味気のある非・ロマンチック

私は、才能を根こそぎ抜かれてとことんスケールを縮められて女性の姿に転生した太宰治であるから、こんなかんじでも、仕方ない。

そのように思い込むことで、ここまで確りとした罪悪感を抱きながらも些末な悪事をせっせと重ねつづけ、大袈裟に悲しげな顔して、生きててごめんなさい等とうっかりのたまってしまうことに対して、ようやく合点がいくといふものだ。

コミュニケーションは、画一化すべきでない。というか、出来ない。

一対一を都度、やっていく。
同じ回はない。

基本的に他人への興味が薄い、とはいえ湧き出る欲のようなもの、それを小分けにして多方へ・静かに・じわじわと放出させる術を持っている人って、とってもイイ感じだ。

イイ感じの人とのコミュニケーションは、そりゃもう気持ちの良いものだ(気さえ、合えば)。

イイ感じの人は必ずしも「感じの良い人」という訳ではないので、プライベートの付き合いにおいては、他人に対して不用意に媚びたりしない。

●イイ感じの≠感じの良い
ex.みうらじゅんのことはイイ感じのおじさんだなと思うけれども、感じの良いおじさんかどうかは判断しかねる。もしかしたらイイ感じなだけではなく感じも良いのかもしれないが。知り合いじゃないから分からない。

違うんだよね、これ

もしかしたら、自分やその場のイイ感じを保つために相手に媚びることはあるかもしれない。

しかし、決して不用意には媚びない。褒めない。

そんなスタンスの、イイ感じの人からはお世辞抜きの意見がもらえたりするから、有り難かったりする。無駄な機能が一切搭載されていない、客観視の双眼鏡。

私はモノの大きさや距離、空間を把握する能力が欠けているので、自分の身体の一部の形状や、そのサイズ感すら、掴みきれていないことがある(かなり、注目しているにもかかわらず)。

そこでイイ感じの人、その人にとっても都合が良いであろう折に、訊ねてみた。やはり、得た回答は喉越しよく、するんと腑に落ちるものであった。

(こんなふうに堅苦しく丁寧に書き繕っているが、ここではそう、おっぱいの有無の話をしている。例え話です)

平均より低い私の、高いその人の、身長の話をしたあとで

「背が低いからといって(女性のことを)可愛いと思ったことはない」
「背が高いからって別に得することはない」

と、へなへなした空気をまといながら、通らない声で、しかしきちんと断じる姿には頼もしさしか感じられなかった。

へなへなしながらハッキリする人

ダサくもなく、かっこよくもなく、ずるくもなく、ただ気色が良いなぁと思う。

待ち合わせのときに宙に浮いていたのも、良かった。

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