長らくサボっていた書評ブログを1年ぶりに再開することにしました。積読量もすごいことになっているので、徐々に読みたい本を消化しながら書いていこうと思います。続くように、なるべく軽く、ゆるく。
今回は、私がプロダクトマネージャーとして勤めている株式会社Shippioのプロダクト組織では必読書認定がされた「解像度を上げる」です。
名著でした。3年くらい前に読んどきゃよかった…
本を読む前からこちらのSpeakerDeckスライドは何度も見て参考にしていたのですが、より詳細な内容が記されるということで手に取ったところ、何度も読み直したくなる良書でした。
スタートアップむけの指南書ぽい体裁ですが、特にプロダクトづくりに携わる人間にはおすすめできる内容です。
ビジネスの現場では「ふわっとしてて前に進まない、次の判断ができない」みたいないわゆる”解像度が低い”と感じるシーンが多々ありますが、そういう曖昧な状況・思考をより明晰にし"解像度を上げる"方法を「深さ」「広さ」「構造」「時間」の4つの視点で解説しています。
なぜプロダクトづくりに携わる人間にとっておすすめかというと、プロダクトづくりは
課題の解像度を上げる活動
解決策の解像度を上げる活動
課題・解決策の仮説検証と学習を通して、顧客価値を生む活動
の繰り返しだからです。
本書では、上のうち1と2についてかなり細かく記載されているので「あれ、自分の今の解像度低くないか?」と感じたら立ち直れるような一冊になっています。
以下、本書から印象に残った点を抜粋・コメントしておきます。(順番めちゃくちゃなメモなので文脈がわかりづらいことはお許しください)
これはまさにプロダクトディスカバリーにおいても全く同じことが言える。
解像度の「深さ」が不足している時にでる言葉には一定のパターンがあるので、こういう言葉を聞いたら疑う、あるいは、7段階まで深ぼる。
ググればなんでもわかる時代だからこそ、ユニークな洞察・高い解像度を得るのに最も大事なのが「行動」。プロダクトづくりにおいても、(例えばvertical SaaSの世界では)業界知識をつけることも大事だけど、何よりもまずは足を動かして顧客と話して顧客と課題を理解することが第一。
それな!超大事。難しいけど。目的と問いが上段にあって、その達成のために解像度を上げるのであって、「解像度を上げるために解像度を上げる」みたいな状況に陥るとダメ。時間は有限。
名著「イシューからはじめよ」を思い出す。改めて大事。書籍内の記述はかなり詳細に分解して解説してくれているので、必読。
解像度の「深さ」を上げるための良質な情報収集・整理について、かなり詳細に記述があるので、ぜひ本書を読んでほしい。以下は抜粋。
インタビューでは「隙あらば深ぼる」「曖昧さを残さない」「課題を定量化・比較可能な状態にする」
わかる………. これは自分も失敗したことあるやつ。
「ある時点で顧客が理由を答えられなくなる」というのは本当にその通り。いかにここを超えてもう2~3段階深掘りできるかが大事。
これは社内でも話題になった一説。例えば「書類管理が大変」というのは課題の解像度が低すぎる。"書類管理"と"大変"のそれぞれに対して、分解と深掘りが必要。
解像度における「広さ」の話。起業家に限らず、ビジネス・開発・顧客の交差点に立つプロダクトマネージャーにも同じことが言える。
上記は解像度における「構造」の話。プロダクト戦略に直結する部分。
解像度における「時間」の話。例えばコロナ禍でのサプライチェーン大混乱、直近のGenerative AIブームなど急激な変化があった時、長期の目線だけ持っていても色々と見誤る。
良い解決策の条件、改めて大事。課題に対して「ちょうど良い大きさ」の解決。そして時には「ジャストフィットしない」=「あえて全てを解決し切らずに余白を設ける」ことも大事だったりする。
あらゆる解決策を知っていること、引き出しに持っていること、が解決できる課題の特定に活きる。
あえてトレードオフを作る話、QBハウスの話は頷きが止まらなかった。高品質や多機能を顧客が求めているとは限らない。あらゆる選択肢を捨てた上で、解くべき課題にフォーカスを定めた解決策となっているか。
DoorDashの話、好きすぎる。「スケールしないことをしよう」については是非本書を読むか、著者作のこちらのSpeakerDeckスライドを参照ください。
とまあ、本当は無限に抜粋紹介したい箇所があるのですが、今回はここら辺で終わります。この本自体が「解像度を上げること」について解像度が超高い本になっているし、改めて大事だと認識させられることも多く、実践的な内容になっています。
自分の場合、過去1年は「深さ」に集中していたけど「視座/広さ」「構造」「時間」あたりは改善の余地大きいなーとか考えながら読み進めました。
改めて、おすすめの一冊です。