見出し画像

箱寿司・押し寿司・蒸し寿司、職人の技

「人は食べた寿司の数だけ幸せになる」(ネーミングセンスに感心)というコミュニティがFacebookにあり、そこにも「すし萬」の「大阪すし」食レポ短縮版を投稿した。すると関西寿司を懐かしみ、その衰退を憂える声が多数寄せられた。そこで関西寿司文化を一考。
 懐かしむ声としては、以下のような味わい深い文があった。「子どもの頃、土曜日(その頃はまだ午前中授業)のお昼ごはんは近所のお寿司屋さんの穴子や海老などの押し寿司とおうどんが定番でした。そんな近所のお寿司屋さんもなくなってしまいました。押し型に詰めて手際よく回しながらキュッキュッと押す職人さんの手つきを見るのが大好きで、かぶりつきで見てました」。
 関西寿司の衰退ということで代表的な例は、そもそも少なかった専門店の減少で神楽坂「大〆」、新宿駅西口の「箱寿司」、「ハ竹」原宿店も閉鎖。この現象は東京だけでなく大阪ですら同様。日本橋「吉野寿司」大将曰く「手間がかかる割には、若者世代には握りほど人気がない」との弁。新宿駅西口「箱寿司」は職人が引退して後継がおらずに閉店の止むなきに至ったとのこと。京樽のようなチェーン店も箱寿司作りの職人確保に苦慮している。
 箱寿司、押し寿司、巻き寿司、蒸し寿司。いずれも手間がかかる。「銀座久兵衛」や「すきやばし次郎」が何と言おうと(行ったことはないが)、握り寿司の方が手間はかからないはず。元々が江戸時代の軽食である。そしてネタ次第でいくらでも料金を取れる。現代は職人死滅の時代である。「型枠をクルクルッと回してキュキュッと押す」なんて粋な技が後世に生き残って欲しいものである。そのためにも積極的に関西寿司を摂取してゆきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?