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『岸辺露伴 ルーブルへ行く』〜ゆぅの映画録②〜

六月某日。前々から気になっていた、というよりもめちゃくちゃ好きなドラマの映画を観てきました。
タイトルは、もちろんこちら!

『岸辺露伴 ルーブルへ行く』

こちら映画を見た後に購入したノベライズ版。

もう、一言で言うなら、最高でした。露伴先生!やぱりかっこいい!
(ここから感想とネタバレになるような話や、考察などなど入ります)


露伴先生の仕事は漫画家。それもリアリティを求めるため、自身でなんでも経験したくなるちょっと困ったタイプ(褒め言葉)。
先生の能力ーヘブンズ・ドアーは相手の今までの記憶を本にして読むことができる。また書き込むこともできる。
この能力のおかげなのか、有り余る漫画のネタのため、読者への愛へのため、リアリティを求めて、さまざまな事件に巻き込まれてきた。
相棒の彼の天然な編集者ー泉鏡花は、彼のサポートや時には彼を助けたりなど色々な活躍を見せている。
ここまで一緒にいても露伴の不思議な力に全く気付かない彼女の天性の鈍感さ、見事!

露伴先生を演じる高橋一生さん、そして泉鏡花役の飯豊まりえさんが本当にハマリ役すぎて見ていて最高でした!
テレビシリーズから楽しく見ていたので、彼らが映画の中で生き生きと動く姿、掛け合い、全てにおいて本当に楽しかった!


あらすじ
物語の始まりは、露伴先生の過去に出会った女性ー奈々瀬がつぶやいた言葉から始まる。


『この世で最も黒く、邪悪な絵』

この絵を探し求めて、そしてこの絵の謎、奈々瀬の隠された過去を暴くべく、彼らはルーブルへと向かう。

この前にも故買商のもとで作品を探す、そしてオークションに参加して目当ての絵を見つけるも、奇怪なことに襲われたりなどなど。ルーブルへと向かうまでにも伏線がたくさんあり、見ていてハラハラするところも多数ある。
しかし、そんな暗い雰囲気でも、泉鏡花の明るさで吹き飛ばすところもしばしば存在する。

物語は、露伴の過去の記憶の中ー奈々瀬との出会いから別れ、彼女が残した言葉を頼りに話が展開して行く。露伴の淡い恋心が描かれているようにも見えるし、彼自身が“女性”というものに興味を持ち、研究する対象として見ているようにも思えるシーンが多数ある。
のちに彼女は露伴の前から姿を消し、行方知れずになってしまうが、露伴の心に大きな影響を残した女性だ。

そんな中、本物の『黒い絵』がルーブル美術館にあると知り、急いで向かう二人。フランスでの撮影、フランス語を流暢に喋る露伴、めちゃくちゃかっこいい。

そしてルーブル美術館!本物を借りての撮影はすごかった!
さすがは世界のルーブル!『モナ・リザ』の前に立つ露伴、めちゃくちゃかっこよかった!実際、回るのに1週間かかると言われているぐらい、美の宝物庫。
一度行ってみたい!

キューレータの案内でルーブルにあるとされる『黒い絵』を探す二人。
日本人キューレーターも登場し、謎はどんどん深まっていく。
そして、『黒い絵』を見つけたキューレータの謎の行動、転落。
物語はそこから一気に佳境へと向かう。
『黒い絵』の正体とは何か。露伴が忘れられない女性ー奈々瀬の正体は何か。
どこをとっても絵になる露伴の活躍を是非楽しんでもらいたい。

『蜘蛛』の正体と意味

ここからは私の考察になる。作中、至る所に蜘蛛が出てくるシーンがある。
もちろん、これは最後の最後で重大な意味として出てくる。
映画をみたあとの考察としてあの蜘蛛は奈々瀬の美しい黒髪を糸とし、未来永劫この業を紡ぐためにこの世に生まれたものではないか。
奈々瀬の化身とも取れるし、絵の作者とも取れる。その念の深さ、業の深さを未来永劫語り継ぐために糸を紡ぐとして蜘蛛が選ばれたのではないだろうか。
どちらにせよ、映画の最後で彼らの念や業は全て取り除かれた。
糸を張っていた巣は“今”を生きている人間にあっけなく壊されてしまったのだ。

まとめ

脚本も全て最後の最後で伏線回収されてスッキリした上に、キャストの皆さんが本当に素晴らしい!
誰が悪く、誰が嘘をついているのか。善悪の概念があまり存在しないこの世界観の中で描かれた“業”と“血の因縁”の深さ。原作の露伴が生きている世界観を映画の中に落とし込んだような脚本、本当によかった。
そして、泉鏡花の明るさ、天真爛漫な素直さ、人の邪悪さを感じない素晴らしい才能(?)。誰がかけても、成り立たない世界観。
そして、奈々瀬の悲しい過去と美しさ。本当に木村文乃さん、美しかった!
若き露伴が夢中になるのもわかるぐらい、奈々瀬、最高だった!

岸辺露伴の物語は、これで一旦幕を閉じるが、まだまだ彼は漫画のリアリティを求めて奇怪な出来事に遭うのだろう。
それも、全て漫画のために、そして読者へリアリティを伝えるために!
                  了

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