技術書典のサークル委託って実際どうなの?

技術書典6で私は2つのサークルから委託を受け、無事に頒布を完了しました。この記事では委託する方・される方向けに、委託って実際のところどうなの? という話をしたいと思います。

結論から

結論から言いますと、以下の注意点に気をつければ大丈夫です。

・面識のある人でないとお金の管理を任せづらい
・熱量に差があるとすれ違いがちになる
・知識量に差があるとやきもきする

ということで、「多少なりとも互いに面識がある場合に、初心者サークルが委託元となり、経験のあるサークルが委託を受ける関係については問題なく回るだろう」というのが結論です。

言葉については混乱しそうなので、委託元になるサークルを「委託側」、委託を受けるサークルを「受託側」と言葉を換えて説明します。

委託側のメリット・デメリット

メリット
・落ちても本が出せる
・経験のあるサークル主にお任せできる

デメリット
・サークル主を信用する必要がある
・お金の管理が面倒
・何かと気を使う

「落ちても本が出せる」のが最大のメリットです。締め切りがなければ人間は書きません。委託であっても頒布の場が用意される以上締め切りは締め切りなので、ほぼ確実に本が形になるというメリットがあります。

受託側のメリット・デメリット

メリット
・扱う本が増えて賑やかになる
・売り子を確保できるかも
・いいことした気になる

デメリット
・手間と面倒ごとが増える
・お金の管理が面倒
・何かと気を使う
何が何でも落とせない

受託側のメリットは正直そんなにありません。私は同人経験の一つとしてやりたい気持ちと、どうにかして世に出せる本を1つでも2つでも増やしたいという社会貢献の気持ちから応じましたが、トラブルがとにかく嫌な人はデメリットの方を大きく感じると思います。

それから、委託側は本ができているのに受託側が本を落っことしてイベントを迎えると、受託側サークルさんは自分の本でもないのにイベントで本を売らざるを得なくなることになります。これでは体面が悪いですね。なので「何が何でも落とせない」という強いプレッシャーになります。

実際に受託してみた立場から考えた「やぎっちメソッド」

冒頭の結論で挙げた「初心者サークルが委託側、経験のあるサークルが受託側の関係」というのは、そのまま技術書典6にて私が経験したものと同一です。仮に私のやり方を「やぎっちメソッド」と呼ぶことにします。今回私は受託側として、委託側サークルをTwitter上で2枠募集しました。そして2つのサークルが応じてくれました。どちらも技術書典には出展したことのない未経験サークルです。そして、面識はまったくありませんでした。(フォロワーですらありませんでした)

そしてすぐにTwitterのDM経由でのやりとりが始まります。このとき私が心がけたことは以下です。

・決まった情報(スペース番号や、運営からのお知らせに伴いアクションが必要なものなど)は自分で止めず、すぐに連絡する
・今後予想されるスケジュールなどもあらかじめ連絡する
・こちらの立場が強くなってしまうので、できるだけフレンドリーさ・話しかけやすさを保つ

「やぎっちメソッド」の受託側のメリットは、経験値が高い受託側のペースで何でも話を進められることです。そして委託側のメリットは、経験がなくてもある程度おまかせで話を進められることです。

ですから、受託側が議題として上げなくては何事も決まりません。なので話を受託側の中で止めてしまうことは御法度なのです。また、委託側はつねに「この人を信用して売上を任せてしまっていいのだろうか?」という不安に囚われますので、そうならないように信用できる人間であることをアピールし続ける必要があります。話しかけやすさを保つのはそのために重要なことです。

やぎっちメソッドの特徴「見かけ上は合同サークル」

一般的に同人世界で「サークル委託」といった場合、委託側は委託をするだけで、受託側は自前で売り子を用意して頒布するようなイメージになります。しかしやぎっちメソッドでは委託側に売り子をお願いします

ちょっと混乱しますね。受託側は本の委託を受けつつ、同じ人に売り子として本の頒布をお願いするのです。つまり見かけ上は2つのサークルが同じスペースでそれぞれの本を頒布することになります。まるで合同サークルですね。ところがこれは合同サークルではありません。すべての本について頒布責任が受託側にあるのです。(合同サークルだと責任比率がある)

なのでスペースをどのように作り上げるか、どのような方針で頒布するかはすべて受託側の一存で決められます。委託側(売り子)は経験が少なくても受託側の言うとおりに頒布すればいいので気が楽です。おまけに自分の本を自分の手で頒布でき、満足度が高いです。

お金の問題

合同サークルだとおそらく出展費用を分担することになりますが、今回私は一切を自分で負担しました。一部を負担してもらうことを検討したりはしたのですが、負担割合が責任割合になってしまうので明快に一人で責任を持つことにしました。

当日のスペースにある財布(レジ)の責任もすべて私にあります。なので帳尻が合わなかった場合はすべて私が被ることになりますし、実際精算の時もそのようにしました。

同人世界の事情に詳しくないので、委託手数料などをみなさんが取っているかどうかは分かりません。私は手数料は一切取らず、売上分はそのままお渡ししました。売り子をやってもらえるだけで有り難かったからです。その代わり売り子としての謝礼は渡していません。このあたりは考え方の分かれるところだと思います。

まとめ

「やぎっちメソッド」は同人サークルのインターンのようなものだと思います。ですのでお互いに敬意を持ち、上で挙げた注意点に気をつければうまく回ることと思います。

もし余力があるサークルさんがいて、技術書典7でも運良く当選した場合は、どうか初出展予定だった落選者を見つけて声をかけてみてください。

「うちで出しませんか」と。

以上です。最後までお読み頂きありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?