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想像以上に、世界は歪んで見えている

身体を鍛えると世界の見え方が変わる、ということについて書かれた書評を読んだ。

書評を読んだにすぎず、実際に本を読んだわけではないので細かいところまではわからないのだが、そうなのか、と感心した。たとえば体力がある人とない人によって「坂の見え方」が変わるらしい。当然、体力のある人のほうが、勾配が緩く見え、体力のない人はきつく見える、と。

面白かったのが、糖分をどれだけ摂取しているかがその人の判断力に影響を与えるというもの。糖分が不足していると、通常より辛い判断になるらしい。普通の人だったらそれほど問題はないだろうが、裁判官や医者など、ちょっとした判断が人生や命に直結するような職業の人は、けっこう致命的なバイアスになりそうである。

たとえば睡眠時間がとれていないときには判断力が低下するなども含めて、経験的にわかっていることだ。しかし重要なのは、「普通の人が思っているよりも」影響を与えている、ということだろう。

なにか上司の決済が必要な場面で、上司の機嫌がいいときを見計らって持っていく、というのは意外と本質を突いている、ということだろう。「全力でプロジェクトを成功させる」ということは、こういう「決済のタイミング」さえも調整するものなのかもしれない。逆に上司の立場なら、ちょっと注意すべき事態とも言えるが。

中間管理録トネガワ(2) (ヤンマガKCスペシャル) 福本 伸行 (著), 橋本 智広 (著), 三好 智樹 (著), 萩原 天晴 (原著)


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中間管理録トネガワ(2) (ヤンマガKCスペシャル) 福本 伸行 (著), 橋本 智広 (著), 三好 智樹 (著), 萩原 天晴 (原著)

その人のコンディションや能力によってものの見え方が変わるということは、価値観そのものにも影響を与えると言える。人よりもたくさん努力をする人は、多少の損失は気にならないのではないだろうか。

体力がない人にとっては必死の思いで稼いだ金も、体力がある人にとっては「まあ、また稼げばいいか」と軽く考えられる、ということはあるだろう。

そういう意味では、体力のない老人でそれなりに資産を持っている人は、自分がすでに所持している資産に執着する、ということはあるかも。若い人だったら全財産を失っても「まあ、なんとかなるか」で終わるけれど、老人になるとそうもいかないだろう。

「老人が小金を溜め込んでいる」ことが問題視されることもあるけれど、仕方のないことなのかな、とも思う。

個人的な感覚では、「食べ物の見え方」がそのときのコンディションによって大きく変わる気がする。お腹が空いているときは食べ物がおいしそうに見えるが、病気になると、いままで普通に食べていたものを食べるところがイメージできなくなる。

病気になって食が細くなっているときに、高カロリーな食べ物をバクバク食べている人を見ると、そのエネルギーに圧倒されることがある。食が細くなった老人が若者が「食べるところを見る」のが好きなのも、そういうことなのかも。

YouTubeでは、若い人がただものを食べたりすることをコンテンツ化したものが多く見られるが、それを見ることでエネルギーをもらえたりするのだろうか。

世界を「見る」ということは、客観的な行為ではなく、相当なバイアスがかかっていることになる。それがわかっていたとしても、おそらく「自分が想像している以上に」世界は歪んで見えているのだ。

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