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今、あなたに伝えたい「食事の質」

1. この記事で言いたいこと

 バランスの良い食事とは、なんでしょうか?
それは、適切なエネルギー(カロリー)と栄養素を補給できる食事、あるいは主食・主菜・副菜がそろった食事という表現で説明できそうです。
 
 食事のバランスを教育•周知するために、あるいはバランス食を達成できているかを評価・確認するためのツールとして、「食事バランスガイド」があります。そう、あのコマの形のやつです。一般的に、このバランスガイドに近い食事というのは「食事の質」が高いとみなされます。

 実際に、食事バランスガイドによる質が高い食事を食べていた人々は、低い人々に比較して、心血管疾患の死亡リスクが低くなることが質の高い研究で確認されています(Kurotani K, BMJ, 2016)。つまり、食事の質は、健康的な生活に関連するという証拠があるということですね。
 次に、私たちが関心のあることとして、食事バランスガイドによる食事の質の担保は、サクセスフル・エイジングに役立つか、いつまでも若々しく元気にいるために有用かということだと思います。

 そのような中、食事バランスガイドによる「食事の質」が高い食事を摂取している日本人ほど、フレイル(健康と要介護の中間)のリスクが低い可能性を示す論文がでました。
 一般的に、フレイルを予防するためには、たんぱく質の摂取が重要であるとされていますが、この論文では野菜、果物、乳製品など忘れがちな食品もしっかり摂取することが重要であることを示唆しています。 

 食事の質を整えることの重要性について改めて考えるよい機会と考え、この論文を紹介したいと思います。健康でいつまでも若々しくいるための食事に関心のある方への参考になれば嬉しいです。

2. 関連論文の紹介

The European journal of nutritionの新しい刊に掲載されていた論文を紹介します;「 Diet quality and physical or comprehensive frailty among older adults」written by Watanabe D, et al. Eur J Nutr 2022 Aug;61(5):2451-2462. doi: 10.1007/s00394-022-02819-w. Epub 2022 Feb 13.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35152337/

日本人高齢者における食事の質と身体的および総合的フレイル(健康と要介護の中間」の関連を調べた横断研究です。

 この研究の対象者は、条件をクリアした7,022名の65歳以上の日本人でした。対象者の食事バランスガイドによる食事の質と、身体的フレイル(身体的な虚弱状態)と総合的フレイル(身体的・精神的・社会的といった総合的な虚弱状態)に関するデータが集められました。

 その結果、食事の質が高いほど、ビタミン C、野菜、乳製品、果物の摂取量が多く、さらにこれらの栄養素・食品が高いほどフレイルのリスクが低下していました。

 食事の質の高さは、フレイルのリスクを直線的に低下させており、食事の質が高い人々は低い人々に比較して、身体的フレイルのリスクが約36%低く、総合的フレイル(身体的・精神的・社会的)のリスクが40%低くなっていました。

 野菜、果物、乳製品を意識的に摂取することの重要性が際立つ結果ですね。バランス食の力は偉大ですね。

 ただし、この研究は横断研究ですので、今後のさらなるデータ蓄積が必要です。

※この記事は、論文内容をかなり端折っていますので、興味のある方は本文にアクセスして確認されてくださいね。
さいごまでお読みいただきありがとうございました。

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