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憧れのグラフィックデザイナーとの出会いは、デザインではなかった。

勝手な片想いのようなお話。

私の憧れのグラフィックデザイナーの1人が、原研哉さん。
でも、彼を知ったのはデザインからではなく、大学の図書館で、なんとなく手にとった本でした。

タイトルは「ポスターを盗んでください」
グラフィックを学ぶ学生としては、興味沸いちゃうじゃないですか。
青い装丁も印象的でした。

大学当時私は、キャンバストップの中古のフォードに乗っていて、私の車に乗った恩師がこの本を見て、「面白いの読んでるな〜」と言っていたのが、また懐かしい思い出。

読むと、グラフィックデザイナーのエッセイで、一番印象に残ったのは「ボツの怖さ」。「マジか…。」と言葉を失うような。
まだ、グラフィックデザイナーとしてやっていくかどうかもわからない学生でしたが、すでにボツの怖さを知る、大事なエピソードでした。

その時は、名前をさらっと覚えていたくらいでしたが、次に原さんの作品に出会ったのは、上京する日でした。
ただ、気づくのは、まだ先のことです。

今は主人となった彼と、大学卒業後一緒に上京。
やはり、デザインの仕事をするなら一度は東京へと。
その、行きの新幹線で読む本を、仙台駅の本屋でジャケ買いしました。

その本は原田宗典さんのエッセイで、上京後、南青山の事務所に勤めていた私は、彼の本を買っては、笑いを堪えながら千代田線で読みまくりました。
真面目な小説ももちろんなのですが、エッセイが面白すぎて。

そんな時、エッセイの中に、高校の同級生がデザイナーで、装丁も担当しているという文章が。
改めてデザイナーを確認したら、なんと原研哉さん!

同級生!あの日、ジャケ買いしたあの本の装丁を!
あの、大変なボツの経験をした、あのデザイナーさんが!
と、1人地味に興奮しました(笑)

それから、改めて原さんのデザイン自体にも興味を持ちました(笑)
もちろん素晴らしい作品ばかりです。
でも、文章もまた素晴らしいのです。
文章までとってもきれいで、やはりデザイナーにも必要なスキルだな、とつくづく思いました。

大学時代、リアルなデザイナーの日常を教えてくれて、あの本を装丁してくれて、原田さんの本に出会わせてくれて、今でも第一線で活躍されているデザイナーの大先輩として、本当に、勝手に、一方的に、縁を感じております。

14年経て、復刊された「ポスターを盗んでください+3」を見たら、前書きは原田宗典さんでした。それこそ、大学時代は気にも留めていなかった、彼の同級生。
なんて、仲良し。

これからも素敵なデザインと文章を生み出してくれるたびに、ファンとして触れさせていただきたいです。

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