南の島で子供たちや物語に向きあい、「自分がどう生きていきたいか?」を突きつけられる。
奄美諸島、徳之島に滞在中の兼業作家・八木です。ベッドから目の前に広がる美しい海!「だんだん芝生と海の宿」という古民家をリノベーションした「伝泊」という宿に泊まっています(コスパも良く、オススメです!)。前回、滞在してあまりに素晴らしかったので、今回も迷わずにこの宿に決めました。
そして、朝、不意に目が覚め、海を眺めながら、波の音や小鳥の囀りを聞きながら、この文章を綴っています。ほんの短時間、強い雨が宿の屋根や芝生を叩いたのですが、すっかり晴れ間が広がってきました。
徳之島には羽田から奄美大島経由で小型のプロペラ機を使いました。奄美大島とは異なり、飛行機の直行便もなく、あまり観光地化されていないので、訪れたことがある人は少ないかと思います。天城町、徳之島町、そして、伊仙町と3つの町がありますが、合計特殊出生率が日本トップ3を独占していて、ご長寿の高齢者も多く、島独自の文化を色濃く残しています。
昨夜、地元のみなさんとバーベキューをしたのですが、「島全体で、宝物である子供を大切に育てていこうという風土があるんです」という話にあらためて、グッときました。三年前に訪れてから島の魅力の虜になり、毎年訪れていて、最新刊(手がかりは一皿の中に ご当地グルメの誘惑)の中でも、舞台に描いています。
今回、ご縁で知り合った教育委員会の方に呼んでいただき、島の子供たちに読書感想文の書き方を教えるためにきました。夏休みの苦手な宿題といえば読書感想文ということで、いつの時代も、悩みを抱えた子供たちは日本全国に多いと思います。
昨日、読書体験の魅力や読書感想文の書き方のポイントについて話をしまして、今日は書いてきてくれた子供たちの感想文の添削を行います。事前に「走れメロス」で提出してくれた子供もいましたが、素直で個性やセンスもあって、素晴らしかったです。
読書感想文のポイントは、「自分は作品の中で、どのシーンに感動したのか?」を選び取り、自分の普段の行動、エピソードに照らし合わせながら、読書体験を通じて感情がどう変化したか、行動をどう変えていきたいかを綴る。つまり、「これから、自分がどう生きていきたいか?」に向き合う体験だと思います。当然、ネガティブなものよりもポジティブなものの方が、いい。
そして、その問いはそのまま自分に降りかかってきました。自分は突然、小説家になり、現在も会社員をしながらなので(兼業作家のメリットは多いと感じているのでこれからも継続予定ですが)どうしても、目の前の仕事に追われてしまいがちです。結婚にも縁がなかった。というか、忙しさを言い訳に、逃げてきて、最近はすっかり自信を失って諦めかけていたのですが、それでいいのか。
小説家として、物語をつむいでいるわけですが、人は守るものができて強くなっていく。成長していくわけですが、未熟な自分は、このままでいいのか。子供たちには、「主人公は葛藤を抱えながらも、困難に向き合っていくのがいいストーリーだと思います」なんて言いましたが、自分は、立ち向かわないつもりなのか!
純粋で、かわいい子供たちに向き合いながら、「これから、自分はどう生きていきたいか?」を突きつけられています。がんばります。午後の講義の前に、ちょっと海でひと泳ぎしてこようかと思います!
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