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夢枕獏「黄金宮I」

夢枕獏「黄金宮I」(徳間文庫)。電子書籍版はこちら↓
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 槍を持ったアフリカ人の戦士が、白昼の新宿で中年男を刺し殺した事件。しかしこれは序章だった。犯人は逃走して、第二、第三の事件を起こしている。殺された人たちは、いずれもアフリカ帰り。しかも黄金造りの、陽根を勃起させた仏像を持っていた。この仏像を巡って、凄惨な事件が連続して起こる。主人公らしき地虫平八郎は武術に長けた、巨躯怪力にして、好色強欲の下品な個性派。アフリカ人に加えて、暴力団・獄門会も加わっての死屍累々の宝探しゲームの中、欲得尽くめで事態の混沌を主導する。殺人の理由は何か、その正体は誰か、秘境は何処か、お宝とは何か。そこには見てはいけない、知ってはならない秘密がある。
 またもや夢枕獏先生らしい奇妙奇天烈かつ荒唐無稽なショッキング・ストーリー。テーマの柱は二つ。一つは「ソロモンの洞窟」。秘宝を求めた「インディ・ジョーンズ」並みの冒険譚。もう一つは「裏密教」。空海の持ち帰った密教には裏歴史があったとの法螺話し。それも仏教史を遡った、壮大かつ桁外れなスケールである。この二つをチャンポンして、山田風太郎の忍法帖風にバイオレンスに味付けしている。続編が楽しみである。

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