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PdMの必読書「プロダクトマネジメント - ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける」

プロダクトマネジメント界隈では有名な本書。Kindle派の自分にとってKindle版がなかったゆえにずっと敬遠しちゃってたのですが、やっと紙で読んでみたら名著でした。もっと早く読めば良かった… 反省…

個人的には
正しいものを正しくつくる
解像度を上げる
エンジニアリング組織論への招待
あたりに並んで、個人的プロダクトマネージャー必読書に認定されました。

数年前に読んでおけば良かったなと思わされたと同時に、今読んでおいて良かったなとも感じました。プロダクトマネジメントにおけるとても重要なコンセプト(=ビルドトラップを避ける)の提言書であると同時に、明日からの業務にも活かせる実用書でもあります。

また、やはりプロダクトマネジメントに関する最新の知見は、USの書籍を読んだりMediumの記事を読んだりしてキャッチアップしないとダメで、日本国内のソースに閉じた情報だと良くないなと改めて感じました。

目次はこちらに載っているので、是非気になったら読んでみてください。
サクッと要点だけ抑えたい場合はこちら↓の資料もおすすめです。

以下、本書から印象に残った点を抜粋・コメントしておきます。(ほぼ自分の記録用なので文脈がめちゃくちゃな点はご了承ください)

「最後にリリースしたものの振り返りをしている人は手をあげてください」と言うと、通常15~20%の人が手を挙げます。そこで「では、リリースしたものがうまくいったかはどうやってわかりますか?」と質問します。答えは、期限に間に合ったとかバグのないコードだったといったものになるのが通常です。これは企業がアウトカムではなくアウトプットに最適化してしまっている良い例です。

いわゆるビルドトラップ。過去の経験から思い当たる節があるプロダクト関係職種の方は多いはず。

アウトプットとは簡単に数えられるもののことです。プロダクトの数とか機能の数、リリースの回数や開発チームのベロシティといったものです。アウトカムとは、私たちが機能を届けて顧客の問題を解決したという結果のことです。本当の価値は、ビジネスにとってもユーザーや顧客にとっても、これらのアウトカムの中で実現されます。

わかりやすく端的な説明。

プロダクトマネジメントには、既知の未知を認識して調査することと、未知の未知を減らすことの双方が含まれます。既知の既知にもとづいてソリューションを実行するのは誰にでもできます。ですが、膨大な情報をふるいにかけ、いつ、どんな質問をするかを明らかにするには、一定のスキルが必要になります。

特にスタートアップのような成功例のない新しい領域に先陣切って取り組む場合だと、「未知の未知」を減らすことの重要性が大きい。

20~30ページの巨大な仕様書を作り、機能に関するあらゆることを詳細まで記述しました。どんな機能で、見た目がどんな感じで、どう動くか、ボタンを押したときに何が起きるか、エラー状態になったらどうなるか(中略)といったあらゆるシナリオまで網羅しました。仕様書を詳細に書けば書くほど、良いプロダクトマネージャーだと思っていたのです。

自分もこう思い込んでいた時期があったのでかなり共感。本来、仕様書はプロダクトマネージャーが担う営みのほんの一部でしかない。また、そこに求められる詳細さはプロダクト組織やステークホルダーによって異なるし、詳細さの追求の為にかけた時間がそのままアウトカム(顧客への価値、ビジネス価値)に転換されるとは限らない。

プロジェクトマネージャーは「いつ」に責任を持ちます。(中略)
プロダクトマネージャーは「なぜ」に責任を持ちます。なぜこれを作るのか?どうやって顧客に価値を届けるのか?ビジネス目標をどうやって達成するのか?このようなことに責任を持ちます。

うんうん。

プロダクトマネージャーは最終的にいくつかの重要な役割を果たします。そのなかでいちばん重要なのは、ビジネス目標と顧客目標を組み合わせて価値を実現することです。優れたプロダクトマネージャーは、顧客の具体的な問題を解決する視点を保ちつつ、ビジネス目標を達成するプトダクトを開発したり、最適化したりする方法を見つけられます。

うんうん。(鬼難)

それでは以下のような一般的なプロダクトマネジメントのキャリアパスについて説明していきましょう。
・アソシエイトプロダクトマネージャー
・プロダクトマネージャー
・シニアプロダクトマネージャー
・プロダクト担当ディレクター
・プロダクト担当VP
・最高プロダクト責任者(CPO)

本書内では各キャリアレベルで担う責任範囲や業務スコープが説明されています。日本ではまだプロダクトマネージャーのキャリアパスが精緻化されていないので、USでの考え方は勉強になりました。

2005年から2010年までNetflixのプロダクト担当VPを務めたギブソン・ビドルが、プロダクト戦略を評価するための共通ガイドラインをチームの中心に据えました。そのガイドラインは
「顧客を喜ばせる。利益を多く稼げて、他者には真似のできないやり方で。」
というものです。彼はこのガイドラインを満たし、なおかつビジョンの実現の助けになるような目標を設定しました。

第3部のプロダクト戦略の話ではNetflixのプロダクト戦略の変遷が例として取りあげられていて、めちゃくちゃ参考になった。

プロダクト組織では4つのレベルの戦略展開が必要になります。
・ビジョン
・戦略的意図
・プロダクトイニシアチブ
・オプション
最初の2つは企業レベルで、残りの2つは特定のプロダクトのレベルで考えるものです。

たぶん会社によって呼び方が違ったり、レイヤーの数も異なるのだけど、おおよその考え方はこれに集約されるはず。

戦略的意図は、ビジョンの実現につながる現時点での重点分野を伝えます。戦略的意図の達成には、通常1年から数年かかります。願望や目標の長いリストであってはいけません。少数の重要なことだけにします。リストを小さく保つことで、全員が集中できるようになります。

戦略的意図の設定方法を理解するには、まずビジネス価値の意味を理解する必要がありました。ジョシュア・アーノルドは、ビジネス価値について考えるための図13-1のような優れたモデルを提唱しています。
・収益を増やす
・収益を守る
・コストを減らす
・コストを避ける

特に戦略的意図に関する解説は肉厚で、参考になった。(英語だと"Strategic Intent"と記述されてるのがそのまま直訳で"戦略的意図"になっちゃってるのは若干分かりづらいが…)

チームはしばしば、虚栄の指標と呼んでいるものを計測するようになります。この考え方はリーンスタートアップで提唱されたもので、大きくなり続ける輝かしくて印象的な目標のことです。(中略)数字のおかげで自分が投資家から魅力的に見えるかもしれませんが、プロダクトチームやビジネスの意思決定には役立ちません。

今私が務めているShippio社ではtoBプロダクトの開発をしていて、定期的にプロダクト組織が担うKPIを定義するのですが、これが超難しくて。いわゆるVanity Metrics(=虚栄の指標)に逃げてしまいそうになることもあるのだが、その度に俯瞰的な目線に立ち戻って「真に意味のある指標」を定義しよう、というのは度々チームでも会話しています。

第3部までで印象に残った部分を抜粋してみました。本当はもっとたくさんハイライトした箇所があるのですが、キリがないのでここらへんで。

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