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蜘蛛のイト(700字の小説)

俺は地獄に落とされた
俺の生き様を考えたら当然の結果だ

地獄の鬼達は、俺を恐れている
鬼が俺を見るたびに、怯えて逃げる
閻魔大王も逃げて行った
俺は地獄の首領となる

俺は地獄で好き放題
最高の居場所だ
ある日、天から蜘蛛の糸の様な物が降りてきた
不審に思い触ってると、体に絡まり動けない
そのまま俺は地獄から引きずり出され天国にいた
ここは善人達の集まりだ
こんな弱々しい所じゃ面白くも無い

俺は仏に言った
「何故俺をこんな所に連れて来たんだ!」

「お前の様な厄介ものは、地獄には置けない
見ろ、鬼達が怯えているだろう
泣いているだろう、閻魔大王も!
だから、お前をこの天国で調教するから
覚悟しろ!」
と、仏の隣にいた観音菩薩が大声で怒鳴る

俺は天国で地獄の苦しみを味合う事になった

俺の居ない地獄は、天国の様に住みやすくなり罪人達は穏やかに暮らしている

だが俺は天国で調教される程柔じゃ無い。
天国でも大暴れ。
仏や菩薩達は地獄に逃げる

天国でも私は首領となった
だが、天国には誰も居ない。
みんな逃げ出し地獄に行った

天国に来る人は誰も居ない
俺は毎日孤独を感じた

孤独の俺は、地獄の奴を釣り上げる為に、
今日も蜘蛛の糸を地獄に垂らているが、釣れた事は無い

だが、今日は一人の仏が掛かった
みると、阿弥陀如来だ
必死に糸を辿り上に登ってくる
だが、阿弥陀如来が何かを言った為に
糸が切れた
下に落ちていく
今日も釣る事が出来ない、孤独な俺だ!

一人だけで生きるのは辛い
自分のわがままな想いを通す事で
人に嫌われて生きる事、これこそ地獄だ
俺は天国に居ながら地獄を感じた
人間の生き方が天国か地獄かを決める
場所では無い。
大事なのは自分の生き方だ!

俺は天国で知らぬ間に調教されていた。

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