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観察をして、仕事をする

去年の4月に部署移動したので、いまの仕事になって9ヶ月ほどになる。1年ぐらい営業の仕事をしていたのだけれど、本来やっていた仕事に戻ってきたという感じだ。「部署異動」というより「出戻り」のような形である。

いまの仕事も営業的な仕事とも言えるのだが、ちょっと専門的な分野であり、ややマニアックな仕事である。社内で自分と同じ仕事をしている人はおらず、ほぼ一人でやっている。数字を分析し、むしろいろんな関係者の間に入って、調整をするような仕事と言えるかもしれない。

新卒で働き始めてからいろんな仕事を経験してきたけれど、何故か必ずこういうポジションに落ち着く。大勢で同じことに取り組む仕事ではなく、単独で動く仕事である。要は、「こういうやり方で仕事をこなしてください」というような、決められた定型業務がない仕事を担当することが多い。

むしろKPIだけぶんなげられて、これを達成するためにはどうしたらいいのかも含めて自分で考えてください、という仕事が多い。仕事の自由度と裁量権が高いので、自分としてはありがたい限りなのだが。

もちろん報告義務はあるので、こういうことをやりました、今の状況はこうです、これをやりたいと思います、みたいなことは随時報告しているのだが、わりあい孤独な部類だと思う。

今日中にこれをこなさなければならない、みたいな緊急性が薄いことが多いので、捉え方によっては暇とも言える。だがもちろん暇というわけではなく、達成しなければならない目標があるので、それを達成するためにはどうしたらいいのかということも含めて考え続けなければならない。仮説を立てては調査をし、また仮説を立てる、ということの繰り返しである。

1年ほどやっていた営業の仕事はちょっと違っていた。顧客からの問い合わせが大量にあるため、その対応に忙殺され、それだけで一日が矢のように過ぎていく、という感じだった。それはそれでやりがいもあったのだが、自分の意思とは無関係にせわしなく現実が通り過ぎていくといった感じで、どちらかといえば自分には向いていなかったのかもしれない。

最近ビジネス界で浸透しつつある、|OODA≪ウーダ≫ループと言う考え方がある。詳しい事はインターネットでググってもらったらわかると思うのだが、意思決定をするためのスキームのようなものだ。

PDCAサイクルという概念がよく知られているが、だいたい同じようなものである。OODAループは、より変化の激しい社会に対応しやすいと言われている。PDCAサイクルのPはプランの頭文字だが、いきなりプランと言われても、まずそのプランはどうやって立てるのか、というところは結構あいまいである。

OODAループのOは観察オブザーブから来ている。まず現実をよく観察した上で、方向性を決め、何をやるかを考えていこうというやり方である。僕はこの考え方が結構好きで、自分の仕事によく取り入れている。

まずは客観的によく観察をする。観察せずに、思い込みで物事を進めてしまうことは多い。現実は刻々と変化していくので、まずは全体と細部をよく見ることが大切だ。

何をしたらいいのか考えることは、実際に行動するよりも大変なことだと思う。仕事が忙しいとか、重労働で大変だと悲鳴をあげている人はいるが、既に「これをやりなさい」と決められているものをやるだけの仕事はいわば肉体労働的なものだ。それではすり減るのも当然である。

しかし、何をやるのかというところから自分で考えられるようになれば、少なくとも時間に追われることは少しは減るはずだ。いまの現実に対応した、もっとも効果的な行動がとれるからである。もちろん、だからといって、仕事が楽になるわけではないが。

スポーツ選手も結構似たような感じなのかなと思う。もちろん基礎的なトレーニング、ランニングや筋トレといった練習は普通に行うのだろうが、試合に勝つためには、他の選手と同じ練習をしているだけでは不十分だ。他の選手や自分自身をよく観察した上で、自分に何が足りないのかを分析し、軌道修正しながら取り組まなければならない。

そこには忙しいとか暇とか言う考えは無いだろう。忙しくするのも暇にするのも自分次第である。


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