見出し画像

「本当のギャンブル」とは……

OpenAIのサム・アルトマンがどういう経緯で同社を立ち上げ、そして退任させられたのか、についての顛末を解説した動画を見た。

スティーブ・ジョブズやイーロン・マスク、ジェフ・ベゾスなどの著名起業家は10年ほど前からよく知られており、経歴についてもだいたい把握していたのだけれど、サム・アルトマンが一般的に名前を知られるようになったのはわりと最近のことなので、はじめて知った気がする。どういう人物なのか、自分もよく知らなかった。

このあと、ChatGPTでさらに深掘りしてみると、いろんな情報が出てきた。さすがにChatGPTも、自身を生み出した人間のことはよく知っているらしい。

日本は有望なスタートアップが育たない、とよく言われる。教育が悪いんだとかいろいろなことが言われるけれど、アメリカ起業家の創業の話をみると、基本的にイノベーションが生まれるかどうかは「金の問題」だということがわかる。

何をやっても、とりあえず資金面をなんとかするのが大事で、最初はそこで必ず苦労する。AppleやMicrosoftだって例外ではない。最初のプロトタイプは資金なしでできたとしても、そこから飛躍していくためには気が遠くなるほどの資金が必要になる。なので、その成長を支える投資家が必要だ。

人間に例えるなら、身体がどんどん大きくなろうとするのに対して、適切な栄養を与えないといけない、みたいなイメージだろうか。

しかもOpenAIは単なるSNSサービスとは違い、これまでにないような人工知能を生み出そうという試みなわけで、そんなに簡単にできるわけがない。マスクが「10億ドル(約1500億円)資金提供する」と名乗り出たものの、実際には10億ドルじゃ全然足りない、ということになったらしい。途方もない数字である。

何にそんなにお金がかかるのかと思うのだが、やろうとしていることに時間をかければかけるほどお金はかかる。年収1000万円の人を100人雇ったら、人件費だけで年間10億円である。そのあいだ、プロダクトが何も完成していなくても、それだけのお金を払い続けなければならない。

最先端のAI研究者はもっと高級取りだろうし、設備その他にもお金をかけなければならないので、それぐらいお金がかかるのも当然のことなのかもしれない。

アメリカはスーパー金持ちがたくさんいて、そういうスーパー金持ちが有望な起業家に資金を投じるので成り立つ、というエコシステムがあるのだろう。シリコンバレーで起業する人が多いのも、その土地そのものに何か特別なものがあるからというより、そういう投資家が多く集まっているからだろう。

今ではクラウドファンディングなど、いろいろな資金調達方法があるとはいえ、一般人には将来有望な技術なんてわからないわけで、「民衆」に期待しても限界はあるだろうな、と思う。

ちょっと前は、単なるSNSみたいなものが莫大なマネーを産むのはなんか納得がいかないな、と思っていた。しかし、ChatGPTなら納得である。使ったことがある人なら誰でもわかるように、ChatGPTは本当にすごい。確実にこれまでなかったものだし、人類の叡智を先に進めている気がする。同時に、優秀すぎてちょっとした怖さもあるけれど。

株価が上がった下がったで一喜一憂するトレードが投資と思われがちだけれど、こういう未来に向けて「一か八か」で巨額の資金を投じ、賭けるというのが「本当の投資」のような気がする。短期的な株価の上げ下げは、要は大衆との心理戦にすぎず、単なるギャンブルだな、と個人的には思う。

まあ、そういうスタートアップへの投資こそが「本当のギャンブル」なのかもしれないが……。

あなたはどう思いますか?

サポート費用は、小説 エッセイの資料代に充てます。