八神あき

読んだ本について書くだけ 小説家になろうでもたまに書いてます。 https://my…

八神あき

読んだ本について書くだけ 小説家になろうでもたまに書いてます。 https://mypage.syosetu.com/1690305/

最近の記事

中国地理ノート

 中国の領土は960万㎢と広大であり、陸上の国境線は2万2千kmと、世界一長い。陸軍兵力は98万人。陸上で危ないのはインドとの国境で、カシミール地方の帰属をめぐって争っている。インドは陸上だけでも113万の兵力を持つ大敵だ。  同盟国としてはロシアとパキスタンがある。それぞれ陸上戦力は55万。インドは北に中国の98万、西にパキスタンの55万と対峙している。  インドは中国に対抗するため、軍事同盟のQuad(日、米、豪、印)を形成し、防衛力を強化している。  海軍戦力は総トン

    • 中国の歴史 7(最終巻)

       イギリスは清へアヘンを輸出。それまで輸出ばかりしていた清は一転して輸入国になる。  アヘンを輸入することで、銀は他国に流れる一方になった。それ以上に問題だったのは、アヘン中毒によって心身を壊される者が続出したことだ。  政府のアヘンに対する態度は二つあった。完全に禁止せよとする厳禁論と、厳禁は現実的でないから規制するに止めようとする弛禁論である。 当初は弛禁論が優せいだったが、最後にとられたのは厳禁論だ。実施にあたったのは林則徐である。  林則徐はアヘン取締のため、特別

      • 中国の歴史 6

         朱元璋は息子の皇位を安定させるため、力をもった大臣たちの粛清に奔走した。しかし息子は若くして死ぬ。  朱元璋が没すると孫の建文帝が即位。朱元璋の努力のかいなく、燕王が反乱を起こす。燕王は甥である建文帝を殺して即位、永楽帝となる。  永楽帝の時代、明は興隆期を迎える。首都を北京に移し、紫禁城を建築。ラストエンペラーまで皇帝の住居となる。  永楽帝は鄭和に航海を命じた。鄭和はインドを越え、サウジアラビア半島にいたり、さらにはアフリカにまで達している。  西方からの訪問者も増

        • 中国の歴史 5

           金の勢力が拡大する中、チベット系の民族である夏が存在感を増していた。  中国初代王朝と同じ国号を持つ夷狄の国は、漢族の神経を逆撫でしたようだ。しかし、宋は他国の名称に文句を言えるような力は失って久しい。この国は歴史上、西夏と呼ばれる。  西夏は金に服属する。金は宋を滅ぼすには至らず、戦線は停滞。勢力の均衡が訪れる。  均衡を打ち破った力はさらに北方、モンゴル草原から現れた。  1206年、いくつのも部落に分かれていたモンゴル人をテムジンという名の首領が統一。チンギスハン

        中国地理ノート

          中国の歴史 4

           六朝は高い文化を持つ貴族社会であった。  華北の隋が天下を統一すると、天下に人材を求めて科挙を開始する。これは民間からも広く才能のある人材を得ようとした試みだ。しかし、六朝文化を飲み込んだ隋には貴族社会までも継承し、家柄ばかり重んじられる門閥政治に堕してしまう。  二代目皇帝の煬帝ははやくも政治を失敗し、各地に反乱が勃発。  618年、煬帝は反乱軍に殺される。同年、反乱軍の首領のひとりであった李淵が唐の皇帝を自称する。  唐は他の軍事勢力を滅ぼし、天下を平定。漢以来の長

          中国の歴史 4

          中国の歴史 3

           王莽は漢王朝を乗っ取り、皇帝となる。自身の国を新と名付ける。  王莽の政治は復古的で、現実にそぐうものではなかった。やたら官職などの改名を繰り返すも、混乱を招くだけで民衆の不満は募るばかり。  新の圧政に耐えかねた民衆は反乱を起こす。いくつかあった反乱軍の中でも、有力だった頭目に劉秀がいた。  紀元23年、王莽は反乱軍に敗れて死ぬ。そして、新は滅亡した。  新滅亡後、劉秀が皇帝となる。劉秀は漢王朝の血縁者だったため、国号を同じく漢とする。歴史上では後漢と呼ばれる王朝だ。王

          中国の歴史 3

          伊藤真の法学入門

           最近ずっと中国関係の本だったので、気分転換に別ジャンルの本。どうでもいいけど伊藤真とかいわれると伊藤誠しか思い付かない。  法律は前から勉強したかった。理由はふたつ。  ひとつは歴史のため。歴史を学ぶ上で、その国の法律を理解することは必須といってもいい。特に私の好きな古代ローマは史上初めての統治国家であり、ローマ法ぬきにその歴史は語れない。  もうひとつは実益。私は去年、まる一年かけて職場とバトっていたのだが、その際に法律系のカードを使った攻撃は非常に有効だった。バトルは

          伊藤真の法学入門

          中国の歴史 二

           前回に引き続き、中国の歴史シリーズ二巻目。稷下の学士の時代から、前漢の滅亡まで。  稷下の学士は中国史を学んだものならだれでも知っているだろう。斉の国に集まる学者たちだ。彼らの議論により学問は発展し、諸子百家が生まれた。  諸子百家には儒教、老荘、法家など、さまざまな系統がある。その中でもとくに老荘の思想が、稷下では主流だった。これは秦が天下を統一しても変わらなかった。  思想世界の流れが変わったのは漢の武帝の時代。武帝は儒教を好み、国家として儒教を支援したために正当な思

          中国の歴史 二

          中国の歴史 一

           陳舜臣先生の描く中国の通史です。そそりますね。  このシリーズ、全七巻のうち最初の一巻だけは電子なんですが、残りは紙媒体という謎な買い方をしてしまいました。ちなみに僕は紙媒体のが好きなんですけど、本棚の容量がヤヴァイのでここ二、三年はずっと電子で買ってます。最近、発行画面の見過ぎでドライアイ気味だったんで紙で読めるのはうれしいですね。  さて、一巻は考古学、あるいは神話の時代から孔子前後まで。陳舜臣先生は考古学の説を紹介しつつも、あくまで神話を尊重する形で歴史を解釈されて

          中国の歴史 一

          「論語」 金谷治訳註

           論語、言わずと知れた孔子の言行録だ。先日読んだ「孔子伝」の中で白川先生は、「孔子はただ論語のみに現れる」と書いていた。では、孔子とはどのような人間だったか。  私の目に映ったのは、厳格な儒者ではなく、もっと悲しげな表情をした思想家だ。往々にして理論家は行動家たりえないが、孔子は行動家を夢見た理論家だったのではないだろうか。  孔子が卑賤の生まれであることはまちがいと思う。幼いころは苦労したようだ。  十五にして学に志す  孔子は学問が好きだったのだろう。家業である葬

          「論語」 金谷治訳註

          「孔子伝」 白川静

           孔子の人物像が掴めたところで、史実に移ろう。  孔子伝は、読み進めるほどに疑問が増える本だった。碩学の頭の中の一端を覗かせ、私が知っていると思っていた事実に対しても容赦無く攻撃を加え、まちがいだったのだと認めさせられる。論語を読んだあとにもう一度じっくり読みたい本だ。  本文に移る前に、基礎知識をまとめておく。 神話時代 黄帝、堯、舜といった聖王が収める。 紀元前2000年 中国最初の王朝、夏が成立。 紀元前1600年頃 殷が夏を滅ぼして天下をとる。殷からのち、漢までの時

          「孔子伝」 白川静

          「孔丘」 宮城谷昌光

           孔子である。中国の思想を語る上で避けることのできない人物である。今、私の目的はあくまで歴史の理解にあり、哲学は歴史の一要素でしかない。しかし、孔子に関してだけは解説書一冊で済ませるわけにもいかない。  孔子について調べるため、まずは人物像を確かめたくなった。ついでに弟子たちも。「で、結局孔子ってどんな人なの?」という問いに答えることが今回の目的と言える。 「孔丘」は以前、本屋に平積みされているのを見て、いつか読もうと心に留めておいたものである。それを読もうと思った。当然、

          「孔丘」 宮城谷昌光

          ビギナーズクラシッス 荀子

           韓非子の次はその師匠である荀子だ。  目的は中国史の理解を深めること。歴史とは行動の積み重ねだが、行動の奥には思想がある。ゆえに思想までも理解しないことには歴史は理解できないだろう。しばらくは中国の思想に関する本を読むつもりだ。  冒頭では学問そのものについて説いてある。その中に「学はその人に近づくより便なるはなし」、学問をするならふさわしい先生につくのが一番の近道だ、とある。ぼっちの私には手厳しい言葉だ。  荀子の思想は性悪説と呼ばれ、孟子の性善説と対比される。しかし

          ビギナーズクラシッス 荀子

          ビギナーズクラシックス 韓非子

          「韓非子」そのものではなく、韓非子の入門書。  中国人は表面的には儒教を信じているが、その奥底には老荘の思考がある、というのはよく言われることだ。  では、統治にあたってはどうかといえば、奥底にあるのは韓非子が大成した法家の思想。  儒教では孝を重んじる。親至上主義であり、親への孝行がもっとも大事なことでそれができないやつは獣と同列という思想だ。20年間親への復讐だけを考え、家を出てからはやつらに関する記憶を抹消しようと努めている私には理解できない。まあ、私のことはどうでも

          ビギナーズクラシックス 韓非子

          遺伝子 大いなる人類史 下

           シッダールタ・ムカジーという、インドの学者の科学読み物。  上巻は去年読んだことは以前にも書いた。下地になる化学知識が不足しているため、化学について学び直してから、下巻を手に取った。  本著は遺伝子の研究の歴史だ。アリストテレスが鶏の卵について研究してから2500年後の現代まで、遺伝子がどう扱われてきたかを書いている。  上巻では遺伝子の正体はDNAだと同定され、ワトソンとクリックがその構造を解明。人類がゲノム編集技術を手に入れるところまでが書かれている。下巻はその続きだ

          遺伝子 大いなる人類史 下

          中国五千年 上下

           今月二度目の陳舜臣作品。三皇五帝から中華人民共和国成立までを簡潔に述べている。  これを読んだ目的は中国史の年表を作るため。年表なぞググれば出てくるのだろうが、ググっただけでは満足できないのは私のエゴと思ってもらっていい。  ちなみに私は本を読んだ目的についていちいち書いているが、これはシャーロックホームズの影響。ワトソン君が「目的を持たず漫然と読書する者で精確な知識を誇る者はほとんどいない」と言っていたからだ。なので、私は読む前に目的を明確にしている。  できあがった

          中国五千年 上下