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台湾の環境意識を高めた故・齊柏林(チー・ポーリン)監督と、淡水にある記念館「齊柏林空間」
こんにちは。春節休暇もまもなく終わろうとしてる台湾です。
休暇中に家族で訪れた「齊柏林空間」、そして故・齊柏林氏について書いてみたいと思います。
台湾での環境保護意識を高めるきっかけとなった存在、故・齊柏林監督
齊柏林監督。
(1964年12月27日-2017年6月10日)
“台湾映画のアカデミー賞”と称される「台北金馬影展Taipei Golden Horse Film Festival」で最優秀ドキュメンタリーに選ばれ、台湾のドキュメンタリー映画史上最高となる興行成績をおさめた映画『看見台湾(邦題:天空からの招待状)』の監督として知られています。
台湾は九州より一回り小さいくらい(3.6万平方メートル)の島ですが、その面積の70%ほどが山地で、海抜3,000メートル級の山が268もあり、日本より多いどころか、世界でもトップクラスに高山の密度が高いのだそうです。
そんな台湾の大自然が高解像度の空撮映像によって映し出される一方で、「ここまで進んでしまっているのか」という環境破壊の現実をまざまざと記録したドキュメンタリー映画。美しい自然を削り、壊し続ける現実に、心がえぐられるような気持ちになります。
それまで一部の環境保護意識の高い人々しか知り得なかった現状が、この作品がきっかけで大衆にまで伝わるようになり、台湾人の環境意識が高まったとされています。
その続編である『看見台湾2』の製作発表記者会見からわずか三日後の2017年6月10日、花蓮で空撮中だった齊柏林監督は、原因不明の墜落事故によりアシスタントとヘリコプターの操縦士とともに逝去されました。
(ちなみに、『看見台湾2』では日本の桜や福島などの映像も収録予定だったそうです。)
ドキュメンタリー映画『看見台湾(邦題:天空からの招待状)』のトレーラー
逝去後も台湾や海外各地でさまざまな追悼イベントが開催されているので、日本の皆さんがご覧になる機会もきっとあるかと思います。
オフィシャルFacebookページではさまざまなイベントのお知らせがされています。
また、台北市内にある「三井ガーデンホテル台北忠孝」のエレベーターホールでは、齊柏林監督により撮影されたショートムービー『美麗台湾』をプロジェクター上映されています(詳細)。
長男は小学校の教科書で齊柏林監督のことを習い、すごく尊敬しているようなので、春節休暇中に家族で氏の記念館を訪れてきました。
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淡水にある記念館「齊柏林空間」
齊柏林監督の没後、同氏の友人や家族、支持者たちによって「財団法人看見・齊柏林基金會」という非営利団体が設立され、同氏が残した作品の保存、継承、次世代への教育をミッションとして活動されています。
台北市郊外の新北市・淡水にある「齊柏林空間 Chi Po-lin Museum」という記念館では、齊柏林監督が残した作品が展示されているほか、ボランティアの方々によるガイドも定期的に行われています。
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齊柏林監督が残した映像のデジタルアーカイブ化、「齊柏林 Chi Po-lin Museum」の館内サービス・ガイド、環境教育(長男の小学校を訪れてくださったのもきっとこのボランティアの方だと思います)、撮影やムービー制作、文章や翻訳、デザインなど、さまざまなことがボランティアによって成り立っているのだそうです。
ボランティア募集ページ
https://www.chipolin.org/volunteer
また、館内では齊柏林監督が実際に撮影に使用していたという空撮用のカメラも展示されています。
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ヘリコプターはとても揺れが激しいので、動画がブレてしまうけれど、どうしても安定した動画を撮りたいということで、友人たちの協力を得てアメリカから輸入したというミリタリー級の空撮カメラは、当時の価格で70万米ドル、ニュー台湾ドルで3,000万元近くしたと聞きました。
齊柏林監督はもともと公務員で、安定した仕事をされていたそうですが、趣味で撮影をされていたそうです。
そして、2009年に台湾で起こった大災害「八八水災(※)」の際、現地を訪れてその悲惨な光景、変わり果てた姿を目にし、自分たちの土地を”看見台灣(台湾が見える)”ようにしようという想いに駆られて公務員を辞して独立されたのだそうです。
※「八八水災」
台湾中・南・東南部を襲った記録的な水害。政府の統計による被害は死者681名、行方不明者18名。
台湾華語Wikipedia:https://zh.wikipedia.org/zh-tw/八八水災
※「八八水災」の原因となった「台風第8号(Morakot、モーラコット)」
日本語Wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/平成21年台風第8号
「齊柏林空間 Chi Po-lin Museum」には、そうして購入されたカメラが展示されています。
そして、実際に齊柏林監督がヘリ墜落事故で亡くなられた時に積まれていた空撮用カメラ(後に『看見台湾2』の撮影で使われていた水中撮影までできるモデル)もまた、展示されています。
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私は訪れるのが2回目でしたが、今回新しくこちらの活動への寄付ができるデジタルサービスができていました。
100元から寄付できて、寄付するとヘリコプターに自分のサインを表示できるというものです。
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2023年特別展示『覓城』
訪れた際には、2023年の特別展示『覓城』が開催されていました。
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作家の鄧九雲さん、グラフィックデザイナーの張溥輝さん、フォトグラファーの陳敏佳さん、社会観察家の李明璁さんらとコラボレーションした作品が2023年の秋まで展示される予定とのこと。
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土日、台湾の祝日には11時、14時、16時にガイドツアーが実施されるそうです。私たちもこのガイドツアーに参加しました。
もしご興味ある方がいらっしゃいましたら、ぜひ訪れてみてくださいね。
滞在時間はだいたい2時間あれば十分かなと思います。
「齊柏林空間 Chi Po-lin Museum」
所在地:新北市淡水區中正路316-1號
(淡水駅から徒歩20分程度。Googleマップ)電話番号:02-2629-1996
開館時間:10:00〜18:00(最終入館17:00)
休館日:火曜(台湾の旧正月などは告知を確認のこと)
オフィシャルサイト:https://www.chipolin.org/chipolin-space
おまけ:淡水はぶらぶら街歩きするのにぴったりです
「齊柏林空間 Chi Po-lin Museum」がある淡水は、台北市内からもアクセスしやすくて私もちょくちょく訪れる街歩きにぴったりの場所です。
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Voicyで齊柏林監督についてお話しした回も、よろしければぜひ。
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