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ダメ男のダメダメデザイン学1

さて、ダメ男ことアタシはかれこれ20年近くインターネット上に駄文を書いてきたのですが、今の今までまったくやってなかったことがあります。

それはTipsというヤツです。

つまり、何らかの、誰かのお役立ちになるような内容を一切書いたことがない。
これは自信のなさの表れでもあります。アタシ如きがエラソーに、何か他人さんにたいしてレクチャーめいたことを出来ることなど、あるわけねーじゃねーか、という。
それでもね、アタシもいいオッサンなんだから、何かしら、人の役に立ちたいというか、もしこんな駄文を読んでタメになったと思っていただけるのであれば、やってもいいのではないか?と思ったわけです。

では具体的に何をやるか、となると、もうひとつしかない。
曲がりなりにもグラフィックデザイナーなんてことをやってきたので、んで、一応アートもやっていたので、やるとなれば、もうそういうことしかない。
いかりや長介の著書の模擬をするなら

私は元来、こういう種類の文章を残すほどの人間ではない。
いまだに四流のグラフィックデザイナー、四流のアーティストにすぎない。
卑下でも何でもなく、それ以上であったことはない。

ということになります。
ま、世間的に認められていたいかりや長介とダメ男を一緒にすること自体狂ってるんだけど、ま、やるだけやってみます。

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自慢ではありませんが、アタシは一度たりとも、デザインについて誰かに習ったことがありません。すべて我流です。
一応は芸術系の大学に行ってたけど、デザインとはまったく関係ない学科だったし、専門学校やカルチャースクールに行ったこともなければ、教則本のようなものでさえほとんど読んだことがない。
アタシの場合、いきなり、会社の要請で、何もわからないまま実戦投入されたのです。
だからすべてのことは実戦の中で覚えた。言い方を変えれば実戦で役立つことだけを覚え、実戦では使えないことは何も知らない、ということになります。

何が言いたいのかというと、アタシはデザインにかんしての理論をまったく知らないのです。
いや理屈を知ってた方が良い物が作れるかというと、それはまったく別問題なんだけど、他人さんに説明する時に困る。当然自分なりの理屈もセオリーもあるのですが、それがどれほど一般的に通用するものなのかがわからないのです。

だからこれから書くことはデザインの学校で教えてもらえるようなこととは真逆かもしれないし、幼稚な理屈かもしれない。でも、少なくともアタシはこれでやってきたわけで、ま、こういう話もあるよ、くらいでお聞きください。

アタシにとってデザインとは「商品を作ること」と同意です。言い方を変えれば物を売るためだったり、人を招くためのモノだったり、最終的には絶対に金銭が絡むもの、と言えばいいか。
当然そこには「自分の好きなデザインや作風」なんか持ち出してはいけない。あくまでクライアント重視、エンドユーザー重視でないとデザインなんて作れないと思っているのです。

アタシはね、ここがわかっているかどうかが一番重要だとずっと思っている。というのは過剰に「デザイン=クリエイティブなもの」と思ってデザイナーを志す若い人を何人も見てきたからなんです。
はっきりいいましょう。もし、デザインを自己表現だと思っているのなら、その人はデザイナーには向いていない。自己表現はアートでやってください。

もうひとつ、デザイナーに必要なのはセンスだと言われます。
この<センス>というものを勘違いしている人もいっぱい見てきた。センスがある、とか、センスがない、とか言いますが、センスはあるないではない。吸収したかしてないかだけです。
センスを日本語にすれば「感覚」になるのですが、アタシは手塚治虫の言う通り、「時代感覚」と訳したい
今、どういうものが求められているか、それを肌で吸収すれば、その人は時代感覚がある=センスがある、ということになる。
逆に言えばいくら鋭い感覚の持ち主でも時代感覚を理解しようともしなければ、その人はあっと言う間に「センスがない人」に落ちぶれる。

別の言い方をしましょう。
デザインは自己表現の手段でも、センスを見せつけるものでもないのです。
そんなことより、どれだけクライアントやエンドユーザーの意向を汲み取ることが出来るか、そして、たゆまなく<今の空気>を吸収し続けることが出来るかがすべてなんです。
もちろんこれらに加えて最低限のテクニックは必要です。DTPならばAdobeのソフトを使えるか、など。

ここで思い出していただきたい。
アタシはすべて我流で覚えた人間です。当然Adobeのソフトは使えますが、すべての機能を高次元で使えるかというと使えない。使えるのは「実戦で役に立つテクニック」だけです。
さらにアタシは恥ずかしい話、まるで絵が描けない人間なんです。絵が描けないデザイナーなんてお笑い草かもしれないけど、では絵が描けなくて困ったことがあるのか、というと、実はないんですよ。

というかむしろ、ハンパに描けなくて良かったと思ってるくらいなんです。
そりゃあね、どんなタッチであろうが高次元で描けますってならいいですよ。でもたいてい、イラストが得意です、なんて人でも得意なタッチはひとつふたつあればいい方で、ではそんな数少ないタッチが必要な要望がクライアントから来るかというと、まず来ない。
ならば最初から描けなくてもたいして問題にはならない。
イラストが必要なら、クライアントの要望に沿う絵が描けるイラストレーターに頼む。そっちの方がはるかに良い物が出来ます。
いや、もし、どんなタッチでも高次元で描けます!なんて人がいたら、デザイナーなんかやらずにイラストレーターになった方が絶対に儲かります。

・自己表現の手段としてデザインをやる
・<センス>なんていう曖昧模糊としたものでデザイナーに向いているかどうか決めようとする
・Adobeソフトの全機能を完璧に使えるようになろうとする
・イラストが描けるように訓練する

もし、本気でグラフィックデザイナーになりたい人で、こんなことをやっている若い人がいれば、即刻止めた方がいい。
いやデザイナーを志すことを止めろってんじゃない。そんなモノサシは実戦ではクソほども役には立たないので、ソコを頑張っても意味がないよ、と言いたいのです。
もちろん出来るに越したことはないとは思うんです。でも優先順位が違う。これらのことを習得する前に、もしデザイナーになるつもりなら、やらなきゃいけないことが山のようにある。

たぶんこのシリーズは月イチくらいになる予定なので気長に待っていただきたいのですが、次回からより具体的に、アタシが思うデザイン論を書いていきますが、よろしければ継続して読んでください。さらばじゃ!