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三つ子の魂百までも(番外編)11


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大島晃子さんの部屋を一度見学に行く日が来た。
場所は個人情報保護の為、書く事はできないのだが、着いたマンションは立派な建物で、豪華さを醸し出している。
………僕のアパートと全然違う……と公一は羨ましく思っていたが、
………私もいつかこの様なマンションに住む………と、裕美は決意していた。


大島晃子に案内され、入った部屋にも、またもや驚かされた。
一人で住むには充分な広さで、3LDKで家具も高そうである。
相当なお金持ちだ!と感じさせてくれた。
……裕美さんがこの案件を引き受けた理由が飲み込めた。
これは、相当な報酬が期待出来る。
頑張るぞ、名探偵の名に掛けて!……
と、思っている公一であった。

「ここにどうぞお座りください」と、綺麗な澄んだ声が聞こえてくる。大島晃子さんの声だ。きっと大金持ちのお嬢様なのだろう。
「今、お茶を淹れますね。紅茶はお好きですか?」
と、優しく聞いて頂いた。
僕は嬉しくなって、
「なんでも好きです」と答えたが、裕美さんを観ると、
部屋を観察している。鋭い眼光で悪霊を探すみたいな表情がとても怖い。
腰を掛けたソファーも座り心地が最高である。
以前、修の家にあった椅子と座り心地が似ている。
事務所のソファーとは大違いだ。
僕が、ソファーの観察をしてる間も裕美さんは、怖い目で当たりを見回している。

大島さんが、紅茶を運んで来てくれた。
クッキーも小皿に乗っている。
……やはり、紅茶にはクッキーだ!饅頭は合わない……と、思っている間にも、裕美さんの目は怖い。
テーブルに紅茶が三つ並びクッキーの小皿が並んだ。
大島さんはテーブルを挟み僕の前に座ってくれた。
大島さんは非常に美人である。何処となく美乃に似ている。
(美乃とは、私達三つ子の片割れで私の二卵性三つ子の一人です。
何故か私の姉に認定されてしまった。詳しく 前著 三つ子の魂百までも にあります。)

「初めまして、大島晃子と申します。貴方がお噂の日本ポアロですね。飯島さんがおっしゃる通り、イケメンですね」
と、物凄く褒めてもらった。
特にイケメンは頷ける言葉であるが、美人の女性に言われると、
照れてしまう。だがここで、可笑しな事を言うと、
イメージを壊してしまう。公一は言葉を選んで話そうとした時、
隣から口を挟まれた。言わず知れた裕美である。

「日本のポアロは、言い過ぎですよ。どちらかと言うと
日本のピエロです。」
紅茶を口に運びながら、裕美は真顔で答えた。
………上手い、座布団一枚……と言って見たかったが、
……美人の前で恥をかかさなくても良いでしょ……
との想いが先に立った。

「今、私この部屋を観察したのですが、変な霊は取り憑いていないみたいです。」
と、断定するかの様に、裕美は自信を持って答えた。
「そうですか?」と、不安気に聞く美人。

「いつ頃から、奇妙な音が聞こえるようになりましたか?」
と聞く 女霊能者。
話がどの様な展開になるのかと、僕は期待しながら聞いていた。

https://note.com/yagami12345/n/n3fcf4493a20f

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