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猫になった宇宙人(4)最後の投稿


猫になった宇宙人(4)

「雅子、雅子。いるの?学校また休んだの!」
と言う大きな声が聞こえた。

少女の部屋は2階だ。母親は帰ったばかり、玄関先から雅子の
居場所を確認している。

少女は悲しがってる。心で泣いてる。 
何故だろう?

少女はイジメられていているのだ!

母親は少女の部屋に入って来た。

「雅子。居るのなら返事ぐらいしなさい!
 また、学校休んだの? しょうがない子ね。」

不機嫌そうに、母親は言った。
少女はうつ向いている。
(お母さんには、分からないわ。私の事なんか)

「何よ、此の猫」
と私に気がついた。

殺気を感じた私は、素早く少女の所に逃げた。

「拾ったの?拾うならもっと良い物拾いなさいよ。
 ダメよ、そんな物。捨てて来なさい」

と、私は物扱いされた。
猫と言えども、生命を持った生き物だ!
地球人は人間だけが生き物と思っているのか?

しかし、私のM52星では生物は、私達以外の生物は居ない。

少女はうつ向きながら言った。
「猫、飼いたいの。」
と弱々しく小さな声で。

母親は、私を睨んでいる。
見ている。

私の事を可愛い❤️と思っている。
意外と此の母親は良い人かもしれない。

「雅子が責任持って飼うと言うのなら、置いときなさい。」

「飼っても良いの?」
少女の声に元気が出た。

「良いよ、飼っても。でも雅子が育てるのよ。
 私は見てるだけだから」

(猫を飼う事で雅子の気持ちが収まり、癒されるならばその方が良い)
母親は、その様に思っている。

やはり、どこの星の人でも親は子供の事を思うものだ!
と、思ったが、私には親は居ない。
気がついてみると、私達の住むM52星では、親子の様に暮らしてはいるが、親の存在は無い。
本当の親子とは、どの様な物であろうか?
これは面白いリポートになるぞ。

私を飼う事を許された少女は、本当に嬉しそう。
心の中で、キャキャ言ってる。ニャニャとは言ってはいない。
嬉しそうな笑顔で私を抱き上げ、抱きしめた。

「良かったね。これから一緒よ。そう名前をつけないとね。
何がいいかな。」

「私の名前はゴアです」と言ったが、「ニャー」としか言えない。
心を読む事が出来ない地球人と話すのは、不便な事である。

「聖ちゃんが良い。聖人の聖。これが良い。」

「セイちゃん? 私の名前はゴアだって言っているのに!」
でも「ニャー」としか言えない。
しかし、聖ちゃんも、良い名前の様に感じた。

ところで、「聖人って何?」と思っても、伝わらない。

そう言う事で私の名前は「聖」と決まった。





Kindleで発売中です。
後の展開に興味を持たれ面白く感じられたならば、続きを読んで頂ければ、私にとっては幸いです。
此の小説は、宇宙人の目を通して地球人を観察し、ある家族の姿をレポートするストーリーになっております。
家族とは、親子とは、夫婦とは、兄弟とは、
どの様なものなのか?
それをテーマとして書きました。
尚作者名はボーンです。
ハイフンは長い方です。
この作品だけハイフンは長いです。
検索のときご注意くださいね。

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