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リアルタイム血糖測定による栄養管理の時代

私にとってかなり難解な論文に出会ったこともあり、前回の投稿からずいぶんと時間が経ってしまいました。
今回は血糖管理に関する論文です。私自身は不勉強な分野ですので、これを機会に勉強していきたいと思います。

1.採血なしに血糖値を把握できる時代

近年、血をとらなくても、皮膚上に装着したセンサーに専用の測定器をかざすだけでリアルタイムの血糖値を知ることができる時代になっています。
また、この血糖測定機器は、数分または十数分間隔で自動的に血糖値を記録してくれますので、寝ている間の血糖値や、一日あるいは一定期間の血糖値の変動をグラフで把握することもできます。
このメカニズムは、皮膚の下の間質液(血管でない部分)に移動してきた糖の濃度を測定することで血糖値を把握しようとするもので、血糖値を管理すべき方々への大きな助けになっています。

このようなリアルタイムに血糖測定を機器できる代表的な機器として、アボット社から発売されている機器(FreeStyleリブレ)とテルモ社から発売されている機器(Dexcom G6 )があります。
しかし、この2つの機器を同じ人に同時装着し、約1か月間の血糖値を測定すると、無視できない測定値の差が見られ、機器によって精度が異なることが2020年に一流雑誌(Am J Clin Nutr)で報告されました。
つまり、使用する機器によって、血糖値の測定精度が異なるという懸念が指摘されたのです。

一方、今年になって、この機器の測定精度は信頼に値することを示した論文が、同じ雑誌(Am J Clin Nutr)に掲載されていましたので紹介したいと思います。

⒉ 論文の紹介

Validity of continuous glucose monitoring for categorizing glycemic responses to diet: implications for use in personalized nutrition
Am J Clin Nutr. 2022 Jun 7;115(6):1569-1576. doi: 10.1093/ajcn/nqac026.

この研究では、対象者に以下のことを依頼し、14日間の試験食を通して食後血糖値測定装置の整合性を2時間の血糖曲線下面積で評価することを目的としました。
1)アボット社から発売されている機器(FreeStyleリブレ)を2つ装着し、同じメーカーでの精度の差異を確認しました(n = 360名)。
2)また、FreeStyleリブレとテルモ社から発売されている機器(Dexcom G6 )を2つ装着し異なるメーカーでの精度の差異を確認しました(n = 34名)。

結論として、1)同じメーカー間での測定値の差異はほとんどありませんでした。2)異なるメーカー間での測定値の差異は統計学的に差がなく許容の範囲でした。 
 
食後血糖値測定装置の測定精度は高く、この機器を用いた個別化栄養指導への応用の可能性が示唆されました。

3.感想

私、実はいま、FreeStyleリブレを装着して、リアルタイムで血糖測定を行なっています。
直接血液の血糖を測ってるわけではないので10分程度のタイムラグがあるようです。
しかし、採血なしに血糖を把握できるというのはとても便利ですし、なんといっても、どのような食事を食べると、どの程度の血糖値の上昇があるのかが手に取るように分かるのは、血糖管理の有益な情報になります。
今後は、このようなハイテク機器をうまく利用した栄養指導のあり方が求められます。


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