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呪いの臭み

呪いには臭みがある事を知っていますか?

呪いを掛ける者だけが放つ臭み

それは、悪魔の体臭と云うべきかも知れません。

この臭みは、心と体に染み渡り、
生命を徐々に奪っていく恐ろしき物。
それは悪魔にしか解らない呪いの臭みが有るのです。

人は誰しも人を恨み、人を呪う
今日もある男が他人を呪っている。
その匂いを嗅ぎ付けて、悪魔が一匹降りて来た

「愚かな奴め!
お前の呪いなど叶いはしないわ。
俺はお前の恨みのエネルギーを頂きにきた。お前が呪えば呪うほど、俺のエネルギーになる。もっともっと呪え!」
と、高笑いする悪魔の声は、男には聞こえない。

その男の恨みは深かった
気弱な男は、反発する事もなく、
上司の云うがままに生きてきた。
だが、心に溜まった鬱憤は限界を超えた。

……あんな奴は、車に轢かれれば良い。
階段から落ちて死ねばいい。
地獄に堕ちればいい。……
男の願いはいつしか恨みに変わり
呪いに変わる。
恨む事が生きる希望になった男は
哀れにも、人から好かれる事は無くなった
悪魔だけに好かれた男

悪魔は、微笑みを浮かべながら、
「人を呪っても何も解決する事は無い
愚かな人間どもよ!自分の寿命を減らすだけ。
悪魔にエネルギーを与えるだけ。
悪魔化する人間達が
大きな災いを作り出すだけだ。
この世は悪魔のパラダイス!」

悪魔の高笑いは今日も響き渡る。
多くの場所で!





#ショートストーリー

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