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Web広告のディレクター、デザイナーってどんな人?[デザイナー編]

こんにちは。デザイナーの高田です。

以前の記事(※1)で、クリエイティブ企画チームに所属するディレクターに、これまでのキャリアや、影響を受けた広告についてインタビューしました。今回はデザイナー編となります。

クリエイティブ企画チームに所属するデザイナーは、クリエイティブの分析業務や、そのノウハウを広めるクリエイティブ勉強会など(※2)を行っていますが、実際に広告として配信されるクリエイティブの制作も、広告代理店や制作会社に代わって行うことも多くあります。

そんなデザイナーの「制作に対する思い」にはどういったバックグラウンドがあるのでしょうか。インタビューを行いました。

「10年後も好かれる・好きでいられる広告をつくりたい」
永井 友梨 デザイナー 2013年入社

−これまでのキャリアを教えてください

多摩美術大学の情報デザイン学部を卒業後、ヤフーに入社し、Yahoo!テレビ、GYAO!といったサービスで、特集ページのビジュアル作成やアプリのUI/UX等、さまざまなデザイン業務を経験しました。

その後、2016年から広告クリエイティブの制作に携わり、主にフルメディアクライアントに対してYahoo! JAPAN配信用の広告を作成、提案しています。

−これまで広告案件に関わってきて、強く印象に残っている案件はありますか?

Yahoo! JAPAN トップページカスタマイズ企画 演出動画例

Yahoo! JAPANには「Yahoo! JAPAN トップページカスタマイズ企画」という、静止画や動画を配信するだけではない、メディアのデザインを生かしたインタラクティブ性のある広告があります。その商品で、テレビ局の番組の案件を担当した際のことです。

番組担当のプロデューサーの方と一緒に演出のアイデア出しをするだけでなく、実際に登場するタレントの動きを考え絵コンテに起こし、撮影セットの企画・提案を行い、撮影現場に立ち会わせていただいたことが非常に印象に残っています。

もともと自分はテレビが好きで、学生時代はテレビ業界を志望していたのもあり、夢が叶った瞬間でもありました。

−他者が作った広告の中で、自分の仕事に影響を与えたものはありますか? また、どのような部分にどんな影響を受けましたか?

2008年に34歳という若さで他界されてしまったのですが、アートディレクター 野田 凪さんの作る広告です。

彼女のことは、YUKI「センメンタルジャーニー」のミュージックビデオで知りました。

こちらの映像は残像を残して撮影されたように見えるのですが、よく見ると全員別人で、CGも使わず皆ただ止まっているだけ(微妙に動いているのも味があります)という非常にアナログな演出で当時とても衝撃を受けました。

彼女は広告作品も多数手掛けており、ラフォーレの広告やフランフランなども商売っ気がない独特な世界感・斬新な演出で、月日が経った今もなお、全く色褪せていないと思います。

語っていたインタビューが非常に印象的で、自分も案件に取り組む際は心掛けていることがあります。

私が仕事をしていて楽しいのは、現場で作り込んでいざ撮影というときに、それをみんなが見て「ワッ!」って驚く瞬間。普通の生活の中では絶対体験出来ないような、結構ショックなビジュアルをスタッフ全員が目に出来る瞬間が一番面白い。そういうものをどんどん作りたいんです。

クリエイションギャラリーG8「ラフォーレ原宿シーズン広告のアートディレクションについて

この物作りのマインドがとてもいいなと私は思っていて、自分自身が楽しんで作成した広告は、思い切りやこだわり・ワクワクした気持ちが前面に出て、広告主様、ユーザーから見ても「この人すごく楽しんで作ったんだろうな」と伝わるものになるのではないでしょうか。

自分自身が楽しんで作ろう!という気持ちが前提にあるから、人も楽しませられる広告が生まれる。素敵な連鎖だと思います。

物づくりを楽しむ気持ちを忘れないで、ユーザーから「邪魔」「いらない」と思われがちなWeb広告の概念を変えるような楽しい広告を自分も作っていきたいです。

−今後どんな広告を作っていきたいですか?

担当する案件に対して、毎回自信を持って作成・提案を行おうと心掛けていますが、その広告を1年後などに振り返ったときに、至らない部分を発見してしまうことがたまにあります。それを思うと自信がしぼんでいってしまうことも……。

対して、野田さんはある広告に対して、10年後も好きだと思うと断言しています。それは10年後の世の中の流れや価値観を意識し、自分の信念を大切にして制作しているからではないかと私は思っています。

その時その時で自分が作った広告に全力で自信を持つこと、担当した広告を10年後も愛すことを意識して、時代にとらわれない、ユーザーもクライアントも、自分も満足できる広告を作っていきたいです。

「美しく、効果も高い広告を作りたい」
下田 純之 デザイナー 2017年入社

−これまでのキャリアを教えてください

2017年にヤフーに新卒のエンジニアとして入社し、iOSアプリの開発に従事してきました。

もともと学生時代にWebサービスの会社を運営していて、マーケティングやコンテンツ制作にも関心があったため、2019年に「ジョブチェン」という職種や仕事を変える社内制度に応募して、広告デザイナーになりました。

−これまで広告案件に関わってきて、強く印象に残っている案件はありますか?

金融系クライアント様からご出稿いただいた、Yahoo! JAPAN トップページカスタマイズ企画という商品の制作が記憶に残っています。

Yahoo! JAPANのトップページにダイナミックな広告演出を行える商品で、コンセプトの設計段階から携わらせていただき、絵コンテの作成などを経験しました。

デザイナーとしてメインで担当した初めての案件で、多くの苦労があったものの、クリエイティブだけでなく、配信後のCTRやCVRなど数値面も満足のいく結果となり、心の底から嬉しかったことを覚えています。

−他者が作った広告の中で、自分の仕事に影響を与えたものはありますか? また、どのような部分にどんな影響を受けましたか?

Webの動画広告として見習いたい点が多く、勉強になると感じるのは楽天スーパーセールをはじめとした楽天のクリエイティブです。

こちらの動画はテレビCMとの共通のものとなっていると思いますが、媒体をWebに移しても違和感なく、飽きさせないテンポで進みつつも、テキストの可読性はどのシーンも満遍なく高く、端的にユーザーに何を伝えたいのかがスッキリとまとまっている印象です。大手EC企業ならではのWebに特化したノウハウが詰まっているのだと思います。アニメーションもフレッシュでかつシンプルで素敵だなといつも驚きを持って拝見しています。

また、クリエイティブのデザイン自体のクオリティが素晴らしいのは、やはりAppleかなと思います。

言わずもがなですが、デザインやブランドイメージにこだわる会社だからこそ、テレビ・Web CMや各クリエイティブもプロダクトと同じようにこだわりを持って作っているんだなと感嘆しています。シンプルな表現でありつつも、間のとり方が絶妙でレイアウトが美しく、洗練された印象を届けるクリエイティブはどれも流石の一言です。

−今後どんな広告を作っていきたいですか?

クライアントのブランドイメージを損ねることのなく、効果の高い広告を作成していきたいです。

広告効果を数字で追いやすくなったWebという環境においては、数字の追い方によっては広告がユーザーに不快な体験をさせることもしばしば起こります。
しかし、美しいクリエイティブは、たとえ広告であっても、見ていて不快な気持ちになることは少ないのではないか、と思っています。私としては、ビジュアルの品質に妥協することなく取り組んでいきたいです。

また、若い世代や巷の流行も上手く取り入れつつ、ヤフーならではの信頼感や公共的なイメージを損ねることのない上品な広告を心掛けて制作していきたいです。

※1 Web広告のディレクター、デザイナーってどんな人? 【ディレクター編】
※2 クリエイティブ分析に関する記事「静止画広告の効果を高めるクリエイティブポイント -スマートフォン版Yahoo! JAPAN ブランドパネルの場合-
クリエイティブ勉強会に関する記事「“残念”なオンライン勉強会を回避する3つの心得

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