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【神在月の島根を歩く】 母とふたり、出雲大社で早朝参拝

「出雲大社に行こう」

10月も後半に差し掛かったある日、突然そう思った。思い立ったらすぐ調べないと気が済まない私は、すぐさまバスの予約サイトを開く。

何が何だか分からないうちに今年も後2ヶ月だ。景色の変わるスピードが速すぎて、毎日何かをやり残しているような感覚が残る。その何かは少しずつ、でも確実に心の底に沈んでいった。

だから自分をリセットしたかったのかもしれない。今出雲大社に行かないといけない気がしたのだ。あまり時間も取れないので11月の頭に1人で行き、さっと帰る予定だった。

しかしこの話を母にしたところ、
「出雲大社行ったことないねんな〜。一緒に行こかな!」と、ノリノリの連絡が入った。普段母と旅行に行くことがない私は、この返事を意外に思いつつも「いい機会かもしれない」と思った。

最近人生について考えることが多い。そうした時にいつも頭をよぎるのは「親孝行は出来る時にしないと後悔する」ということだ。自分だって、いつどうなるか分からないのだ。こうして旅を共にすることが親孝行になるのかは分からないが、少しでも楽しんでもらえたらと思う。

しかし母が来るとなると考えなければいけないのは旅程のことだ。そもそも今回は弾丸の日帰り旅。次の日の夕方からは別の予定があるため宿には泊まらない。

大阪から島根の移動は高速バスの予定だし、往復のことを考えると60代半ばの母には辛いかもしれない。適宜休憩を挟むか、もしくは宿を探したほうが良いのかもしれない。プランを練り直そうかと悩んでいたのだが、母からは「今決まってるプランのままで良い」と言われたのでそのまま決行することにした。

今回のプランは出雲大社で参拝し、時間があれば木綿街道へ行き、その後玉造温泉に行く予定だ。

予定では朝6時50分に出雲大社に着く。折角なので7時40分開始の早朝参拝ガイドツアーを申し込んでおいた。

22時40分発のバスに乗車

私の前の席には大学生らしき女の子が座っていた。帰省するのかな、なんて思いながら見ていたら座席の倒し方が分からないらしく困っていたので声をかけた。話したのはほんの一瞬だったけど、こうして同じ日に同じバスで同じ場所を目指す人には仲間意識を持ってしまう。袖振り合うも多生の縁ということなのだろう。

〜 6時20分 〜
予定より30分早く出雲大社に到着。
乗り込んだ時は満員だった車内だが、終点である出雲大社に着いた時には1/3しか乗っていなかった。みんないつ降りたんだろう…。途中の停留所の記憶が全くない。

夜行バスなんて随分と乗っていないであろう母のことが心配だったが、「あ〜、腰痛くて全然寝れんかったわ」と口では言いつつ、とても元気そうだったので安心した。

世界はまだ眠っている

朝の空気は澄んでいて気持ちが良かった。綺麗な朝焼けを見ていると心が落ち着く。早朝の出雲に母と2人でいることが新鮮で、なんだか不思議な感覚だった。時間もあるのでツアーが始まるまではゆっくりと散策することにした。

緑色のポストがレトロ可愛い
この素敵な旅館は竹内まりやさんのご実家らしい
まだ開いてないがきっといちご飴のお店

写真を撮っていたらあっという間に早朝参拝ツアーの時間になった。

出雲大社の玄関口である二の鳥居

ツアー参加者は6名。想像していたよりも多かった。神在月だというのは事前に調べて知っていたが、神在祭の期間は11月22日〜29日なのでまだ微妙に早いのだ。だからもっと少ないと思っていた。

ちなみに神在月とは…

旧暦10月。全国の八百万(やおよろず)の神々が出雲の国に集まる月。他の土地では神様が留守になるので神無月といいますが、ここ出雲では神在月と呼びます。
神々が集う出雲の各神社では「神迎祭(かみむかえさい)」に始まり、「神在祭(かみありさい)」そして、全国に神々をお見送りする「神等去出祭(からさでさい)」が行われます。

出雲観光ガイドより引用

ガイドさんによるとこういうことらしい。

「今は神在月なので、早朝でもたくさんの人が来られます。神迎祭は少し先になりますが、でもだからと言って神様がいらっしゃらないわけではないんです。神在月である11月は全国の神様が島根にいらっしゃっています」

折角出雲大社に行くのに神在祭と時期がずれることを気にしていたのでちょっと安心した。

同じツアーには夜行バスで前の席に座っていた女の子もいた。折角同じツアーになったので色々話をしてみたところ、やはり大学生とのことだった。もしかしたら一回り近く年下かもしれない。私が大学生の頃は一人旅なんて考えもしなかった。すごいなぁと感心したし、ちょっぴり羨ましかった。

後ろを振り向くと遠くに一の鳥居が見える

出雲大社には4つの鳥居がある。二の鳥居をくぐると下り坂が続くのだが、これは全国的にも珍しいらしい。少し歩くと右手に小さなお社が見えてくる。これは祓社といい、ここで身を清めるそうだ。心の中で3回「祓いたまえ、清めたまえ」と唱えてから次に向かう。

母はガイドさんの説明を「へ〜!」とか「そうなんや〜!」とか、分かりやすく相槌を打ちながら聞いている。ガイドツアーを申し込んで良かった。

余談だが、母はこの後何度もこのお社のことを話題にした。

本殿を見ている時も…
母「さっきのあれ!なんやっけ?祓いたまえ、なんとかたまえって。なんやっけ?」
私「清めたまえ、な」
母「そうそうそれ!」

出雲大社を後にした後も…
母「最初のあれ、なんやっけ?清めたまえ、なんとかたまえって」
私 ( 今度はそっちかい! )
 「…祓いたまえ、清めたまえ、な」
母「そうそう、なんで覚えられへんねんやろ〜」
私  ( ほんまなんでや )

何がそこまで印象に残ったのかさっぱり分からないのだが、今後も出雲大社のことを思い出す度にこの言葉を聞かれるのだと思う。おかげで私はバッチリ覚えたのだった。

その後もツアーは続き、出雲大社では2礼4拍手1礼であることや参拝の仕方、歴史など、たくさんのことを教えてもらった。

大国主神と因幡の白兎
ムスビの御神像

出雲大社には因幡の白兎の像がいたるところに置かれている。

ニの鳥居の外にいたうさぎ
日本酒を使っている姿が可愛い
本殿を見上げるうさぎ達

本殿には一般の人は入ることが出来ないので、私も遠くから本殿を見上げる。

本殿

そして出雲大社といえばここ。

このしめ縄を見ずして帰れない

日本最大級と言われるしめ縄。
出雲大社のしめ縄は一般的なしめ縄とは向きが逆。このしめ縄を作るために1000人以上の方が携わっており、重さは5トン以上。これを大昔から機械を使わず、人の手で作り続けているなんてすごい。

そんなこんなしている内にツアーも終了。大体1時間半ほどのツアーだった。大学生の女の子ともすっかり仲良くなり、今度お茶でもしようと連絡先を交換して別れた。神在月の出雲大社は素敵なご縁を繋いでくれたのだった。

参拝も終わり、時刻はまだ9時。
めちゃくちゃ有意義な朝の使い方ができた…!と感動しつつ、お腹が空いたのでとりあえず朝ごはん。可愛い鯛焼き。

福徳縁満 おふく焼き 200円

笑って食べれば 福招き
願って食べれば 縁結び

福乃和「福徳縁満 おふく焼き」ポスターより

笑ったり願ったりしながら食べないといけなかったらしい。お腹が空きすぎていて笑わず願わず、瞬殺してしまった。つまり、美味しかった。

その後ブランチとして出雲そばを。

やはり旅に来たらその土地の名産を食べておかないといけない。

三色割子そば
パカッ!

しっかりとコシがあって美味しかった。3段なんて一瞬で食べられると思っていたけど、おふく焼きが結構きていてお腹パンパンになった。

でも、旅に来たらその土地の名産を食べておかないといけない…

出雲ぜんざいの大きな器
パカッ!
熱々でとろっとろ

お餅のインパクト強し。出雲ぜんざいは甘さ控えめであっさりしていて、すごく好きだった。どんなにお腹いっぱいでもこれは食べるべき。次に出雲大社に来る時も絶対食べようと心に決めた。

楽しかった出雲大社もここまでにして、そろそろ次の場所へと向かう。かなりゆっくり過ごしたため木綿街道は諦め、そのまま玉造温泉に向かうことにした。

さようなら、また会う日まで


玉造温泉編は次の記事で ▶︎▶︎▶︎


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