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アリスとテレスのまぼろし工場を見てくださいというお願い

見ました。とても良かったです。

以下ファイナルPVで公開されてる内容にのみ触れてるあらすじ。

話としては所謂セカイ系。
時が止まってしまった世界で、世界が元に戻るときを信じて変化することを捨てた人々。変わらないよう、変わらないようにと毎日、今の自分を忘れないために自己を書き示しておく。
しかし思春期の少年たちはどこかで変わることを望んでいる。それは将来の夢であり、退屈を紛らわすための自傷行為であり、人に恋をすること。少年たちは遂に変化の一歩を踏み出してしまう。
だがそれは大きな心の傷を伴った。恋は必ず実るわけじゃない。見世物にされた失恋の傷は『消えてしまいたい』と思うほど深く、世界はそれに呼応するように亀裂が走る。
人はこの世界で変化してはいけない。それには痛みが伴うから。痛みが限界を迎えたとき、世界も共に傷ついてしまうから。

あらすじ終わり

何が良かったかと言おうとすると結構難しい映画だとは思う。
ストーリー、世界観、キャストの演技、作画……。
いいところを挙げればキリがないし、同じように粗も目立つ作品ではあった。相当賛否両論を生む作品だろう。私はこの映画を友人と見に行ったが、友人は100点中50点と言っていたし、そういった評価になるのも理解できなくはない。
この映画では登場人物の人間としての生臭さが随所に描かれており、だがそれを真っ向から否定するのではなく、悪臭ひっくるめて人間らしさとしている。その人間の生臭さを受け入れることが出来るか、というのはこの作品を楽しめるかどうかの境の一つなのではと考える。

それでも私はこの作品を多くの人に見て欲しい。
この作品は多くの人に手放しで絶賛されるような作品ではない。
だが確かな魅力があり、そこには汚い、気持ち悪い部分をひっくるめた美しい人間がいる。
中学生のガキは下らない下ネタを言う。嫌いな人の物を取る。
どいつもこいつも年中発情期で、人を好きにならずにはいられない。
勝手に好きになって勝手に傷つく。
自分の大切な物を守るためなら人を傷つけることも厭わない。
それでも「うるせー!死ね!」と言いながら未来に向かって突き進む。
そんな人間たちを、この作品は肯定してくれる。

もしかしたらこの作品は、あなたにとって素晴らしい物にはならないかもしれない。
だけどそれは、限りなく美しい毒で、限りなく汚染された薬だ。
きっとあなたの心をどちらかに動かしてくれる。
私はその声を聞きたい。賛否両論いいじゃない、この作品に対する思いを聞いて人間を感じたい。

アリスとテレスのまぼろし工場
絶賛上映中。
絶対に見ろ。


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