見出し画像

困難をかかえる子どもたちを支援する山形県への提言案 生涯健康・子ども支援対策特別委員会への原案

生涯健康・子ども支援対策特別委員会「子どもに関する諸課題への提言」
 凡例:「・」=現状課題 「→」=提言

家庭
・日本版ネウボラという言葉が流行らなくなった感があるが、1人1人の親に寄り添い、問題のある親の相談に乗り、支援メニューを伝える、かゆいところに手が届く体制づくりは不可欠である。
→介護におけるケアマネのように、それぞれの親に担当の方がつくような山形版ネウボラ体制を構築すること(1人が一クラス分くらいの人数を担当するのが理想?)。同時に「親」の自覚や責任といった「親教育」を推進すること。
→ネウボラ体制の構築には相当な人件費がかかるため、国に制度創設と支援強化を要望すること。
・現在の基準では、1人あたりの所得が120万円以下だと「子どもの貧困」ということになってしまい、山形などの地方では都会に比べてどうしても貧困率は高くなってしまう。これは子育てするなら山形県にとって非常にイメージが悪い。
→単なる所得だけで判断するのではなく、可処分所得から衣食住の経費を引いた余剰の所得がいくらなのかが基準であり(持ち家か借家かでも支出が違うし、都会では地方より大きな出費となる)、この定義がしっかりしないと分析も政策構築もはじまらないので、山形独自の分析をすること。

学校
・不登校がひきこもりの原因になることも多いが、不登校には様々な原因があり、容易に解決できるものでもない。学校に登校できるのが理想ではあるだろうが、多様化を受容せねばならないこの世の中、学校そのものになじめない子を無理に登校させるよりも、登校できない子どもたちに教育を提供するのは、教育の義務である。少なくとも、学校に行けない、というだけで社会から隔絶していくようなことはあってはならない。
→タブレットが配布され、ICT教育が叫ばれる中、登校できない子どもも遠隔教育でしっかりと授業が受けられる体制をつくること。同時に、遠隔教育でも登校したのと同じように単位として扱うこと。また、公教育での体制づくりが困難なのであれば、民間で活動しているフリースクール等をもっと支援し(現状は親が経費負担をしており、運営はかなり厳しく、認知度も低い)、学校以外での居場所と教育の機会を確保すること。
・教師の多忙化や指導力不足により学校部活動は限界を迎えており、総合型地域スポーツクラブなど学校外のクラブ活動が求められるが、その運営は厳しい。
→学校外のクラブでは、親のある程度の運営費負担は必要と考えるが、所得が低い家庭では子どもが好きな活動が出来なくなるため、所得に応じた支援策を講じること。全国的にも低所得家庭に部活動の道具購入クーポンなどを出している自治体もある。
・以前に比べると私塾の数は激増しており、多くの子どもたちが塾に通う現状がある。しかし、勉強が出来ない子(あるいはスクール形式になじめない子)こそ塾に通うべきところ、勉強が不得意だと諦めてしまう、あるいは所得が低いとどうしても塾を忌避してしまい、教育の格差が貧困の連鎖を生む恐れがある。また、根本的に地域によっては子どもが少ないために塾がない地域もある。
→部活同様、低所得家庭に塾に通えるよう支援策を講じる、あるいは民業圧迫とならないよう低所得家庭向けの公営塾創設を後押しし、私塾がない地域での公営塾設置を支援すること。また、学校と塾の連携を密にし、勉強の進み具合や子どもの問題を共有した上で、個別最適な教育を構築すること。
・特別支援学校は。各地につくることを目指してはいるものの、まだまだ遠方まで送迎せねばならないケースも多々あり、送迎が親の負担になったり、送迎のために仕事が十分にできないといった場合もある。
→スクールバスなど送迎体制の構築。ただ、障がいも多様なので、スクールバスでは送迎できないなどの場合にも、民間のタクシーへの補助など送迎支援の充実。
・ICT教育の期待すべき点は、個別最適化の教育が出来ることだが、どんどん進める子どもと同時に、誰1人置いてきぼりにしない教育が大事である。一様なスクール形式の教育では、勉強に苦手意識を持ってしまうとついていけなくなってしまう。また、タブレット導入によって、ネットいじめなども懸念される。
→現状まだまだ個別最適化の教育というところまでICTを活用できていないため、ICT教育への革新をなすこと。また、子どもたちがSNSなどと関わらずに生きていくのは不可能であり、安易にアウトメディアを進めるのではなく、正しいネットの活用を教えると同時に、いじめや誹謗中傷の書き込みをしない教育を推進すること。

地域・幼保
・子ども食堂は、子どもの居場所づくりという意義も大事だろうが、本来の意義はやはり子どもたちがしっかりと食事をとれる社会をつくることだろう。
→食品工場や食品販売店などと連携しながら、子ども食堂に食材を提供したり、子ども食堂に来られなくても、欲している家庭に食材が配達される、あるいは取りに行けるような体制を構築すること。また、「朝食給食」を学校で提供し、子どもの食生活リズムを整える事業を行っている自治体もある。
・いわゆるグレーゾーンの子どもがいると保育園・幼稚園では、基準の保育士の人数では手が回らなくなってしまうが、その診断が(医師が増員するとはいえ)非常に時間がかかり、また、親も診断を嫌がるケースもある。また、若い女性の子育て世代が多い幼保の現場では、育休や急な休みが多く人員補充が不可欠だが、短期の雇用はなかなか応募がない。
→グレーゾーンの子どもの診断体制の強化と、早期発見が子どものためになることを親に啓蒙すること。また、短期的な保育士の休暇に対応するため、保育士の派遣組織を構築すること。その際、民間の派遣組織では運営が厳しくなるため、しっかりと公的機関が組織し、上記のネウボラ体制などとも併用しながら、フレキシブルに子どもに関する仕事をしてもらい、所得を確保すること。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?