比べると、表情や気配といった非言語の情報が少なくなります。周囲の人について自分が得られる情報も、自分について周囲が得られる情報も、格段に少なくなるため、相手が問いかけてくれる、察してくれるのを待つのではなく、相互に意識的にコミュニケーションをとることがとても重要です。知って欲しいこと、伝えたいことは、いつも以上に文章をていねいに書いたり、オンライン会議で話したりして伝えることが必要です。

2.「対面コミュニケーションと違って不便」はあたり前

オンラインミーティングツールなどはとても便利ですが、対面でのコミュニケーションを完全に補うことはもちろんできません。対面コミュニケーションと同じ成果を期待しても多くの人が不自由や不便を感じるかもしれません。
オンラインコミュニケーションは不自由・不便」ということを前提に、お互いが協力してコミュニケーションをしていくのだと捉えることで、ストレスも少し軽減されるかもしれません。

3.テキストコミュニケーションは誰にとっても難しい

テキストだけで用件やニュアンスを思った通りに伝えるのは、誰にとってもとても難しいことです。あなたが難しさを感じるのと同じくらい、相手も難しさを感じています。
もしも相手のテキストでの伝え方に「あれ?」と感じることがあったら、「相手も伝え方に苦労しているのかもしれない」と考えてみて、「これはこういう意味ですか?」と、いつも以上にていねいに確認をしてみると、行き違いも摩擦も軽減されるかもしれません。

4.オンラインでも「1on1ミーティング」

ヤフーでは、2012年から上長と部下が一対一で行う定期的なミーティング「1on1」を実施しています。主な目的は、メンバーの「目標達成支援」と「成長支援」です。
対面でのやりとりがなくなっている在宅勤務中こそ、「1on1」はさらに重要です。リモートワークになってからも定期的なオンラインでの「1on1」でメンバーの体調や様子を把握し、進捗確認や、中長期のパフォーマンス向上、キャリア支援などを行っています。

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5.コミュニケーションは「普段比1.5倍」で

「1on1ミーティング」をはじめとしたオンライン会議では、うなずきや相づち、身ぶり手ぶりなどのリアクションは大きめ(普段比1.5倍程度)を意識するとやりとりがスムーズになります。3人以上の会議では「〇〇さん、どうですか?」など、相手の名前を呼びかけることもオススメです。
また、普段以上に、相手のコンディション把握を意識しましょう。画面越しであっても、言葉だけでなく表情やしぐさなど言葉以外の様子も観察し、必要に応じた気づかいや配慮も、リモートワーク・コミュニケーションでは特に重要です。表情や気配といった非言語の情報が補ってくれない環境なので、いつも以上に「いつもありがとう」「あの件、助かりました!」などの感謝とねぎらいの気持ちを意識的に言葉にして伝えることが必要です。

6.これまでやっていなかったこともどんどん試してみる

ヤフーにもさまざまな職種や業務があり、その内容によって最適なコミュニケーション方法は異なります。そのため、それぞれの組織や部署で、自分たちに適した方法を模索し、編み出していくことが必要です。

ヤフーでの取り組み例:
・コアタイムは、チームでオンラインミーティングツールに常時接続し、いつでも話しかけたり声をかけたりできるようにしてみた。
・チャットツールでチーム全員が始業時と退勤時にあいさつとその日や翌日の予定を投稿し、お互いの動向を日々把握しやすいようにした。
・これまではチャットツール上のチームのチャンネルは効率重視で、極力業務の話をする場だったが、対面で雑談する機会がなくなったため、積極的に雑談もする場に変えた。

7.適度な雑談も大切に

平常時のオフィス勤務では、お互いに顔を合わせる時間も多いため、業務上必要な会話に加えて、関係性を向上させたりコミュニケーションを円滑にしたりするために自然と適度な雑談もしているのではないでしょうか。
ですが、対面対面コミュニケーションの機会がないリモートワーク環境では、「適度な雑談」を意識的にしていく必要があります。平常時は、対面でのミーティングは簡潔に効率的にすすめることを重視していますが、長期間にわたるリモートワーク環境下では、たとえば、オンラインミーティングの冒頭には「アイスブレーク」(直近のニュースや天気、プライベートの話など、本題とは異なるテーマ)の時間を持つことも効果的です。

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(画像:アフロ)

8.「ちょっと聞く」は相互に遠慮なく

ヤフーの社員に実施したアンケートでは、リモートワークで不便になったことの一つとして「気軽にちょっと聞く」ことができないという回答がありました。「ちょっと聞く」ことは、多くの場合、業務を効率的に進めるために必要不可欠なことですから、リモートワークの中でもチャットツールなどを活用してぜひ遠慮なく聞きましょう。
また「ちょっと聞かれた」人は、もしその時に取り込み中ですぐに回答できない場合は、遠慮なくそう伝え、「●時からならOK」と応じましょう。相手に遠慮するあまりお互いが不便になってしまわないよう、バランス感覚が必要です。

9.オンラインツールの機能も使いこなす

オンラインツールの機能も、上司や同僚とのコミュニケーションツールとして、うまく使いこなしましょう。

・オンラインミーティングツール

スピーカーやマイクのON/OFFを使いこなすことで、タイピング音や生活音の割り込みを防ぐことができます。バーチャル背景を使えば、家族の映り込みもあまり気にせず会議に参加できます。
・チャットツール
ステータスを使いこなすことで、休憩時間や終業時間などを周囲に明示できます。
・予定管理ツール
ミーティングの予定だけでなく作業時間や休憩時間も書き込んでおくことで、周囲に何をしているかを知らせることができます。

10.「信頼貯金」をし続ける工夫を

最後に、リモートワークで成果を上げていくために、最も重要なことの一つが「信頼貯金(信頼関係が高まっている度合い)」であることもわかってきました。オンラインでのやりとりはちょっとしたことで「信頼貯金」が引き出されやすいようです。ですから常に信頼を「貯金」し続ける工夫も必要です。

「信頼貯金」をためるために心がけたいこと

1.相手の気持ちに立ってみる(まず想像してみる、気持ちをきいてみる)
2.積極的に自己開示してみる(オープンハートに自分の状況や心情を吐露してみる)
3.率直に伝えてみる(あれ? おや? おかしいな? と思ったことは言ってみる)


リモートワーク環境下で「信頼貯金」をためられる組織は、withコロナやafterコロナになったときに、再びオフラインでもやりとりできるようになった世界では、とても強固な関係を創れる強い組織になっているのではと思います。

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