見出し画像

調子が悪い人のための働き方改革

このところ、ずっと調子が悪い。
コロナ禍で会いたい人に会えず、行きたい場所に行けず、趣味の柔道も出来なくなった。学校行事や部活の試合は中止になり、ストレスを抱えた思春期の子供達に気をつかいながら、自身も目一杯ストレスを溜めている。

そんなギリギリの生活を続けてきた5月の中頃に、仕事関係でとんでもなくストレスのかかるトラブルに見舞われた。一応の決着はついたものの、受けたダメージは修復できていない。断続的に気持ちが沈み、喉の詰まる感じがしたり、髪の毛がやたら抜けたりと、今も心と体に症状が出ている。

それでも騙し騙し、仕事をしている。
調子の悪い時でも締め切りはある。自分は数年前、うつ病で通院していた時期があるのだが、その時も漫画原作の連載を2本抱えていて、当たり前に締め切りはあった。

長く仕事をしていると、ベストコンディションで働けない時期というのがあると思う。自分は今、小説を書くのがとても下手になっていて、適切な語彙は浮かばないし瑞々しい表現も思いつかない。トリックのアイデアを出すのにも苦労しているし、ストーリーの構成も上手くできない。

こんな状況で小説を書くのは、あまり楽しくない。でも自分はプロなので、締め切りを守り、編集者さんに「面白かったです!」という感想(お世辞だったらどうしよう)とともに原稿を受け取ってもらえる程度にクオリティを保った仕事をしている。

今回の記事では、調子の悪い時でも良い仕事をするために、自分が体得してきた働き方を箇条書きで挙げてみる。

・スケジュールの調整をする

まず、今スケジュールが詰まっているなら、自分の裁量でずらせるものをずらして緩めに調整する。調子の悪い時は、通常と同じスピードでは働けない。
自分の場合、そこまで仕事が立て込むことはないので、あまりこの点で困ったことはない。

・アイデアだけは絶対に面白くなるまで考え抜く

調子の悪い時はなかなかアイデアが出ないし、考えをまとめるのも難しい。
でもアイデアだけは面白いものになるまで、絶対に諦めずに練る。ここで妥協した時点でプロではなくなる。

・本文を書く時は最初から完璧を求めない

調子の悪い時は、良い文章を書くことが難しい。でも良い文章が浮かばないからとパソコンの前で悩んでいると、仕事が1ミリも進まない。なので下手でもいいから、とにかく書く。
文章が不味過ぎてモチベーションが保てない時は、冒頭だけとか、重要なシーンだけとか、部分的にでも自分が好きだと思える文章に仕上げると、気持ちが上がって書き進めることができる。

・小さな目標を立てて達成していく(できれば人に言う)

本文を書き始めたら、一日に何枚書くか、小さな目標を立てて達成していく。書き進めるうちにペースが上がってきたら、目標枚数を増やす。
調子の悪い時は目標を達成できないととても落ち込むので、最初の目標は《絶対に達成できるレベル》に設定した方がいい。自分の場合、精神状態が最悪の時の目標枚数は原稿用紙4枚だ。この世のすべてを呪いながらでも4枚なら書ける。
そしてこの目標は、家族でも誰でもいいので人に言うと、達成しようと頑張れる。SNSで宣言するのでもいいかもしれない。自分は毎朝仕事を始める前にClubhouseの朝会で目標枚数を発表している。

・ひとまず書き上げてそこから直す

調子の悪い時は、大体酷い文章しか書けない。会話のセンスも悪いし、小ネタの面白さも足りていない。なんだか駄目なものを書いているという感触がして、ネガティブな気持ちでいっぱいになる。
だが、それでもどうにかラストまで書き上げると、自分の中で作品に区切りをつけることができる。そして元々のアイデアだけは面白くできているので、あとはここを直せばいい、ということが客観的に見えてくる。
この《ひとまず書き上げる》ができると、「あと一息だ…!」と気力が湧いてくるので、それを燃料に最後まで、今の自分に書ける精一杯の良い作品にするべく細部まで魂を込めて頑張る。


――ということで昨日、アイデアだけは面白いけれどあちこち酷い状態の短編ミステリーを書き上げたので、ここから頑張って直します(燃え尽き気味でやる気が出ないので自分を励ますためにこんな記事を書きました)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?