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「どんな動画広告を作ったらいいかわからない」あなたに贈る、ヤフーが考える「使える」動画広告のネタ帳【前編】

はじめに

こんにちは。デザイナーの高田です。

先日、Yahoo!マーケティングソリューションのTwitterアカウントで、こんなアンケートを採りました。

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動画広告を作る上でお困りなこととして、考えられそうな候補を4つ挙げて投票いただいたのですが、半数の方から「どんな動画を作ったらいいか分からない」と回答いただきました。

その解として、Yahoo! JAPANに掲載されている動画を総合的に分析した記事「Yahoo! JAPANが提唱する動画広告の4原則とは」や「Yahoo! JAPANで見られる動画広告の構成と効果」を掲載致しましたが、この記事では、具体的に業種や製品を想定したときに、デザイナーはどんなことを考えながら動画の構成を考えるのかをお伝えすることで、動画広告作りのヒントを提供できればと思います。

そこで、以下のような企画を行いました。

デザイナーが20分ぶっつけで絵コンテを描いてみる

ヤフーの広告デザイナー3名(内、私含む)に、お題としてクライアントや商材の情報を伝え、1枚あたり20分で動画の絵コンテを描いてもらいます。

絵コンテは、一般的な動画広告を想定した15秒以下の尺で表現できるものとします。

今回お題としたのは以下の商材、サービスです。

・消費財として代表的な「住居用洗剤」。キッチンや水回りなど、広い範囲で使えるものを想定
・駅や公共の空間に設置され、アプリなどで受け取り情報を管理できる「宅配ボックス

住居用洗剤という「モノ」に対して宅配ボックスという「サービス」であるという違いが絵コンテにどのように現れるでしょうか。

前編であるこの記事では、「住居用洗剤」を想定した絵コンテをご覧いただければと思います。

参加メンバー紹介

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河上案(ビフォー・アフターで商品理解を促進案)

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河上: ストレートに、商品理解を促す展開にしました。この商品のアピールポイントが「1本で何でも掃除できる」ということなので、それを絵で表現しています。
1コマ目は、どのメーカーのどんな商品なのかが分かりやすいようにレイアウトを整理して配置し、2コマ目以降ではビジュアルで興味を惹きながら、機能説明を行っています。
最終コマは最後まで興味を持ってもらえたユーザーにECサイトで購入してもらうようにアクションを促しています。CTA(Call To Action)ですね。

若林: 消費財の動画を作る場合、1コマ目に何を配置するべきかはいつも迷いますよね。「引きのある絵」と「ユーザーに知ってもらいたい情報」を両立するのは難しいです。

河上: そうですよね。なので、1コマ目は本当に一瞬で終わるイメージです。商品名を目に入れてもらい、繰り返し広告を視聴してもらうことで認知してもらう狙いです。

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1コマ目は視認性重視

高田: 2コマ目から4コマ目は、布で拭いたところだけがキレイになっていくという見せ方ですかね。工夫されていていいですね。

河上: その部分はビフォー・アフターを分かりやすく表現することで商品理解に結びつけつつ、思わず数秒画面のスクロールを止めて見てもらえればいいなと思い描きました。

若林: 1画面に複数のコマを盛り込むというのは、15秒未満の短尺動画にも向くレイアウトだという気がします。

高田: 短尺化できるというのは、いろいろな媒体に対して、個別に最適化したクリエイティブも作りやすいので重要かもしれないですね。

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1画面に複数のコマを盛り込むレイアウトは、短尺でも分かりやすい

若林案(「こすらずキレイ」なタイムラプス案)

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若林: 河上さんの案をさらに短尺(10秒程度)で見せるとしたら……という内容になっています。ストーリーで商品の魅力を伝えるのではなく、絵的な面白さで「思わず見てしまう」ものを描こうと思いました。
動画冒頭で汚れた換気扇の羽などに製品を吹きかけ、こすらずキレイになる映像をタイムラプスで見せる展開です。みるみる汚れが落ちる様子は視覚的にも気持ちが良いので、とにかくそれを見せることにフォーカスしています。
最後のコマだけ、CTAを意識したカットを置いたのですが、消費財は一般的に店舗での購入が多いと思うので、コピーとして配置した「近くの薬局でお試しあれ」の方を目立つように配置しています。

高田: カットの構成はシンプルですが、いままで消費財の分野ではありそうでなかった構成になっている気がしますね。コンテンツ動画的に見てしまいそうです。「やってみた」「◯◯チャレンジ」的な動画を見たときの感じを受けます。

若林:広告を見たことを覚えておいてもらうためには、商品名を見せるだけではなく一工夫が必要だと考えていて、商品名より先に「キレイになる」という機能の凄さを見せ、「これだけキレイになるならどういう名前の商品なのか覚えておこう」と思わせる狙いがあります。結果的に、構成はコンテンツ寄りになったと思います。

河上: いきなり効果を見せるというのは、興味関心の高いユーザー層に効率的にアプローチできる気がしました。

若林: 短尺の動画だと、効果などの見せたいところをまず見せるというのが重要かなと思います。

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Web上で引きのある映像を考えた結果、タイムラプスに

河上: 常に表示しているキャッチコピーと商品画像はVFA (Video for Action※) からの引用でしょうか。

若林: そうですね。商品画像を常に画面上に置いておき、商品の姿かたちを目で覚えてもらうことを狙っています。こういった構成の動画は、VFAに限らず最近よく見る気がします。

※ VFA(Video for Action) についてはこちら:
https://s.yimg.jp/images/marketing/portal/paper/yj_videoforaction.pdf

高田案(好感度上昇を狙ったストーリー案)

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高田: 一般的に消費財は、他の商品と比較して「商品機能での差別化が難しく、好感度勝負になりがち」と伺っています。なので、ユーザーからのアクションは狙わず、好感度上昇を狙う構成を目指しました。結果的にあまりWeb特有の構成とは言えない流れになったと思いますが……。
2コマ目までは登場人物が「お世話したい」と叫ぶ、いわゆる「フリ」で、3コマ目に「オチ」として「実は猫のことを言っていました」と答え合わせをするという構成です。その後、この映像は商品と無関係ではなく、ペットが汚した容器もキレイになりますよ、と商品アピールをする流れです。

河上: この構成はインストリーム動画で有効な構成ではないでしょうか。

高田: テレビCMの流れにも似たものになっていると思います。動画サイトを閲覧していて、動画広告のスキップがないインストリーム広告を閲覧する場面では、少しの時間でも楽しませてくれると商品のことが好きになるかなと思います。逆にこれをアウトストリーム広告で流す場合、VFA的な編集を加える必要がありますね。

若林: 一般的に「動画を作るぞ」となったとき、動画ならではの要素としてストーリーを盛り込むことは多いと思います。これをアウトストリーム広告らしくするなら、猫や、汚れたお皿を1コマ目から出して、閲覧したユーザーに「何か大変なことが起こっている」と思わせるのが良いかもしれないですね。

高田: たしかに。インストリーム広告用の素材を撮影、制作する際に余力があれば、アウトストリーム広告の1カット目用の素材の用意ができるともっと良いのに、と思うことはあります。

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テレビCMをアウトストリーム用に編集し直す際は右のコマを冒頭にする

河上: テレビCMをアウトストリーム広告用に編集するときに、最も簡単なのはこの流れを逆にすることですかね。

高田: そうですね。逆から読んでいって、1、2コマ目は削除、というのが短尺のアウトストリーム動画の構成でよく行う編集です。

前編まとめ

アドクリエイティブメモの記事で以前にも触れていますが、「動画広告」と言っても、アウトストリーム広告においては、ストーリーよりもまずは「視覚で引きを作ろう」という工夫のある案が見られました。

後編では、消費財と比較すると商品理解にかかる時間がやや長いと思われる「宅配ボックス」のサービスを例にとって、デザイナーが描いた絵コンテをご紹介致します。

【後編はこちら!】


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