見出し画像

「頭の回転が速い」とはどういうことか?

「頭の回転の速さ」について書かれたnoteを見た。

いちおうタイトルは「科学する」という記載があるのだけれど、この人から見たことしか書かれていないので、科学というよりはエッセイだと思われる。なので、あくまでこの人の感想だという前提で考えてみる。

著者によれば、「頭の回転の速さ」は「過去にそれを考えたことがあるかどうか」に依るらしい。つまり、特定のテーマについて話題を振られたとき、過去にそれについて考えたことがあるならば、思考の蓄積があるため、即座に返すことができる、と。

まあそらそうやろとしか言えないのだが、だから普段からいろんなことについて考える習慣をつけましょうね、ということだった。特に根本的な異論はないのだが、本当にそれだけかな? とは思う。

たとえば、オタクが自分の得意な分野の話題を振られると早口になって大量の情報を披露しはじめるという現象は一般によく知られているけれど、それを聞いたとしても、その人が「頭の回転が早いんだな」とはあまり思われない。単にそれについて詳しいんだな、と思われるだけである。

「情報をたくさん持っている(思考の蓄積も含む)」ことと、「頭の回転の速さ」はまた別のところにあるような気がする。少しそこを深掘りしてみる。

「反応の速さは累積した思考の量に比例する」ということだが、当然ながら森羅万象について蓄積をもつことはできないはずだ。どんな人であれ、関心のあることとそうでないことがあり、その人にとっては得意でない領域というのは存在するはず。

僕は、その分野においては門外漢で、その分野の知識がないはずなのに、的確な質問によって短時間で本質を捉え、問題点・解決策にまで言及する人がいると「頭の回転が速いな」と思ったりする。たとえば、プログラマーではないのにプログラムの本質的な問題点について言い当てたりする人がいると、頭の回転が速いんだろうな、と評価できる。

日常的な雑談などの会話で、どんな話題を振ってもレスポンスが速い、という人は確かに頭の回転が速いと言えるかもしれない。しかし、その程度だと単なる雑談をする以上の用途がないので、それほど重要な能力だとも思えない。雑談系YouTuber(たとえばひろゆきなど)はそういう能力を活かして食べているとも言えるけれど。切り返しの速さというか。

しかし、専門家の言っていることとひろゆきの言っていることのどちらが世間一般で信用されるか、といえば答えは言うまでもないだろう。テレビのバラエティ番組なども、話の展開のスピードが速いので、そのスピード感についていけないと置いてけぼりにされる、というのはあるらしい。よくテレビに出ているひな壇芸人などは、その能力に長けていないと生き残れないのだとか。

自分の観測だと、頭のいい人ほど物事を即答しないし、断定的にも言わない傾向にあると思う。世の中のことで、断定的に言えることはかなり少ない。わかりやすく、即答でスパッと返す答えは、切れ味が鋭く見えても、実は紙で出来た刃物のように脆かったりする。

本当に頭の良さが出るのは「判断の速さ」「決断の速さ」かもしれない。一度決断してしまったら後戻りができないという場面で、必要な情報をすぐ集め、決断ができる人は確かにすごいかも。しかしこれも経験によって裏打ちされる部分が大きいと思うし、「回転の速さ」とはあまり関係がない。

このnoteを書くことによっていろいろとものを考えていることは、「考える習慣」として何かしらプラスになっているだろうか? まあ、別に役に立ってなくてもいいんだけど。

あなたはどう思いますか?

サポート費用は、小説 エッセイの資料代に充てます。