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「情報」を食べに来ている

休日、奥さんと散歩がてらに吉祥寺にある「WORLD BREAKFAST ALLDAY」という店でモーニングを食べた。

MENU 世界の朝ごはん WORLD BREAKFAST ALLDAY 

「世界の朝ごはん」をテーマに、2ヶ月おきに看板メニューを変えて運営しているらしい。ちなみに、今月は「エジプトの朝ごはん」ということだったが、今回が初めてということであまり冒険はせず、スタンダードなメニューとして提供されていた「アメリカの朝ごはん」を注文した。

内容は、パンケーキや卵焼きなど。味は非常においしく、奥さんも満足だった。
 
値段は1500円だったので、決して安くはない。むしろ、結構高いなと思ったのだけれど(なにしろ、普段食べているランチの2倍以上する)、店内の様子を見ていたらなんとなく合点がいった。

店員さんは、二十代ぐらいの若い女性スタッフ3名で運営しているようだったが、店内はさほど広くはなく、テーブルが6つほどあるだけだった。二ヶ月ごとにメニューが変わるので、そのためのメニュー開発もしなければならないだろうし、それを迅速に提供できるだけのオペレーションも組まないといけない。要するに、ほとんど手動でオペレーションが組まれているわけで、これを工場で仕込みを済ませることができるチェーン店と同列のコストだと考えてはいけない。テーブルにはその月の対象国を取り扱ったリーフレットなども添えられており、かなり丁寧に世界観が作り込まれていることがわかる。

つまり、商売として考えると、効率があまりよくはないので、売価として1500円ぐらいとらないと成立しないのだろう。しかし、コンセプトがしっかりしているお店で、満足度は高かったので、定期的に来ようと思った。もちろん、奥さんが満足しているから、というのも理由としてある。


 
ところで、最近、「しょぼい喫茶店の本」という本を読んだ。

なんの本かというと、東京に「しょぼい喫茶店」という変わった名前の喫茶店の創業に至った経緯や奮闘などが書かれた本だ。

店主である「えもいてんちょう」氏は、大学卒業後、就職活動がうまくいかず、Twitterで創業資金を調達して喫茶店をオープンする。本としてはストーリー性が強く、面白く読ませてもらったのだけれど、現在はすでに閉店しているらしい。

こういうのを読むと、実際に喫茶店をオープンするのは大変だけれど、オープンしてからそれを「運営」するほうが格段に大変なんだよな、ということがわかる。

当たり前だが、人間が生きていく以上は金がかかり、その金はコンスタントに稼ぎ続けなければならないからだ。


 
価格や味だけで勝負すると、どうしても大資本の経営しているチェーンには敵わないけれど、それに優る「何か」を考えると、それに対抗できるのかな、と思う。まだ一度しか行ったことのないお店だけれど、この取り組みを応援したいなと思った。
 
ただ単に「味」を求めるだけならいっぱいお店はあるけれど、「情報」を食べることができる店はそうはないので、そういう意味でも貴重かもしれない。


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