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梅干しより本でごはんが食べられる

最近、朝起きるとまず職探し、登録、応募。

昨日はパン屋のバイトダメで食品レジも時間帯が希望と合わず断念。

今日は在宅ライターのめんどくさい採用試験やったのに、あっさり定員に達しましたみたいな返事で、だったら早く言えや!!!!!と思いつつ、明日はまたちがうバイトのzoom面接。

今朝の授業は「日本人の断り方~恋愛編~」と「~そう」

梅干しを見て「酸っぱそう」からの、梅干しで飯が食えるぜ談義。

それをWeChatに投稿すると、なつかしい人がめっちゃ反応してきた

彼の名はジェンフェイ。
コロナ前、ベトナム旅行のときにベトナムで知り合った中国人。
このコメントでは「唾液で飯を食う」は「用口水吃饭」じゃなくて「 用口水当饭吃」だよと言っている。

「最近、吉川英治の『三国志』読んでたらこの言葉が出てきたんだ。今ずっと日本語勉強してて、いろんな日本語の小説読んでるんだよね」

と彼は言う。

ベトナムで会った彼は、英語、エスペラント語を話せた。
私は彼とエスペラント語とノリで話していた。

その時から彼は日本語が少し話せた。あの強烈な自己紹介は忘れられない。

「ワタシはヒモです」

え?ヒモ? ヒモって言った? 痩せてるから? 細いから?

でも彼は正しい意味でヒモだった。
同棲してる彼女がいるけど、彼女はバリキャリで稼ぐから、自分は働いてなくて、世界中あちこち気ままに旅してるということだった。

「うわっ!すっげ!本物のヒモだ!イケメンのヒモ! 初めて見た~真正のヒモ!」

でもよくよく話を聞いたら、彼はその前までは友達と何かビジネスをやってたし(何か忘れた)、その時はたまたま無職みたいな感じだったと思う。

そして彼はいまやヒモじゃない。

その時の彼女と結婚して、今は英語の先生をやっているそうだ。
(ベトナムから帰った直後は確かバーテンダーだった気が……)

彼は一見知的なイケメンで、普通にモテそう。実際モテてきたらしいし、その時は結婚願望はないとも言っていた。だから結婚した時は驚いた。

ベトナム旅行の時は、当時旦那の元旦那もいたけれど、私はほとんどこのジェンフイとポーランド人のおじさんと行動してて、ジェンフイは真正ヒモだけにヒモの心得というか、まあ普通にモテる男の心得みたいな感じで、元旦那に放置されてる私と一緒に行動してくれた。

余談だが元旦那は一人ですぐ消えてしまう人でポーランド人のおじさんにもmalaperuulo(消える男)と言われていた。

そのジェンフイから連絡が来て、久しぶりにビデオチャットした。
そして彼は私に色々とおもしろい小説を教えてくれた上に、それらが読めるアプリやサイトを教えてくれた。

彼は本を読むことが好きだけど、周りに本好きがいなくて、感想を言い合える友達がいないそうだ。

そんなわけで私は彼とお互い日本語と中国語で本の感想とか言い合おうと約束した。

とりあえず「横道世之介」の中国語版を読んでみるか。これは彼が映画も原作も激推ししていた。

日本語では三浦しをんさんの「風が強く吹いている」「舟を編む」「神去なあなあ日常」、村田沙耶香さんの「コンビニ人間」を勧められた。

本の話になると確かにおなかがすくのも忘れる。梅干しより効果的かもしれない。

小説や映画は自分とはちがう人の人生を垣間見たり、疑似体験したり、登場人物の感情を味わったりできる。その感想を誰かと言い合うのも楽しい。自分以外の人の見方も知ることでさらに視野を広げられるし、誰かも言っていたけれど、人が一番幸せを感じる時って誰かと何かに共感して喜び合えたときだと思う。

そういやジェンフイは私の結婚生活の後半にも「非暴力交流」という本を勧めてきてたな。中国語だから全部読めなかったけど。

ちなみに中国ではDV即逮捕である。
某日本人教師のじいさんは、二回り年下の北京人の後妻に通報されて警察に拘留されたことがある。本人曰く自分の娘を叱っただけで通報されて即逮捕。

まあ、今日も仕事はみつからなかったけれど、旧交を温めたし、本を読む喜びがまたよみがえってきた。

私はほんと金には恵まれてないけど、人には恵まれてると思う。

私が毎日勉強をみてる留学控えた学生も、何かできないかと言ってきたし、早くおいしいものがたくさん食べれますようにと可愛いことを言っている。

それに上海人が毎日しんどい思いをしていることも知っている。

ジェンフイも「上海人の生活は今たいへんで、彼らは毎日怒っている」と言っていた。彼は以前深圳でヒモだったけど今は武漢に住んでいる。コロナ発祥の武漢は今はだいじょうぶだそうで、上海のようなしんどいことはないらしい。

私は外を出歩ける自由がある。そうだ、散歩に行ってこよう。

今朝また猪がやってきて、外で物音がしていたせいか、私はでかい猪に遭遇する夢にうなされたけど、まあ、この時間まだ大丈夫だろう。

明日も職探し、そして面接がんばろう。

本の話で私の大好きな「アルケミスト」のエメラルドの話を思い出した。

『五年間、彼はある川で働き、エメラルドを探して、何十万個という石を調べた。その鉱夫はあと一つ、たったもう一つの石を調べれば、エメラルドを発見するという時点で、すべてをあきらめようとしていた。彼は自分の運命を追求するためにすべてを犠牲にしていたので、老人は手を出すことにした。彼は石に身を変え、鉱夫の足元にころがった。鉱夫は五年間もみのりのない年月への怒りといらだちから、その石を拾いあげると投げつけた。しかし、力まかせに投げたために、その石が当った石が砕けた。すると、壊れた石の中に、世界中で最も美しいエメラルドが入っていた。』
~『アルケミスト』パウロ・コエーリョ 山川紘矢+山川亜希子 訳~

猪出る前に散歩散歩




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