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寝ているあいだに何をしているのか?

ホリエモンが筑波大学の睡眠の専門家と対談している動画を見た。

対談というよりは、先生の講義の内容を聞き、それをもとに後から質問するという感じの動画だったのだけれど、なかなか興味深く見ることができた。動画としては長めなので、移動中などにBGM的に聞いてみるといいかもしれない。

よく言われる話ではあるが、現代の日本人は圧倒的に睡眠が足りていないそうだ。睡眠が足りていない証拠に、会議中に居眠りしたりする日本人がときどきいる、と。外国人にとっては、会社で居眠りしているのは相当異様に映るらしく、病気なのではないかとビックリするそうで、日本に来たばかりの外国人職員が居眠りしている人のところを起こして回り、「体調が悪いなら早く帰れ」と促した、というエピソードも紹介されていた。

この話の中でも特に関心を引いたのが、「どの生物でも必ず睡眠を必要とするが、なぜ睡眠が必要かという本質の部分は未だにわかっていない」という部分だ。

動画内で先生もおっしゃっているのだが、もし睡眠を必要としない生物が現れれば、生存のために使える時間が増え、外敵から急襲される危険性も下がるため、生存には有利に働くはずなのだが、「睡眠を必要としない高等生物」は実際には存在しないらしい。しかし逆を言えば、それだけのリスクを抱えても睡眠は必要だ、ということになる。

短時間の睡眠でも十分だとされる「ショートスリーパー」についても言及されている。体質的なショートスリーパーは非常にまれで、自称ショートスリーパーの多くは「ただ単に無理をしているだけ」とのことだ。

また、徹夜で試験勉強をすることの是非についても触れられている。最近では、さすがに徹夜で試験勉強をしてもさほどの効果が見込めないのは常識になってきている。むしろ、試験前にしっかり寝るほうが成績がよくなる、というのは周知の事実だ。僕も当然そのように認識している。

しかし、そもそも「なぜ睡眠をとる必要があるのか?」の問いに答えられないのだから、なぜ睡眠をとったほうが成績はよくなるのか、という根本の問いにも答えられない、ということになる。

睡眠中は、脳は休んでいるわけではなく、むしろ活発に動いているとのことだ。睡眠中に、パソコンでいうところのデフラグなどのクリーニング的な作業を行っているらしいというのがもっぱらの仮説なのだが、それにしたところで、「それをしないと死んでしまう」ほど重要なことなのだろうか。

パソコンのデフラグ的な作業をやっているにしても、パソコンはデフラグなどを行わなくても、遅くはなるものの何とか使い続けることはできる。しかし、生物の場合は死んでしまうので、それはオプション的な行為ではなく、生命維持に必須であるということを示している。

果たして、本当は一体何をやっているのだろうか?



人間の記憶はパソコンのデータ等とは本質的に違い、「データを貯める」という方向性ではないのではないか、と自分は考えている(ここからは動画の内容ではなく、完全に自分の推測である)。

パソコンのハードディスクにはデータを記憶することができるが、好き放題にデータを詰め込んでいくとそのうち容量不足になってしまう。しかし人間の脳はどれだけデータを入れてもパンクすることはない。

パソコンと脳の最大の違いは、「自動的に忘れる」機能が備わっているかどうかだと思う。脳は場合、不要な記憶をどんどん捨てていくため、パンクすることはないのだろう。

しかし、不要な記憶を捨てるといっても、ランダムに捨てているわけではなく、「不要だと判断した部分」をカットしてると推察されるので、そのメカニズムについては非常に関心がある。

また、忘れていたものであっても、何かのきっかけがあれば思い出したりすることもあり、そもそも「忘れる」というのはどういう状況なのか? という疑問もある。そもそも「記憶する」ことの本質がよくわかっていないので、「忘れる」ことの本質もわかっていない、ということになる。

なんとも雲をつかむような、そんな不思議な世界が脳であり、その一端が「睡眠」なのである。

しかし、記憶や認識、知識、経験というのが睡眠と深く関わっていることは間違いない。よく寝たほうがパフォーマンスが高まるのは事実なので、日常的にしっかりと深い睡眠をとるに越したことはないだろう。

睡眠の本質についての問いは、自分が小学生ぐらいだった頃に抱いていた問いにまだ答えられないようなので、生命の神秘がここに隠れているような気がするのである。


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