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甘えるワンコ。

 今日は朝からやっかいな会議で、事前準備がしたかった。
 いつもより早く、家を出ることにした。

 手早く身支度をすませ、玄関に向かう。

「もう出かけちゃうの? 今日は早いね……」

 寝ぼけ顔ながら寂しそうに見送るワンコ。無理もない。
 一時間ほど前は、ぬくぬくとしたベッドでいっしょに寝ていたのだ。気持ちはわかる。出来ればもう少しゴロゴロしていたいけど、そうはいかない。
 後ろ髪ひかれる思いで外に出て、最寄り駅に向かう。

 まだ静かな事務所に出勤。会議、商談、事務処理、提案書作り、業務報告……あっと言う間に日は暮れて、人通りもまばらなオフィス街を通り抜けて最寄り駅に向かう。
 昼休みにペットカメラを覗いたら、在宅勤務でパソコンに向かう妻のそばでふて寝したことを思い出してマスクの下でニンマリする。

 帰宅したら、襲われるんじゃないかという勢いで熱烈歓迎。
 持ち帰って考えたい事案があって、すぐ自室の机に向かうと悲痛な鳴き声が部屋のドアから聴こえてくる。

「すっごく待ってたんだよ、遊んでよ〜」

 ダッシュで自室に侵入したワンコ。充分な助走をつけてジャンプ。座った私の膝に飛び乗って、甘えまくる。
 机のメモはワンコがはしゃぎすぎてバラバラだ。早く回収しないと、オモチャ代わりにビリビリと破かれてしまうのだ。
 以前、ちょっと目を離したスキにワンコが持っていってしまったことがあった。咥えた紙を取り返すべくワンコに近づいたけど、楽しそうに紙をちぎっているのをみたら、怒れなくなってしまった。

 妻に聞いたら、本当に忙しい時はイタズラしないらしい。
 私達も日常がある。ワンコばかり相手はできない。でも、構ってほしくて、見てほしくてイタズラしちゃうのだ、と思いを馳せると、なんだか愛おしくなってくる。

 改めて我が家のワンコについては書くつもりだが、はしゃぎすぎて暴れるワンコのいる生活、それはそれで幸せなんだと思う。

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