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マネジメントに必要なのは胆力か?

マネジメントに必要なのは胆力だ、と書かれている記事を読んだ。

マネジメントに関する悩みを解決に導く文章は世の中にたくさんある。一方で、レジ打ちの仕事の問題を解決に導く文章は少ない。それは、人をマネジメントする仕事のほうが、レジ打ちの仕事よりも悩みが多く、深いからだろう。

ここに書かれている文章は確かにその通りで、特に異論はないのだけれど、少しこれについて考えてみたい。

世の中にはマネジメントについて書かれた本はたくさんあるけれど、どれを読んだとしても、実際にやってみると必ず壁にぶち当たるように思う。マネジメントの対象は生きている人間なので、自分の思い通りには絶対に動かないし、達成すべき数字があったとしても、それも自分の思い通りには絶対にいかないからだ。

なので、大変だけど頑張るしかない、というシンプルな結論に達してしまいがちである。

いまの自分はマネージャーではなくただの社員なのだけれど、前職、前々職では一応マネージャーという立場だった。マネージャーというと聞こえはいいが、結局のところ日々のオペレーションがうまくいっているかを監視し、こまごまとしたトラブルの相談や対応まですべてをみなければならないので、ある意味では究極の雑用係のようなものである。実際はものすごく泥臭い。

ただ、マネジメントということを考えてみると、マネージャーがすべてをマネージしているわけじゃないんだよな、ということに思い至った。そうなのだ。マネージャーは確かに大変なのだが、すべてを一人で見切れるわけがない。

マネージャーは「人」を束ねているにすぎない。個々の人はそれぞれに「役割」をもち、それを全うしてくれるのが前提なのだ。

創業したての会社ならまだしも、ある程度の規模に到達した組織なら、一人ですべてをみることは不可能である。なので、マネジメントという意味では、各々にある程度、肩書きや書面等だけではなく、実態として権限や役割を委譲していくことが必要となる。
 
たとえば一般的な小売店の店舗経営だと、店長というマネージャーはいるが、一般社員だってバイトを管理しているはず。また、バイトの立場であっても、顧客対応を通じて、顧客をある程度自分の意図通りに動かす、ということが必要になる。どんな無法者でもやりたいようにやらせる、というわけにはいかない。

特徴的なのが老舗の名店などだ。客は店側が決めた作法を守らなければ食事が許されない、といったことが起こりうる。たとえばラーメン二郎などのラーメン店では暗黙のルールがあり、それを客同士が相互監視しながら守っているのだとか。

開店したばかりの店ではそういったことはやりにくいが、老舗の名店は時間をかけてそういう体制を整えたのだろう。そういった例は探せばいくらでもある。店主は厨房の中でラーメンを作っているだけに見えても、店全体のオペレーションをマネージしているのだ。

組織や仕組みができていないとすべての皺寄せがマネージャーにきてしまう。そういう弱い組織だと、まずマネージャーが壊れ、次に組織が壊れてしまう。

マネージャーというのは人をマネージするのが仕事であり、胆力をもってこなすことが必要なのだが、環境や組織を作っていき、自分抜きですべてがまわるような状態に持っていくことが必要なのかな、と。そう考えると、クリエイティブな仕事ではある。

ホワイトカラーの仕事として、PMプロジェクトマネージャーという謎の職種があるが、これはマネージャーの中でもなかなかきつい部類である。特定のプロジェクトを遂行するために任命されているが、多くの場合、チームメンバーに対してなんの権限もないため、マネジメントは困難を極める。簡単にいうと、ケツ拭き係なのだが、誰も言うことを聞いてくれないのだ。

マネージャーとリーダーも異なると思う。表面的に見えるマネジメントを一切しないリーダーも世の中には多い。その場合、参謀が優秀なマネージャーだったりする。でも、その優秀な参謀がついてくるかどうかもリーダーシップにかかっているわけで、広い意味ではマネジメントといえるかも。

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