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PPP的関心【「道の駅」第3ステージの話】

今回はニュース記事で見かけた「道の駅」についてです。
いつの間にか当たり前に存在を知っていて、そして普通に使うようになった「道の駅」。調べてみると施設を整備、登録して「道の駅」と名乗り利用を開始する制度は、社会実験(1991(平成3)年)開始、その後運用され始めてはや四半世紀以上が経つのだそうです。
30年も経てば、世の中の環境も変わるし社会の要請も変わるのはある意味で真っ当なことだと思います。
今回は、道の駅とは元々はどんなもので、どこに向かおうとしているのかについてごくごく簡単に調べた内容を自分へのメモ的にまとめてみました。

記事。千葉の道の駅の「挑戦」

#日経COMEMO   #NIKKEI

■千葉県内の道の駅が、特産品の販売や地元のPRといった従来の役割に加え、多様な取り組みを進めている。
■これまでは観光客の利用が大半だった道の駅だが、施設を拠点に移住希望者や企業を呼び込む動きが広がる。
■町ににぎわいをつくる拠点となることを見据え、大幅な機能強化に乗り出す動きも出てきた。

日本経済新聞 2022年2月28日、3月1日記事より抜粋

つまり、従来の「道路利用者への安全で快適な道路交通環境の提供」「地域の振興や安全の確保に寄与」という施設の目的(国土交通省ホームページ)や機能を進化・変革させて地域の「産業振興、人材を呼び込む地域活性化」の拠点としてゆくというものです。

そもそも「道の駅」って

ところで。そもそも「道の駅」の目的と機能は、国土交通省のホームページによれば、令和4年2月時点で全国1,194箇所が登録されている施設です。
市町村又はそれに代わり得る公的な団体が設置、市町村長からの登録申請により国土交通省に登録されてはじめて「道の駅」と名乗ることができます。
施設整備の方法には、道路管理者と市町村長等で整備するやり方(一体型)と市町村が全て整備を行うやり方(単独型)があります。

施設の設置目的
◯道路利用者への安全で快適な道路交通環境の提供
◯地域の振興や安全の確保に寄与

施設の機能
◯休憩機能:利用者が無料で24時間利用できる駐車場とトイレ
①十分な容量を持った駐車場、②清潔なトイレ(原則、洋式)、③子育て応援施設(ベビーコーナー等)
◯情報発信機能:道路及び地域に関する情報を提供(道路情報、地域の観光情報、緊急医療情報等)
◯地域連携機能:文化教養施設、観光レクリエーション施設などの地域振興施設

一般的な道の駅のイメージ

「道の駅」の経営状態はどうなっている?

冒頭の記事にような新たな目的のための追加的な機能を付加するにあたっては、施設や設備の増設や更新の必要も出てくるかもしれません。仮に施設や設備の追加投資や更新を行うとすれば、現時点の収支上の余力や追加投資による収益増加の期待が持てる(相当と思える事業計画がある)ことが必要だと思いました。

さっと探してみただけなので無いと断言できませんが、1194施設全体の収支や集客状況が「一覧でわかる」ものには簡単に出会えませんでした。
しかし、部分的に、例えば『「道の駅」の運営・管理等に関する調査(総務省北海道管区行政評価局,平成31年3月)』とか、(少し古いですが)リンクの記事のような情報から察するに「好不調の幅が広い」ということは想像がつきます。

「道の駅」第3ステージ

全ての既存施設が追加投資を実行可能かは不明(多分できるところとできないところがあるのだろうな、と思います)ですが、冒頭の記事にあるような施設の目的や機能の進化・変革について国土交通省のHPには【「道の駅」第3ステージ】として以下のように書かれています。

「道の駅」は、制度発足から『通過する道路利用者のサービス提供の場』として、全国各地に広がりました。
各「道の駅」における自由な発想と地元の熱意の下で、観光や防災など更なる地方創生に向けた取り組みを、官民の力を合わせて加速します。
更に、「道の駅」同士や民間企業、道路関係団体等との繋がりを面的に広げることによって、元気に稼ぐ地域経営の拠点として力を高めるとともに、新たな魅力を持つ地域づくりに貢献します。
■「2025年」に目指す3つの姿
1.「道の駅」を世界ブランド
2.新「防災道の駅」が全国の安心拠点
3.あらゆる世代が活躍する舞台となる地域センター

国土交通省ホームページ  道の駅案内 より

これを読むと、記事にあった千葉県内の道の駅の取り組み方針も「2025年にめざす3つの姿」に沿っているものだと分かります。
ちなみに。第3ステージの「第3」とは
第1ステージ:通過する道路利用者の サービス提供の場
第 2 ステージ:道の駅自体が目的地
というステージの「3段階目」を指すのだそうです。
随分詰め込みすぎな印象もある第3ステージの「3つの姿」ですが、外来者を呼び込む、外来者のための施設から地域のための施設へというターゲットの追加・変更はいずれにしても大きな変更だと思いました。

施設のユーザーターゲットの変更は「誰に・何を・いくらで」提供する商売のうち「誰に」を変えることですから、おおげさに言えば商売自体を変えるくらいのインパクトがあります。

世界ブランド構想では、例えば既存施設の経営を効果的に行えていない(=第2ステージにも立っていない、期待収益に届いていない)運営主体はその変更も必要になるような取り組みかもしれません(・・・そう思うと簡単に進まないかもしれませんね)。
地域センター構想は、施設をどのような場にするか次第ですが、少なくとも当初はコストセンター的な機能の追加になるのではないかと想像します。
とすれば、世界ブランド構想と同じく既存施設の効果的(期待収益を上回るとか、新たな地域人材をうまく地域に挿入できるハブになれるとか…)運営ができる運営主体を取り込むことが重要になってくると思います。

一方で、"防災"道の駅構想は、防災=「公共財的サービス」の追加ですから地域のレジリエンス強化に向けて自治体が主体で進める話だと思います。
(ただし、施設の維持管理費や人件費・時間コストを含めた費用が増加する分をどう担保するかの配慮は必須ですが…)
運営主体の話とは関係ない点で、(なんの根拠もありませんが)もしかすると第3ステージの一番の目的はここにあるのかもしれないなぁ、などと思いました。

せっかく整備したインフラを活かす

いろいろ書きましたが、「できないよ、きっと」ということを言いたいわけではなく、全国で1200か所弱ものインフラをせっかく整備してきわけですし「2025年にめざす3つの姿」も地域にとって重要テーマ(優先順位はあるとは思いますが)だとも思います。
3つの姿を体現する「道の駅」が増えることを期待したいところです。

おまけ。道の駅の「総合ランキング」

おまけです。
こんな情報を見つけました。食事ランキングとかスイーツランキングとか・・・気になりました。いつか行ってみたいと思います。


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