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なぜ残業をしたいのか?

今年転職した会社は、世間一般の感覚に照らしても、まあまあホワイト企業だと思う。

休みは簡単にとれるし、実際にみんなきちんととっている。上司や、取締役もわりと気軽にというか、家庭の事情などで突然有給をとったりしているので、本当に休みは取りやすい会社なのだと思う。

たまに会社からストレスチェックみたいなものが実施され、労働環境に問題がないかどうか、確認する仕組みも存在する。
 
そういう環境なので、わりと快適に仕事をしているのだが、入社してそろそろ半年になり、だんだん業務量が増えてきた。新しく仕事を振られるだけじゃなくて、自分で積極的に取りに行っている仕事もあるので、一概に会社からの仕事量が多い、というだけではないのだが、しかし、現に抱えている仕事はキャパのリミットに近づきつつある。
 
入社以来、あまり残業はしないようにしていたものの、少しずつ残業するようになった。といっても、その日のうちに絶対に終わらせないといけない、みたいな仕事ではなく、むしろ中長期で取り組んでいる仕事に対して、しっかりと考えたり、動いたりすることを目的とした残業をするようになった。

会社員というのは、会社から雇われているわけだから、会社をまわすためのルーティン的な業務や、雑用的な仕事もしなければならないのだが、日々の仕事とはまた違う軸で、中長期で取り組む仕事というのも存在する。そういったものにしっかり取り組む時間もやっぱり必要だよな、と思ったのだ。


 
まだ新卒で社会人になりたての頃、上司と日帰り出張に行った際、「日々の雑用が忙しくて、全然自分の仕事ができない」と上司がぼやいていた。そのとき、自分はまだ本当に新人の労働者というか、「会社から命令された、その日のうちに完結する仕事」ばかりこなしていたので、当時は何を言っているのか、よくわからなかった。

雑用みたいな仕事でも、仕事の枠の時間内で行うのだから、それも仕事のうちではないか、と思ったのだ。
 
でも、やっとその上司が言っている意味がわかるようになった。仕事というのは、単に会社から与えられるものではない。自分で思考して、企画することも含まれる。企画というのは、つまり「企て」のことなので、会社の事業でありつつ、個人の思いをそこに盛り込んでもいい。

つまり、極端なことをいえば、自分のやりたいことを、会社の金を使ってやる、というのでもいいわけだ。独立して自分の金でやるとリスクがあるけれど、会社の事業として行うのであれば、そういったリスクはない。

ちゃんと事業として軌道にのれば、自分の実績にもなる。そう考えると面白い。


 
もちろん、会社から与えられた枠の時間内でそういったことができればいいのだけれど、日中は世の中が動いているから、いろいろな雑用が降ってきて、なかなかものを考えるような時間はなかったりする。

自分がやりたい仕事をやろうと思うと、やはり残業するしかないのである。漫画家やクリエーターが深夜に作業する理由もわかるような気がする。日中は、電話がなったり、人と会ったりして、なんとなく落ち着かないのだろう。最近、定時をすぎると、静寂が訪れるのを感じる。
 
しかし、そうやって仕事をやっていくと、確かに面白い。能動的に仕事というのはしたいものですね。

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