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yagitch.comの用意周到な技術書典6(イベント当日編)

みなさん、技術書典6お疲れ様でした! この記事では私が技術書典6で冊子400部完売するまでにやったすべてのことをまとめていこうと思います。はじめから読むならこちらからどうぞ

プレイベント「サークル主LT」

イベントに先立つ4月12日、目黒で【技術書典6】サークル主LTという勝手イベントが開催されました。当日は飛び入り含めて10件程度のLTが行われ、サークル主と一般参加予定者との交流・情報交換イベントとしては成功に終わりました。

このときの教訓として「当日欠席者が出るなどして当日飛び入り枠が設けられる可能性があるので、話したいことがあったら呼ばれてなくても何か資料をまとめておこう」でした。主催者の「時間が余ったのですけど、飛び入りありませんかー?」にすぐ手を上げられなかったのは資料なしで数分喋るだけの整理が付いていなかったからです。iPad ProとHDMI変換ケーブルまで持っていたのに……残念。

懇親会はさながらサークル主の同窓会のようになっていました。技術書典5の非公式アフターで仲良く話をさせていただいたKCさんグランパさん、Twitterでは何度も絡みつつも初めて会うKANEさんてぃーびーさんVTRyoさんなのなのさん、そして注目の新顔、Auth屋さん。私のできたばかりの新刊も2冊持っていって、楽しく話をさせて頂きました。そしてLTの中で委託元のtmk.nomさんに「神」(落選サークルの救世主)と持ち上げていただけたため、その流れでみんなに「神」扱いされるという不思議な体験をしました。

私以上に被チェック数が予想外に伸びて困惑していると思われたAuth屋さんには当日ぜひとも挨拶して列のさばき方について情報交換したいと思っていたので、その通り話ができてとても充実していました。それからなのなのさんには同人イベントの運営経験者という立場からいろいろな情報をいただいたので、当日を迎えるための心構えについて心強い味方になりました。

前日

前日22時の被チェック数は459。この時点でうちのスペースに用意した3種類600部はどう考えても足りない領域に入ります。準備は2日前までにすべてやっておいたのですが、ここにきてスペース前が異常に混雑して頒布停止になる可能性がチラチラし始めました。

そして前日の寝る前に焦って最後尾札を用意したりしてました。ちなみにこの札の出番があるということは一旦頒布停止になるということですので、とても不名誉なことです。

当日

当日の天気予報は曇り。午後は下り坂で遅い時間には雨という予想です。

印刷部数400のうち、会場搬入した350は元々売れ残る前提だったので自宅分納にした50と会わせて5月3日の銭けっとと通販分に回す予定でした。ところが完売の可能性が出てきたので、急遽自宅分納分も会場に持っていくことにしました。この日のためにアマゾンで買ったキャリーカートの出番です。元々は売れ残り分を持って帰るために買ったはずだったのですが、このような形で役に立つとは思いませんでした。

ちなみに、もし売れ残り分が出た場合は会場からBOOTHに直送せず、自宅に持って帰って自宅から発送するつもりでいました。なぜなら技術書典終了後はBOOTH倉庫に受付が集中するため、倉庫在庫への反映に10日以上かかると事前に聞いていたからです。そして自宅から発送する場合でも「あんしんBOOTHパック」ならファミマでQRコードをスキャンするだけで伝票ができるので宛名書きは不要なのです。倉庫代がかからないだけお得だし、在庫の発送が自分でコントロールできる自宅発送はいいことづくめだと思います。(ちょっと面倒だけど)

現地には10:00に着きました。既にサークル入場は始まっていました。本当は9:45に集合しようという話にしてたのですが、私が荷物を運ぶのに手間取って遅刻しました。なので同じくサークル入場のeri_twinさんに先に入っててもらい、スペースで合流しました。設営に必要なものはすべて私が用意しているので、私の遅刻はそのまま設営時間に響きます。

eri_twinさんとはこのときが初対面です。このときまで顔も背格好も性別も一切分からなかったのですが、会ったことでようやくドキドキが晴れました。そしてすかさず設営に入ります。設営はちょうど予定していた1時間を使い切るような形で終わりました。

ひつじさん来訪

設営を始めてしばらくした頃、eri_twinさんに呼ばれてふり返ったらなんと技術書典主宰のひつじさんがいました。何か不手際でもあったかなーと話を聞くと、混雑対策についての注意喚起でした。おそらく事前申告の頒布数と被チェック数との兼ね合いから要注意サークルとされたのでしょう。

スペース前はかなり混雑することが予想されるのでスループットを上げてね。5人いるなら最大3並列で売り子をしてね。混雑対策担当は通路を空けるように人をスペース側に押し込めてね。という様々なアドバイスを受けました。そして自力で対処できない場合はスタッフを呼んでください。自力でも呼べない場合は周りの人にお願いして呼んでもらってください。という超大事なことも言われました。

そしてここからが恐怖です。最悪混雑対策が間に合わない場合は頒布停止にするという話です。その場合は過去の技術書典で湊川あいさんのサークルが非常口サークルになったように、一旦頒布停止した上でスペースの引っ越しが行われ、非常口近くに行列させるという方式がとられます。おそらく何分か頒布できない状態になるので時間のロスになりますし、運営スタッフもうちの売り子も含めて全員が大変なことになるのでできればなりたくないところではあります。

今回うちのサークルは島中配置なので行列を作ることができませんが、非常口近くだとどんどん行列を作れるので、ここで「最後尾」札が生きることになります。生きるのはいいけど私は嫌ですね。

ひつじさんの来訪で、私の危険メーターは振り切れました。これは完全にマズい。バックアップとしてお願いしていたリアル友人には「待機中止。一般入場で最速で来てくれ」と連絡し、いろいろなことを諦める算段を考え始めました。

まず頒布統計の記録をやめることに決めます。次にお隣のサークルさんに挨拶して(この時点で挨拶がまだだった)、混雑が予想されることについてのお知らせと、もしものときはスタッフを呼んでもらうかもしれませんという話をしました。そして在庫を、後ろにある値札が隠れそうないっぱいいっぱいまで積み上げて備えます。

開場

11時の開場を迎えて、スタートはすんなりといきました。問題は12時頃と14時頃に予想されるピークタイムです。

結果から言うと、若干回数は通路を塞いでしまうような混雑になることはあったものの、総じて平準化されていたようです。前回の技術書典5は私のところやお隣の人気サークルさんなどで混雑して通路を完全に塞いでしまい、スタックしてしまうことがありました。しかし今回は人数の多さに比してスムーズだったように思います。後で混雑対策担当に聞いたら「混雑が解消したら待機列が入ってくる、ということを繰り返していてうまく流れになっている」ということでした。

開場後すぐに、一般入場予定だった委託元の売り子2人が到着します。そこからは4人の売り子と1人の混雑対策担当が交代しながら頒布を続けていきます。12時台に早速『Pragmatic Terraform on AWS』の冊子100部が完売。続いて14時過ぎに『継続的にアウトプットする技術』の冊子400部が完売。16時過ぎに『継続的にアウトプットする技術』のダウンロードカード単品100枚が完売となりました。

私のアウトプット本が完売しないことを前提にBOOTH通販を受け付けていたので、完売が近づいてきて焦りました。とりあえず10部ほどをひっつかんで待避させ、スマホでBOOTHの通販注文件数を確認します。そしてすかさず在庫を0にしてBOOTH頒布を中止しました。待避させた在庫からその時点での通販注文分(1件)と取り置き分(1件)だけを残し、あとは売り場に戻します。こうしてなんとか、「注文を受けたのに渡すものが無い」という最悪の状況を回避しました。残念だったのは、最後に売り子に御礼の一つとしてあげる用の分を取っておくのを忘れたことです。

スペースレイアウトの反省点としては、サークルべんりカードがスループットのボトルネックになったことです。かんたん後払いの利用率が予想以上に高かったので、2並列で売り子していると右の来場者と左の来場者が同時にQRコードをスキャンする場面がありました。ところがうちのスペースの場合サークルべんりカードは左端に置いていたため、右の人のために移動させなくてはならず、スキャンを待たされる状態になったりして購入を待ってもらうときがありました。そしてカードが右に行ったり左に行ったりして置き場所の取り合いのようになっていました。あらかじめ左右にそれぞれQRコードを準備しておけばこのようなこともなかったのではないかと思います。次回に生かしたいと思います。

呼び込み

うちのスペースの方針として、呼び込みは極力しないことにしました。というのも前回の技術書典5では「同人イベントにしては騒がしすぎる」という否定的な意見をいくつも目にしたからです。前回はマナーの悪い呼び込みもありましたし、その影響もあって今回は「通路での呼び込みは禁止」となっています。今回もたくさん呼び込みは耳にしたものの、それほど眉をひそめるほどではないかなとは思いましたし、騒がしすぎるという意見も事後で聞くことはあまりありませんでした。もしかすると同人イベントの一つとして見られていた技術書典が、ひとつの特徴あるイベントとして「そういうものだ」という捉え方をされたのかもしれません。だとしたら少し嬉しいですね。

ただ、やはり私は極力呼び込みをしないという方針を変えるつもりはありません。やるとしても自スペースの前以外に届くような声ではやりませんし、不特定多数ではなく、目線を合わせての「声かけ」にとどめると思います。私が公開した売り子マニュアルでもそのように書いていますが、ここに関してはサークルごとにそれぞれの考えがあるでしょうから、うちのサークルの方針として見て頂ければと思います。

隣へのはみ出し・バックヤードのはみ出し

混雑してくると頭が痛いのが、自スペースへの来場者が隣スペースへはみ出すことです。これに関してうちのスペースは今回まったく褒められたものではありませんでした。

はみ出さないように何度も声かけしたものの無駄で、お隣さんが「大丈夫ですよ」と大目に見てくれるから何とか助かったようなものです。同人イベントの経験のない来場者はおそらく隣のスペースと責任分界があるということを知りませんし、行列ができない以上はスペースの陳列を見ようと横から回り込みたくなるのが心情というものです。私はお隣さんの好意に甘えて、混雑担当には「隣のスペースを完全に隠すような場合だけ声かけして」という指示を出しましたが、本来なら許されるようなものではないと思います。

また、バックヤードへの荷物の置き方も反省点の一つです。うちのスペースは左が隣スペース、右がバックヤードから通路に出るための隙間になっていたので、人がよく通る場所になっていたのですが、スペース後方に5人分の荷物と3種類の開けっぱなしの段ボール箱を積んだことで、他のスペースに比べて広く場所を取ってしまいました。そのため左右方向に通りにくいと感じられた方も多かったと思います。段ボール箱が捌けていくに従って専有面積をどんどん小さくできたのですが、反省です。

また、スペース前に来客が来たことで立ち話で通路に出るための隙間を塞いでしまうことが何度かありました。声をかければみなさんどいてくれるのですが、ちょっと申し訳なかったなと思います。

名前を覚えてもらうために

当日はTwitterアイコンと名前を書いた紙を首からぶら下げていました。売り子しているときに著者だと分かればいいかなと思ったのと、あちこちのスペース(特にTwitter中心で絡んでいた人たち)に挨拶に行くときにアイコンを見せればスムーズだろうなと思ったからです。

私は人の名前を覚えるのが苦手なので、私の名前とアイコンもみなさんに一発で覚えてもらえるとは思っていません。プレイベントで一度会話した人であっても名乗り、念のためアイコンを見せるようにしました。

それからスペース店頭では名刺を自由に持って行けるようにしました。今後も同系統の本を出せるかは分かりませんが、私という人間をウォッチしてもらえるようにするためです。

挨拶回り

完売が出てうちのスペースの頒布が一息ついた15~16時台に、買い物と挨拶回りを行いました。きりみんちゃんところやGrowthfactionさんところ、FORTEさんやリアル友人のサークルなど、Twitterやリアルで顔見知りの人たちのところには時間の許す限りで挨拶に行きました。(行けなかったところもあり残念)

みんなのサークルスペースの作り方を見たり会場の混雑具合を偵察するためでもありました。ワンオペだった前回と違って、このようなことができる余裕が持てたのは良かったと思います。立ち読み広場が大盛況なのを確認して、見本提供してよかったなと思いました。

終了

いろいろありましたが、最後までなんとか頒布停止になることもなく終了しました。混雑で来場者にケガでもさせたらどうしようと運営スタッフ同様に心配していましたが、スタッフさんたちの頑張りによって会場内の混雑は一定水準以下になり、売り子の一人としてはスムーズに頒布することができて良かったと思います。

あと大事なのは置き引きやスリ、喧嘩や大けがなどのトラブルがなかったらしいことですね。みなさんマナーとルールを守って気持ちよく過ごせたようで私も参加者の一人として嬉しいです。

非公式アフター

売り子の1人とは会場で別れ、委託元の2人と共におやかたさん主催の非公式アフターに参加してきました。私はひたすらコーラをがぶ飲みするマンとなっていましたが、サークル主LTの参加者たちと再会して仲良くお話しさせて頂きました。LTもそれぞれ特徴があって楽しかったですね。

最後の方でマイクを頂けたので少しスピーチさせてもらいました。みんなと同じことを話すのもどうかと思ったので、「みんな余力があったら委託を受けて、本をみんなが出せるようにしようね」というトピックに絞って話しました。大勢の人前でスピーチするのは久しぶりだったのでずいぶんと緊張しました。すると直後に続くスピーチでeri_twinさんが「yagitchさんに助けてもらって出せた本がここにあります」と言ってくれたので、私は再び「神」扱いされ、すっかり照れてしまったのでした。

被チェック数

最終の被チェック数は604でした。ここまでの数字になるとはまさか思いませんでした。

Twitterで被チェック数の最終予想を何度かツイートしたりしてたのですが、それが実際に精度が高かったようで良かったです。肝心の自分の予想は外しましたけどね!

翌日以降

翌日は筋肉痛に悩まされました。イベントの前半はずっと立ち通し、後半は椅子に座りながらも受け渡しの時は立ち上がったりするので、背中から肩、二の腕にかけての範囲がじんわり痛い感じになりました。でも冊子400部を売り切った満足感でいっぱいでした。

イベントが終わったら戦場はBOOTHへと変わります。Twitterの固定ツイートをサークルチェック誘導からBOOTH誘導に差し替え、電子と紙あわせて500部完売したという実績をアピールします。

BOOTHへのアクセスはイベント当日をピークにゆるやかに下がっていく傾向です。

そして面白かったのが、リアル友人であるkawagoiさんのサークルの本『理論と事例でわかる自己肯定感』がVTRyoさんのツイートでめちゃくちゃバズって、VTRyoさんとkawagoiさんがどちらもビックリしていたことです。

これでこの本はBOOTHのスターダムを一気に駆け上り、現在は技術書典6新刊ランキングで4位、ふぁぼ数では2位になっています。

ちなみにこの本をVTRyoさんに奨めたのは私だということが後でわかって(私はそんなこと忘れてた)、kawagoiさんからも「神」と呼ばれてしまいました。

一方で私の本はと言うと、イベント終了後丸3日くらいは1~2時間ごとに昼夜に関わらず注文完了メールが届くような状態でしたが、その後はぱったり途切れました。とは言え、PDFで50部も捌けたのは上々なのではないでしょうか。今もランキング40位以内には入っているので、こまめにBOOTHのランキングページをツイートしたりRTしたりして、この技術書典6新刊一覧ページを見る人が多くなるよう仕向けて、おこぼれを狙っています。

おわりに

以上、1月から4月まで技術書典6のためにやったことのすべてをまとめました。長くて読みにくかったと思いますが、最後までお読み頂きありがとうございました。このような地道な努力によって累計600部に届こうとしている私の本に興味を持ってくだされば幸いです。あと、委託編の記事はあとで書きます(書きました)。

あと、ここには書かなかったもっとこまごまとした小手先のノウハウもたくさんあります。技術書典7に向けてアドバイザーとして雇うなら今です。絵も描けますので、表紙含めたトータルデザインとアドバイス、セットで丸投げ請け負います。はじめて本を出そうと思って挫折しそうな人がいたら、こういう仕事をできる人もいるんだよということで選択肢に含めていただけたらと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました。技術書典7でまたお目にかかりましょう!

(このエントリは3部作です。はじめから読むにはこちら

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