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Web広告のディレクター、デザイナーってどんな人? 【ディレクター編】

こんにちは。デザイナーの高田です。

このnoteをフォローいただいている方、記事を読んだことがある方は既にご存知と思いますが、Web媒体の会社にも、クライアントの広告クリエイティブに関わるディレクターやデザイナーが在籍しています。広告のディレクター、デザイナーというと広告代理店や制作会社に在籍しているイメージが強い中で、媒体社に所属する人はどういったバックグラウンドがあるのでしょうか。

今回の記事では、実際に現在私がヤフー内で所属している「クリエイティブ企画」チームのメンバーに、影響を受けた作品や広告などについての質問をして、どのような人が広告制作に関わっているのか、探っていこうと思います。

前編となるこの記事では、ディレクターの2名にインタビューした内容をお送りします。

「ブランドの調査には表れない、
プラスアルファのある広告を作りたい」
若林 慧 ディレクター 2011年入社

−これまでのキャリアを教えてください

ヤフー入社以来、一貫してマーケティング畑にいます。運用型広告の講師やWebサイトの改善支援から始まり、イベント、オウンドメディア、SNS、コンテンツなどさまざまな手法のマーケティング施策に携わってきました。

ここ2、3年は商品開発や大型企画のプラニングなどを中心に、「生活者に好かれる広告」とは何かを考えて体現するプロジェクトを担当しています。

−これまで広告案件に関わってきて、強く印象に残っている案件はありますか?

昔からある広告媒体をDX(デジタルトランスフォーメーション)しようという趣旨で、一種の「広告」と捉えることもできる、祭りの会場に並ぶ提灯をデジタルフォーマット化したことがあります。

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この取り組みは多くの媒体で紹介され、売り上げも非常によいものでしたが、それ以上に嬉しかったのは、多くの広告主が実際に会場まで足を運んで楽しんでいる顔を見ることができたことです。

またオウンドメディアを運営していたとき、ある企業から「月500万円で出稿させてほしい」と依頼されたことがあります。自社のブランディング目的で運営していたので結果的にはお断りしましたが、オウンドメディアといえど品質にはかなりこだわっていたので、メディアとしての価値を感じてもらえたのは自信になりました。

これらのような、KPIには現れない反響を感じられると、やってよかったと強く思います。

−他社が作った広告の中で、自分の仕事に影響を与えたものはありますか? また、どのような部分にどんな影響を受けましたか?

引越のサカイ」、「文明堂のカステラ」、「一本満足バー」と聞くと、世代にもよりますが頭のなかで歌が自然と再生される人は多いと思います。

これらは私が普段関わっているWebではなくテレビCMですし、手法はシンプルなのですが、ずっと覚えてもらえるような企画が好きで、私もこのような企画を作りたいと思っています。

デジタルでいえば、2011年の「スペースバルーンプロジェクト」というサムスンGalaxyのプロモーションです。

商品名が「ギャラクシー」だから、実際に製品を宇宙に飛ばし、地球とリアルタイム配信でつなぐという、行っていることは至極シンプルなものです。

ただ、アウトプットはとてもインパクトが強く、記憶にずっと残っています。それでいて、スマートフォンの役割である「つながる」を言葉にせずとも伝えられている点が、シンプルだけれど筋が通っていると思いました。

企画をやっていると、時にはひねりすぎたり小手先に走ってしまったりすることもあるのですが、そんなとき原点に立ち返ろうと思ってふと頭に浮かぶのがこういった広告なので、影響を受けていると思います。

−今後どんな広告を作っていきたいですか?

生活者の心に残る、ずっと覚えてもらえるような広告を作りたいと思っています。無理に覚えてもらう必要もないですし、悪い方向で覚えてもらっても仕方ないのですが、ふとしたときに「あんなのあったな」と思い出してもらえると嬉しいですよね。おそらくそれはブランドの調査には表れない成果なのですが、頂いた予算以上の価値を広告主に還元するとことにもつながるものです。

具体的に言えば、デジタルの世界では耳に訴える広告がやりにくいので、それに代わる手法を提示できればいいなと思っています。

「ユーザーに必要とされ、楽しめる広告を作りたい」
塚本 翼 ディレクター 2005年入社

−これまでのキャリアを教えてください

前職ではSIerでSEとして働いていましたが、もっと多くの人に利用されるサービスに携わりたいと思いYahoo! JAPANに転職しました。その後、興味のあったデザインやコーディング領域の知識をつけ、UX の設計やUIの制作・実装を5年ほど担当しました。これまで関わったサービスはYahoo!トラベルや検索、電子書籍などです。

広告領域には、リッチラボという社内ベンチャー制度から生まれた子会社に参加した時から関わっています。

−これまで広告案件に関わってきて、強く印象に残っている案件はありますか?

自分が制作に関わった制作物を多くの人に見ていただいたり、クオリティを評価されることはもちろん嬉しいことですが、新しい飲料の発売や新作映画の公開などのタイミングで関わらせていただいた時に、そのプロモーションが功を奏して、商品が売れたり映画に足を運んでいただく人が増えた経験がとても嬉しく、印象に残っています。

−他社が作った広告の中で、自分の仕事に影響を与えたものはありますか? また、どのような部分にどんな影響を受けましたか?

思い当たるものが2つあります。
1つ目は、10年以上前になりますが、リクルート「ホットペッパー」のアフレコのテレビCMです。

このテレビCMで初めて広告で笑いました。「広告でふざけてもいいんだ」ということが衝撃で、これまでの価値観が変わりました。手法としても新鮮で、今では当たり前かもしれませんが、派手だったり、きれいだったりすることだけが印象に残ることの条件ではないという気付きがあった広告でした。

ユーザーが楽しめることができる広告、これまでにない広告を日々考えていますが、自身のその考えのベースになっていると思います。

もう1つは検索連動型広告です。

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検索するという能動的な行動に対しても、その興味に対しても自然に入り込んでいる広告だと思います。テレビCMは不特定多数に表示される広告ですが、検索連動型広告はピンポイントでその人の興味にターゲティングすることのできる、とてもWebの利点を活かした広告だと思います。

広告はユーザーが望んでいない内容や、本来の目的を阻害してしまう可能性があるものであるため、広告を表示した時に与えるストレス度を意識することはとても重要です。ストレス度が高い場合は広告で表示した商品、ブランドまで嫌われてしまうリスクすらあります。

そのため「広告として、いかに自然に人々の行動に馴染むことができるか」は自分の中でのテーマのひとつになっていますが、それに対して検索連動型広告は1つの答えになっており、自分自身に与えた影響は大きいです。

−今後どんな広告を作っていきたいですか?

これから先、デバイスや手法が変わってもベースとして大事なポイントはそれがユーザーにとって必要なものか、またはユーザーにとって新しい有益な気付きになっているかどうかということだと思います。一方で広告主視点では商品の世界観を崩すことなく魅力的にかつ正確に伝えられているかだと思います。

ユーザーと広告主、そのどちらの視点も持ち、またどちらの気持ちも考えながら新しい手法や新しい体験、これまでにない斬新な見せ方を通してユーザーと広告主をより近づけることができる広告を作っていきたいと考えています。

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