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「どんな動画広告を作ったらいいかわからない」あなたに贈る、ヤフーが考える「使える」動画広告のネタ帳【後編】

こんにちは。デザイナーの高田です。

この記事は、以下の記事の【後編】となります。まだ前編を読んだことのない方は併せてご覧ください。

「どんな動画広告を作ったらいいかわからない」あなたに贈る、ヤフーが考える「使える」動画広告のネタ帳【前編】

後編について

前編は、消費財として代表的な「住居用洗剤」をお題にして、デザイナーが描いた絵コンテをご紹介しました。この後編では「宅配ボックス」をテーマにし、メンバーそれぞれに「認知向上」「商品理解の向上」「会員登録数増大」を目的とした動画を作るとしたら、というお題で絵コンテを描いてもらいます。

参加メンバー紹介

前編の記事に引き続き、3名のデザイナーで進行していきます。

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高田案(認知向上を狙う案)

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高田: 全体の流れをコマの右にテキストで書きました。4コマ目の「メリットの追加訴求やキャンペーン告知」の部分以外は、すべて必須な要素になります。
1コマ目では認知向上を狙うため、何よりまず名前を目にしてもらう必要があります。その後、2、3コマ目でよくある困りごとを出して共感してもらい、解決手段を提示することで、「宅配BOXといえば、この商品」と名前と機能を紐付けて覚えてもらいやすくなります。
4コマ目のメリットの追加訴求は、3コマ目の「解決方法」により説得力を出す目的で描きました。動画の尺が大丈夫であれば伝えたい部分です。
最後の5コマ目では、今後商品の比較検討してもらうためにコンバージョンポイントを設定しました。今回は「検索」を促すことがよいと考え、検索窓を配置したカットにしています。

河上: 「困りごと」を出して興味を惹くのは手法としてよく見ますし、共感を得やすいですよね。

若林: 認知を向上させるためであれば、私も最初と最後に名前を出す構成にしそうです。そして、その中間で端的にサービスがわかるというのが重要かなと思います。

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動画の最初と最後で名前を出す

若林: メリットの追加訴求のところについては、案件によってクライアントからリクエストされる要素が増えそうですね。

高田: そうですね。ただ、今の構成ですと、このコマで使えるのは15秒のうち2、3秒程度かと思います。ものによっては要素の整理が必要そうなのと、あまりボリュームが多いと、本筋の認知向上とは違う訴求になってきそうです。

河上: 最後のカットで検索を訴求していますが、他のゴールを求められることもありそうですね。

高田: SNSで話題にしてもらうことが目的に入ってくれば、全体を目立つグラフィックにしても良いかなと思います。今回はアウトストリーム広告の中で最大限認知を向上させることを意識して描いたので、こちらのほうが提案の場ではおすすめしやすいのかなと思います。

若林案(商品理解の向上を狙う案)

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若林: お題が「商品理解の向上」だったので、利用方法のチュートリアルを軸に構成を考えました。チュートリアルは丁寧に作ると長くなりがちなので、「5秒で分かる宅配ボックスの使い方」と銘打って、気軽に見てもらえるようにしています。
おそらくこの動画を見る人は、何らかの関連キーワードで検索したことがある人で、サービスのイメージはある程度ついていると想定しました。なので、基本的な使い方のみを伝えるのではなく、フックになりそうな情報を入れて、「こんな使い方もできるよ」と提案をしています。3コマ目にあるように、「犬の散歩のついでに荷物を取りに行くこともできますよ」という部分ですね。

高田: 簡単に作り分けられるものあれば、ユーザーの属性別にフックとなる情報を変えてもいいかもしれないですね。

若林: はい。できるだけ多くの人が、使ってみるイメージを持てるよう設計できると良いですね。今までそういう使い方を想像したことはなかったけど、実は自分にマッチしていたんだ、と思ってもらえるような要素で作りたいです。

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最後のコマも、受け取ったのは犬のおもちゃ

高田: 動画の全体尺はどの程度なのでしょう?

若林: 「5秒で分かる」と銘打ったので、「5秒!」と言いたいところですが……、この内容の通りなら、実際はもう少し掛かりますね。
テキスト部分をより簡略化できるのであれば、本当に5秒にできるかもと思います。

河上: 「5秒」と言われたら引きとしては良いので、簡略化する方向で頑張るのも良いかなと思いました。フックとしてユーザーに新しい利用方法の提案をするのは、チュートリアルを機械的にしないための良い手法ですね。

若林: 認知向上を狙うのであれば代表的なユースケースを紹介するのが良いと思いますが、ある程度サービスのイメージがついている人は新しい情報がないと飽きてしまうかもしれないですしね。何回か広告に接触している人であっても、「実はこんなこともできるよ」という提案をたくさんすることで、刺さる可能性が広がるのでは、と思っています。

河上案 会員登録数増大を狙う案

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河上: 「宅配ボックスは見かけたことがあるし、ある程度使い方は想像がつく。けれどまだ使ったことはない」というユーザーに向けて配信することを目的とした展開にしています。
まずは1コマ目に商品画像を入れることで、ユーザーの「あ、このボックス、見かけたことがある!」という既視感を刺激します。
2コマ目以降では、見たことあるけど使っていない理由を解消させる情報を入れています。この商品の場合は、設置エリアが増えていることが使うモチベーションにつながるように思うので、それをアピールすればよいと考えました。
最後のコマでは、会員登録ができることと、登録ページに導くCTA(Call To Action:行動喚起)となるボタンをわかりやすく出し、興味を持ったユーザーを誘導する流れにしました。

若林: この展開は、ランディングページで伝える内容を動画化しているようにも感じました。興味がある人への最後のひと押しをすることが目的なのであれば、LPO(ランディングページ最適化)をして数値の良かった掲載要素を動画化するのもありかもしれませんね。

高田: そう考えると、広告をクリックしないと見られないランディングページの情報を、クリックせずに見せることができるので、動画広告の活用場所はもっと増えてきそうですね。

若林: それから、こういった会員登録を促進する施策では、お得になるキャンペーンがセットになることも多いですね。今回のお題ではキャンペーン内容まで決めていませんでしたが、動画冒頭にそういった訴求をすることもユーザーが登録するモチベーションにつながりそうです。

河上: なるほど。伝えるタイミングとしては、1コマ目に小さく出すか、1コマ目と2コマ目の間になりますかね。

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1コマ目にバッヂのようなデザインでキャンペーン告知をすることもできる

高田: アウトストリーム広告だと、常に画面を見てもらえているとは限らないので、前編で若林さんが描いていたように常時テキストを画面に出すことも検討できそうです。

河上: 動画の尺にもよると思いますが、確かにすでに関心が高い層はテキストを読んでくれそうですし、固定要素として画面に出し続けるのも効きそうですね。

まとめ

ヤフーの広告デザイナーは日々、このような絵コンテを描きながら、目的に合わせて効果の望める訴求方法を検討しています。

静止画のバナークリエイティブでも勝ちパターンが日々変化するウェブ広告の市場環境においては、動画広告においても同様で、この記事で語られた手法が通用しないこともあります。

未検討な領域は解き明かし、市場環境の変化にはきちんと対応するべく研究を続けていきたいと思います。

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