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本のハイライトは人それぞれ 井上ひさし『いのうえひさしと141人の仲間たちの作文教室』

こんにちは。
本を読んで印象に残る一文って人それぞれですよね。

作者が伝えたいことと自分のアンテナが微妙に違うときがある。
本題とは関係ない脇道の文で釘付けになってしまう。
そんなことがありませんか?

今回は、
井上ひさし『いのうえひさしと141人の仲間たちの作文教室』
を紹介します。

文章指南の書として初めて出会った本

この本は、大学生か大学院生の時に購入しました。

文章がどうもうまく書けないなあと思い、購入した記憶があります。

井上ひさしは劇作家でもあるので、声に出した時のリズムのよさが抜群でした。ひょっこりひょうたん島が有名ですね。
『吉里吉里人』は本当に面白くて、夢中になって読んだ記憶があります。

たくさんの作品を残した井上ひさしですが、この本自体は講義をまとめたものです。宮城県一関市で井上氏が先生となり141人の人に作文の書き方を教えています。

私はこの本で「文は短く」「接続詞、接続助詞は気を付ける」などなど基本を学びました。ライターの方にはぜひ読んでいただきたい本です。「原稿用紙の書き方」などは飛ばしていいのでぜひ。

心に残った一文

文章を書くうえでとても大事なことをたくさん教えていただいたのですが、実はそれ以上に心に残ったのが次の一文でした。

中学生のころ、一関にご厄介になったことは昨日、お話しました。その当時、目抜き通りに大きな本屋さんがありました。ある日、僕が覗きに行くと、おばあさんが店番しているだけなんですね。当時は生意気盛りでしたから、冒険というか、いたずらというか、おばあさんの目を盗んで国語の辞書を持ち出そうとしたんです。
そしたら、見つかってしまった。
僕はおばあさんに店の裏手に連れていかれました。そして、こういわれたのです。
「あのね、そういうことばかりされると、私たち本屋はね、食べていけなくなるんですよ」
そして僕は、その場で薪割りをさせられたんです。
僕はてっきり薪割りは罰だと思っていました。ところが、それだけではなかったのです。
薪割りが終わると、おばあさんが裏庭に出てきて、その国語辞書を僕にくれたんです。それどころか、「働けば、こうして買えるのよ」と言って、薪割りした労賃から辞書代を引いた残りだというお金までくれた。
おばあさんは僕に、まっとうに生きることの意味を教えてくれたんですね。

『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』p.77-78

若者が過ちを犯してしまったとき、大人はどうふるまうか。

人を育てるということに尽きるんですよね。そこで罰してしまって相手を否定するのではなく。慈愛なんだよなとか思っちゃいました。

おしまい。

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