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私は誰⁉️(13)




何処かで、ゆっくりと話しが出来る所を探したが、なかなか見つからない。商店街に入って行くと、回転寿司屋があったが当然無視。
ラーメン屋も無視。居酒屋は開いてはいないが無視。

やっと見つけたら喫茶店 名前が何と「談話室」と書いてあった
話し合いに最適な場所だ。
三人でお店に入ったが、お客は0。私たちだけ。
(流行っていないお店かなぁ)と思ったが、
そんな事は今は、関係無い。

三人でテーブルについた。四人座れる所である。
妹と早紀さんが女同士並び、僕と対面した。
妹は、早紀さんと初対面のはずだ。
なのに、隣に座った。
おかしい?初対面の者同士が隣に座れるのだろうか?
と、咄嗟に感じた。
早紀さんは信用出来る人だろうか?
早紀さんの言葉に注意を払おう。

早紀さんは、ブラックコーヒーを注文した。
妹は紅茶だった。
僕は迷ったが、此処はココアにすべきと決断した。
誰がお金を払うのか?が気になった。僕は当然だが、一文なし。
そんな事はさて置き、本題に入ろう。

先に、早紀さんに質問した。
「僕は、どの様な勉強もしくは、研究をしていたのでしょうか?」
最初から、核心の質問である。
自分の研究していた事を知れば、実相が見えてくるかも知れない。
早紀さんの答えを待った。
妹も早紀さんの答えを注目するかの様に、早紀さんを見ている。

「水原君が、何の研究をしていたかは、余り知らないの。
聞いていたのは、人の脳の研究だと言っていた。
私に話してくれたけど、良く分からなかったの。
難しすぎて。」

僕は、医者だったのか?脳の研究って何だろう。
「僕は医学部だったの?」

「いいえ、工学部よ。エンジニアよ。
私は、文学部だったの。」

「工学部でありながら、脳の研究をしていたのですか?僕は」
一体、何を研究していたのだろう。

早紀さんが言った。
「脳の記憶に関する研究だと言ってた。意識を変えるとも言っていたわ。」

「お兄ちゃん、難し事やって居たのね。凄いわーー。
尊敬しちゃう。」
と、妹がおだてるように言った。

「僕に友達は居ないのでしょうか?研究室の友達とか、
サークルの仲間とか」
これも、いい質問。他に僕を知っている人がいれば、話が早い。

「居ましたよ、友達は。水原君人気あったから。
女の人も大勢いましたよ。」

と嬉しい事を言ってくれた。特に女の子の友達が大勢の居たなんて
信じられないが。
いや、待てよ。
此の人本物だろうか?サクラだったらと不安がよぎった。

「では、其の人達と会うことができるでしょうか?」
(特に、女の人)と言いたかったが、流石に控えた。

「調べれば、会えると思いますが、何処にいるのかわからない?
私の友達なら、呼べると思いますが。その人も水原君のファンでした。」

嬉しい事を言ってもらったが、真実かどうかは分からない。
人を信じる事ができないって事が、これほど辛い事なのかを
痛感した。

「私と貴方は同級生ですか?私は何歳でしょうか?」
変な質問である。自分の歳も分からない。
早紀さんは少し驚いたのか、一口 コーヒーを飲んだ後言った。

「可哀想に自分の年齢も分からなくなったのね。」
と、悲しげに言った。
話しはまだまだ続いたが、早紀さんをどこまで信じていいのかが、分からなかった。
でも、収穫はあった。記憶の研究をしていた、と言う所だ。
それと、友達がいる。女友達もいる。
恋人は居ないみたいだが。
これが本当なら、其の研究について調べてみよう。

でも、自分がまだ分からない。
一体、私は何者⁉️。






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