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北海道の気象レーダー(2)、毛無山

(1)からのつづきです。

最初に訪れた気象レーダーサイトは毛無山(けなしやま)。2018年、夏のことです。

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▲ 毛無山気象レーダー観測所の位置(地理院地図に加筆)

気象庁のレーダーで札幌にいちばん近い「毛無山気象レーダー観測所」は、小樽市にあります。小樽から国道393号線の急坂を登ってつづら折りが終わったころ、正面の山上にNTTドコモの鉄塔と並んで丸いレドーム(レーダーアンテナの覆い)が載った細長い建物が見えてきました。

さらに進むと右手に駐車スペースがあり、そこが登り口(標高約580m)です。舗装路ですがゲートが閉まっているので徒歩でレーダーサイトを目指します。標高差約120m、距離約1kmなのでさほど時間はかかりません。

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▲ 毛無山気象レーダー

坂を登りきったころ、正面に球形のレドームが見えてきました。

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▲ 毛無山気象レーダー局舎

建物には「札幌管区気象台 毛無山気象レーダー観測所」のプレートがありました。ここがレーダーサイトだ!

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▲ 毛無山気象レーダー

ずいぶん背が高いゾ! 山の上なのにこの高さ? 気象庁webサイトの情報では、

・アンテナの海抜高度:749.0 m
・地上からの高さ:49.0 m

となっています。つまり、標高700メートルの山上というだけでは高さが足りず、アンテナを49メートル高く上げたことになります。アンテナを高くすると建築費用だってかさむし、本当は避けたいはずなのに…。

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▲ 高さのイメージ

地図を見てその理由が分かりました(推測ですが…)。標高700メートルのレーダーサイト南西側に標高750メートル以上(ピークは762メートル)の山があります。この山の影になる南西方向が気象レーダーに映らなくなってしまうことを避けるため、アンテナを高くしたのでしょう。

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▲ 気象レーダー隣りの無線施設

それなら山頂に設置すればいいのに…と考えますが、敷地や道路の造成や積雪期のアクセス、環境問題など、検討すべき点が多いことが想像できます。すぐ隣りにNTTドコモの鉄塔や小樽建設管理部の無線中継局などがある現在の位置で、アンテナを高く上げる手法に落ち着いたのでしょう。

ちなみに、地上高49メートルというのは、全国に20基ある気象庁の気象レーダーのうち、高い順に4番目です。(60.3m → 55.0m → 49.8m → 49.0m …)

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▲ 国道脇の駐車スペース

駐車場に戻ると、片隅に百葉箱があることに気付きました。

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▲ 百葉箱

中を覗くと、気温24.8℃と表示されたデジタル温度計が入っていました。気象庁のじゃなさそうですが、積雪深も測ってる?

進入道路でヘビが日向ぼっこしていた好天の夏の一日でした。次は、昆布森気象レーダーを紹介する予定です。

※ 写真はいずれも、2018年8月2日、やぶ悟空撮影

北海道の気象レーダー(1)

北海道の気象レーダー(3)、昆布森
北海道の気象レーダー(4)、横津岳
北海道の気象レーダー(5)、新千歳
北海道の気象レーダー(6)、北広島
北海道の気象レーダー(7)、石狩
北海道の気象レーダー(8)、函岳
北海道の気象レーダー(9)、乙部岳


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