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食べていけるギャンブル、食べていけないギャンブル

いま、ニュースではメジャーリーガーの大谷翔平の通訳である水原一平氏が解雇された話題で持ちきりである。なかなか衝撃的なニュースで、全然野球に関心のない自分でも気になるほどセンセーショナルな出来事だ。

まだ捜査が開始されたばかりということで、真相がどうなっているのかは憶測の域を出ない。今後の動向に注目したい。

いまの時点で濃厚なのは、水原氏がギャンブルにハマり、巨額の借金を作ってしまったらしい、ということだ。

なぜ人はギャンブルにハマってしまうのだろうか。専門家によれば、ギャンブル中毒というのは完全に「脳の病気」であり、コントロールがきかなくなってしまう、ということらしい。

確かにそれは理屈の上ではそうかもしれないけれど、何億円も借金するほどギャンブルってハマるものなのだろうか。

ギャンブルで得られるものはスリルであり、脳内の快楽物質なのだろう。つまり、ヒリヒリするのを楽しむものだから、持っているお金が多ければ多いほど、賭ける金額も大きくなっていくのだろう。

ソフトバンクグループの孫正義がビジョンファンドの投資で成功したとか失敗したとか言っているが、その金額の上下がすごい。1兆円儲かったとか、2兆円損したとか、そういう規模での話であり、一般人からすると理解が追いつかない。僕にとっての100万円ぐらいが孫正義にとっての1兆円ぐらいの感覚なのだろうか(僕にとっては100万円でも大きいが)。

なので、なぜ何億円もギャンブルで負けてしまったのか、というのは、単純に水原氏がものすごい額の給料をもらっていたから、という結論になりそうだ。それでも、水原氏の年収は7000万円ほどで、7億円弱というのは巨額であることに変わりはないのだが。

ギャンブルにはまってしまう心理は恐ろしい。僕はギャンブルらしいギャンブルはやったことがない。宝くじも買ったことがないし、馬券も買ったことがないし、パチンコもパチンコ店にすら入ったことがない。FXや株式投資もやっていない。仮想通貨にも興味がない。

客観的にみて、たぶんギャンブルにあまり向いている性格ではないんだろうな、と思っている。どういう人がギャンブルに向いているのかはわからないが、おそらく勝負に熱くなってしまったり、負けず嫌いだったりする人は向いていないのだろう。

粘り強くて負けず嫌いであれば負けの損失を勝って取り戻そうとしてしまうはずで、そういう心理になってしまうと、基本的には餌食になってしまう。ギャンブルは熱くなったやつが負けるのだ。

面白いことに、プロが存在するギャンブルと存在しないギャンブルがある。

たとえば宝くじはプロのいないギャンブルだ。当たりが出やすい売り場とかいろんなことが言われてはいるが、基本的にはどこで何を買おうが均等に機会が割り振られるのが宝くじで、そこにはノウハウも何もない。

再現性もないので、宝くじで食べているプロは存在しない。競馬も胴元が抜く金額が大きめということで、競馬だけで食べている人はいないのではないかと言われている。

プロが存在しているのはパチンコである。なぜパチンコはプロが存在できるのかというのを以前調べたことがある。

パチンコという遊戯は店側がどれぐらい当たるかの確率を操作することができる。俗に優良店と呼ばれるお店では、比較的当たりやすい台が一定数存在する。その当たり台を回すことができれば、自然と利益が出るというわけだ。

厳密な数字ではないがわかりやすく言うと、9割のお店は店側が勝つような設定になっているが、1割のお店は優良店なので、まずはそこに行く。その優良店のなかでも9割の台は店側が勝つような設定になっていて、残りの1割が「よく出る台」である。そこを狙う。その出る台で、長時間正しく打ち続ければ、自然と利益が出る。そういう仕組みらしい。

パチンコの腕とかそういったものはそれほど関係がなく、良い台を何らかの情報使って探し、あとはその台を長時間プレイし続けると、確率はだんだん収束していき、自然と儲かるという仕組みらしい。

つまりパチプロというのはドキドキしながらパチンコをしているわけではなく、そういった情報収集をしながら確実に儲かる方法をとっているということになる。

むしろ長時間プレイすることによって、あらかじめ知っていた期待値に結果がどんどん収束していくので、ドキドキとは正反対の作業だろう。慣れてくると、あらかじめ時給換算もできるようだ。

パチンコを楽しんでいるようではプロではないと言えるかもしれない。そうなると、もはや単なる「仕事」なので、もっと生産的なことがしたい、と思うのが自然だろう。

ギャンブルをやっている人たちは、基本的にはドキドキしたいと思ってやっているに違いない。なぜそれが楽しいかの心理はいまいちわからないのだが、「脳の病気」ということなので、自分ではコントロールできないのだろう。

大谷翔平の話題に戻すと、水原氏が解雇されたことは覆せないようだ。せめて大谷氏のキャリアに傷がつかないように祈るばかりである。

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