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本離れ新聞離れが加速する昨今。ユーザーに届く最適な文芸のプロモーションとは?

駆け出しのミステリー作家・八木です。先日、集英社から初めてのシリーズ作品となるグルメミステリー『手がかりは一皿の中に ご当地グルメの誘惑』を刊行しました。そして、本作のプロモーション用に、集英社文庫サイト内に特設ページを作ってもらいました。編集部や宣伝部、協力してくれた関係者のみなさんには、感謝しかありません。

本作の主人公はグルメサイト「ワンプレート(通称:ワンプ)」のライター北大路亀助です。グルメが大好きで、アラサー未婚で彼女なしお坊ちゃんという設定で、グルメが大好き、アラフォー、未婚で彼女なし、までは自分と似ていますが(いや、アラサーとアラフォーは全然違うだろ!というツッコミは許してください)、少し著者の状況が主人公に投影された部分は否めません。

シリーズ1作目ではただ食べまくっていたのに、2作目ではお腹が出てきて、必死にダイエットに励む状況については私小説のようです(苦笑)

作品の中で、事件が起きるお店については、架空の名称に変更にしています。迷惑がかかってしまいますよね……。しかし、事件が起きないシーンでは、基本的にリアリティを重視して、実名で描かせていただいていています。もちろん、自分が行ったことがあって、大好きなお店ばかり。

編集者から、「では、実際にサイトを作ってしまいましょう」ということで、今回、制作することになりました。さらに、編集者は「お店がファンに告知してくれたら買ってくれるかもしれませんからね」ということで、チラシも制作してくれました。「ワンプレート」のコンセプトは、亀助にとって、お店のイチオシの一皿の魅力を紹介するというものです。

せっかくのチャンスですから、気合いを入れまして、選んだお店は、二子玉川にある熟成鮨の名店「すし 㐂邑(きむら)」さん。

僕自身の地元十勝の帯広市にある農家居酒屋「大地のあきんど」さん。

八丁堀・宝町エリアにある人気ビストロ「ガール・ド・リヨンさん。

東京でも1、2を争うほど、お洒落な街・自由が丘にあるポテトサラダ専門店「 Potato Cream」さん。

東京の台所で、市場が豊洲に移ってからも名店がひしめく築地。福岡の明太子の老舗の直営店で、明太もつ鍋で有名な「ふく竹 本店」さん。

そして、日比谷ミッドタウンに入っているモダンイタリアン「サローネ トーキョー」さん。

「サローネ」グループの総料理長・樋口さんとはFaceBookで繋がっていますが、ありがたいことに、3000人以上いるお友達に向けて、小説に登場したことを告知してくれまして、コメント欄では「早速、Amazonでポチりました」という嬉しいやりとりもありました。

先日、こちらでも書きましたが、出版社のプロモーションにおけるファーストチョイスは現在でも、新聞広告で、とりわけ、朝日新聞の全五段広告が最も効果があると言われています。ちなみに、自分の作品を紹介してもらった朝日新聞の全五段広告はこちらです。拙著の枠は中央下段に!

こちらで告知してもらえることも本当にありがたいたことです。朝日新聞は新聞小説の歴史も深く、書評も充実していて、書籍の購買意欲が高い知的層が多く読んでいることが、宣伝効果が高い理由と考えられています。

しかし、いうまでもなく、朝日新聞に限らず、総じて新聞の購読率は下がり続けている状況です。ユーザーの生活の中心がネットに移行する中で、多くの業種の広告もそちらに移っている。同様に、文芸のプロモーションもアップデートしていく必要があるはずです。では、ネット上に、文芸のプラットフォームがあるかというと、ないのですよね……。

では、どうすれば届くのか? 作品作りはもちろんのこと、どうすれば、完成した本が多くの人に、効果的に届くのか。出版社任せにするのではなく、作家自身もアイディアを出しながら、考えていく必要があるのだと思います。自分は、IT企業に身を置く人間として、これからも業界全体の課題に向き合い続けていきたいと考えています。

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