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香川照之さんと藤子不二雄Ⓐ先生の飲み方の違い

ここのところ香川照之さんのセクハラ騒動でマスコミが騒然。3年前の示談解決済みの話しを、今さら持ち出されてお気の毒な気もしないでもない。人間誰しも酔うと人格変わったりするので、有名人であるからこそ気をつけねばならない。

 その点、お亡くなりになった藤子不二雄Ⓐ先生は飲み方が綺麗だった。先ずは夕方6時スタートで1軒目で腹ごしらえ(ここは僕が払うが、先生は肉も魚をお食べになれないので、そんなにかからない。せいぜい4人で1万円)。先生のトキワ荘話しを(『あー、もう200回くらい聞いた』と思いつつ、先生が懐かしくも嬉しそうに話すので、聞いている方も楽しくなってくる)。ここで8時。2軒目は銀座の「魔里」。ここでよく小学館の社長や副社長と合流してカラオケ。隣のお店から、つのだじろう先生が乱入することも(ここは払ったことない)。小学館の偉い方々とはそこで別れて、部下も翌日使い物にならなくなるので帰す。ここで10時。3軒目は銀座「山桜桃(ゆすら)」か「グレ」か「カジ」(「山桜桃」は滅多になかった。おつきあいの最初の頃は「グレ」が多かったが、何か気に食わないことがあったそうで、おつきあいの後半は「カジ」だった)。どちらも席に着くと「先生〜💕」と10人以上の若くて美人なホステスが付く。周囲は芥川賞作家の藤田宜永先生とかが座っている。ここも30分くらいで出てしまう。一度だけ請求書が職場に回ってきたが、領収書の額面は17万円。見た途端に目が回ってしまって、怖くて経理担当に出せずに3日後。「なんですか、これは❗️。たいして儲かってもいないのに💢」と経理女子に説教されて項垂れる自分。おまけにハイヤー請求書が丸一日で12万円。経理女子の怒りは倍増で頂点へ。4軒目は銀座「茉莉花」。ここで11時。先生はここで小説家の氷室京介先生とお会いするのを楽しみにされていた(「茉莉花」も払ったことがない)。5軒目は六本木「おぷ」。だいたいはここが終着駅。ここで12時。俳優の小林薫ご夫妻がよくいらして、静かに飲まれている。先生がご夫妻に断りもなく勝手に割り込んで同席するので、自分も仕方なく同席。そのうちにテレ朝の仕事上がりの女子アナたちがやって来て「あらぁ、先生〜💕」で、先生は小林薫ご夫妻のことは忘れて、イソイソと女子アナ席へ。「先生サインして〜🙏」という嬌声に、すかさず「おぷ」のママがサイン色紙を出して、先生が「怪物くん」や「忍者ハットリくん」の絵を色紙に描き始める。そのまま夜明けまで過ごして車でご帰還。ここで朝4時(「おぷ」は払ったことがないが、先生が一銭も持っていないことがあるのでタクシー代は僕が運転手にちょっと余分に渡す)。

 ハシゴ酒の典型だが、先生はお店のママやマスターとは仲良くなるが、ホステスのお気に入りとかはいない。誰とも分け隔てがない。もちろんボディタッチも見たことがない(芥川賞選考帰りに泥酔した山田詠美先生が先生にしなだれかかってきたりしていたが、むしろ先生が困っていた感じ)。とにかくサービス精神旺盛なので、先生が宮沢りえさんや嵐の大野智さんなどと写っている携帯電話の写真を見せて得意がって(晩年は中川翔子タンとのツーショット)、女子アナが「すご〜い💕」などとはしゃぐと先生も大喜び。お年もお年だったので、どのお店もウーロンハイは薄め薄めで出す。階段は絶対に使わせず、エレベーターでお見送り。本当に楽しい時間を一緒に過ごさせて頂いて、可愛がって下さった先生に感謝。仕事とはいえ、あんなに遊び回ったことは人生で他にない(こともないか)。


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