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生成AIによってプログラマがやばい、とはどういうことか?

生成AIの登場によってプログラマおよびIT業界がやばい、という内容の記事を読んだ。

詳しいことは上記記事を読んでいただいたほうがいいが、乱暴に要約すると以下のようになる。

  • 「プログラミング」とは「人間の言葉がわからないコンピュータに、人間の仕事を整理して翻訳してあげる作業」だが、これからは簡単な自然言語で指示が可能になる

  • プログラマの仕事が大きく変わる

  • 現行のIT企業は、大企業(プラットフォーマー)がローンチするサービスに淘汰される

高速であらゆる処理を行うプログラムのすごいところは、それをものすごい速さで実行するコンピュータだけではなく、コンピュータが実行できるように「仕込んであげた」プログラマの頭脳のほうにある。少しでもプログラムを書いたことがある人ならば、思い通りに動かないコンピュータがいかに融通の利かない、頭の悪い存在であるかがわかるはずだ。

コンピュータは究極の指示待ち人間で(人間ではないが)、事細かに指示を与えないと動いてくれない。が、生成AIは人間の言葉をそのまま理解してくれるので(厳密には理解していないが、機能として)、破壊的な変化が起きるのではないか、ということだ。

面白いなと思ったのは、「生成AIがあなたの仕事を代わりにやってくれるわけではなく、強力なサービスがあなたの事業を駆逐する」というくだり。確かにそうかも。つまり、「明日からAIくんが仕事してくれるので、君こなくていいよ」となるのではなく、MicrosoftやGoogleといった会社がつくるサービスがあなたの会社を壊す、ということだ。つまり、シンプルに会社の業績が悪化し、ある日潰れる。これはなんかしっくりくる。

本件とはあまり関係ないかもしれないが、自分の身近な例で考えても、「プラットフォーマーの提供するサービスを利用したほうが利便性がいいな」と感じることが増えた。

最近、自分が普通に使っているMacBookAirが壊れたので、新しいものに買い替えた。使っていたものが完全に壊れてしまったので、データの同期などが心配だったが、Googleドライブなどに保管してあるものはもちろん無事だった。が、以前からずーっと使っていたDropboxが問題だった。

実は、Dropboxに連携していたメールアドレスはずいぶん昔に作ったアドレスで、放置してしまっていたため、アドレスそのものが消滅してしまっていた。具合の悪いことに、Dropboxのアカウントログインがロックされてしまったので、どうにもならない状況になった。

カスタマーセンターに問い合わせたものの、どうも簡単に解決しそうにない。そこで、DropboxにアクセスできるiPhone経由で、中にある数千のファイルをちまちま落とし、それをMacに送るしか方法はないか、と思った。

ところが、試しにいくつかダウンロードしてみると、iPhoneに連携されているiCloudというクラウドが作動し、それ経由でMacBookにもデータが自動的に同期されたのである! これは便利だな、と。そして、アカウントが完全に独立しているDropboxよりも、そもそも最初からAppleのクラウドサービスを使ったほうが便利なんじゃないのか、と思うに至った。

そういえば昔はメモアプリであるevernoteとかも使っていたけれど、経営が厳しいらしく、昔と比べて使い勝手が悪くなった。メモアプリもいろいろあるけれど、結局iPhoneに入っている純正の「メモ」が一番手軽だし、各端末に自動で連携されるので、一番便利だ。

そう考えると、昔は使っていたけどいまは使っていないサービスって結構あるな、と思った。昔はパソコンにウィルス対策ソフトなどを入れるのが当たり前だったが、いまではOSを最新にアップデートするほうが安全だ。しかも、ウィルス対策ソフトは重いし、裏で何をしているかわからないので有害ですらある。

先日も、セキュリティソフトのAvastが収集した情報を売っていた、ということでペナルティを食らっていた。



話が若干それてきたので、プログラムを「作る側」の話に戻る。生成AIの登場によって、プログラミングの敷居が下がることは間違いないのだけれど、プログラマがいなくなる(あるいは限定的になる)のだろうか。

たとえば、家電などの組み込みや、産業用ロボット、金融システムなどは厳密なプログラミングが要求されるので、技術者という意味では必要だろう。SaaSなどが影響を受けると記事にあるので、どちらかというと影響が強いのはウェブ系のサービスなのかもしれないが。

現状の生成AIは不安定で、出力するたびに違う結果が返ってくる。しかし、デバッグなどのめんどくさくて手間のかかる工程こそ、AIに人海戦術的にやってもらったほうがいいんじゃないか、というような気もする。人間は自然言語でAIから報告を受け、自然言語で修正指示をする。確かにそうなると、プログラマの数自体は減るかも。

プログラムを「使う側」としては、AIがもっときめ細かく面倒見てくれると助かる、というのはある。入力項目が抜けていたりするとエラーメッセージが無機質に返ってきて進めない、というのはよくあったりするが、そういうときのケアもいまの生成AIのクオリティならもっと丁寧にできるような気がする。

しかし、そうやって柔軟性を持たせると、今度はAI相手に詐欺行為を働く人も出てきそうだ。詐欺の手法もAIで高度化して、AI対AIの騙しあいバトルのようになったりして。

プラットフォーマーにサービスがどんどん集約されていく、というのは確かにそうかもしれないけど、それがいわゆるGAFAMとは限らないんだろうな、とも思う。実際、OpenAIもGAFAMとは異なる出自である。AI時代においては、また覇権交代も起きるのだろうか。

個人レベルでみると、高度なプログラミングスキルが必要なく、いろんな仕事を肩代わりしてくれるという側面から、本来は10人規模の人を雇わなければならないようなビジネスでも一人でできる、といった変化が生まれるかもしれない。趣味レベルでいうと、たとえば一人でゲームを作ったり、ということがもっと当たり前になるだろう。

ユーザーにとっては、大きいプラットフォームに依存していれば快適な社会になっていく一方で、技術者にとっては危機、と。営業などの仕事の人も、自分の会社が潰れては生きていけない。

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