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ドラマシナリオ⑫ 蒔・あんず・実里①

■あらすじ■

 作品テーマは「姉妹」。双子ながら全くタイプの違う女子高生、まき実里みのりのバイト騒動を描く。田畑蒔と実里は同じ学校に通う双子の姉妹。剣道に真面目に取り組む蒔とは反対にバイト三昧のお気楽な妹・実里。ある日、蒔は実里から「お願いごと」をされるが……

■この作品について■

 数年前に受講していたシナリオ講座で書いた習作です。この講座は提出ごとに課題が決まっており、テーマと書きたい事をミックスしながら書いておりました。もともとの作品はアナログチックに原稿用紙に手書きのスタイルです。分量は400字原稿用紙10枚程度。今回noteにするにあたり、書き起こしながら加筆と修正を加えていますので、分量は多くなるかもしれません。ご了承ください。

 本作品の著作権は私に帰属します。もし、作品を気に入ってお使いになりたい場合はコメントなどでご連絡ください。公序良俗に反しない限りは二次創作も大歓迎です。全文読めますが、記事の最後にサポート部分を設定しています。投げ銭していただけたら嬉しいです。

■人物■

 田畑蒔たばた まき(17) 清颯せいさ高校2年
 田畑実里たばた みのり(17) 蒔の妹
 牧村大地(17) 蒔の恋人
 らいむ(23)     カフェ店員
 前島憲司(50) カフェ店長
 新井俊一(42) 会社員
 剣道部顧問
 剣道部員A

■シナリオ本編■

◯清颯高校・剣道場(夕方)

『清颯高等学校 剣道場』と筆文字で書かれた看板が掛かっている入り口。看板の隣には『初心者大歓迎!! 剣道部 部員募集!!』とポップ体で書かれたポスターが貼られている。剣道場では防具姿の田畑蒔たばたまき(17)、牧村大地(17)を始めとした剣道部員十数名が回り稽古(対人稽古)をしながら発する気合の声が響いている。ピピピ、とキッチンタイマーの音がなる。
道着姿の剣道部顧問が右手を上げる。

顧問「はいそこまでっ。一人回って。ラスト一人、はじめっ!!」

部員達が相手を変えて向かい合う。肩で息をする蒔の前に部員が立つ。部員の胴の下の大垂おおだれに『牧村』の刺繍。

「(小声で)あらま、最後の相手が大地か……」

蒔と牧村、互いに礼をして、竹刀を構える。
時計は16時15分を指している。

「こりゃハードだなぁ……」

顧問「はじめっ」

剣道部顧問が上げた右手を下げる。一斉に動き出す剣道部員たち。
激しく打ち合う蒔と牧村。
入り口から剣道場を覗き込む制服姿の田畑実里たばた みのり(17)。
竹刀を片付けていた剣道部員Aが実里を見て驚く。

剣道部員A「すみません、まだ稽古中……わ、田畑先輩がもうひとり?」

苦笑しながらペコリとお辞儀する実里。

実里「こんにちは。私、その先輩の妹でぇす。ちょっと姉に用事があるんですけど、こっちで待ってていい?」

剣道部員A、頷いて実里を促しながら背後を振り返る。牧村と激しく打ち合う蒔だが、圧力かけながら前に出る牧村にジリジリと後退する。
剣道部員Aに促された場所に、スカートをふわりとさせながら座る実里。剣道部員Aと実里、視線が合う。ニコリと笑う実里。顔を真っ赤にしてお辞儀して向きを変える剣道部員A。
蒔、ステップしながら体制を変え、牧村の打撃を竹刀で受け流す。牧村、面打ちを連発して圧力をかける。大きくバックステップして間合いを取る蒔。

「引っかかった!!! そこっ!!」

大きく振り下ろした牧村の竹刀を横にステップして避け、身体を回転させて払うように胴打ちする蒔。スパーンと乾いた音が響き、少し遅れてキッチンタイマーの音が剣道場に響く。


◯同・入り口(夕方)

制服やジャージ姿の生徒がぞろぞろと出てくる。
生徒たちと腕時計を見比べてうなずく実里。入り口から中を覗き込む。

実里「蒔姉……まきちゃーん、やっほー」

面を抱えて振り返る道着姿の蒔。実里をひと目見て眉をひそめる。蒔の表情をスルーしてニコニコ顔を手をふる実里。


◯清颯高校・駐輪場(夕方)

同じ制服姿の蒔と実里が向かい合っている。
蒔を拝む実里。困った表情の蒔。

実里「蒔姉、お願い、今回だけ変わって!!」

「あんたねぇ、そうやって何回変わってやってるのよ」

実里「何さ、蒔姉だって、こないだの補修、代わりに出てやったじゃん」

「あ、あれはね……」

制服姿の牧村が自転車を押しながら二人に近づく。

牧村「蒔ぃ、腹減ったからいつものファミレス行こうよ……あ、実里ちゃん、どうしたの」

実里「大地くん、ごめん、蒔姉貸りるね」

目を見開いて実里を見る牧村。怪訝な表情で蒔に振り返る。

「……大地、ごめん。今日は実里のバイトに代打で出ることになっちゃったよ……埋め合わせするから、今日は……ごめん」

苦渋の表情で牧村を拝む蒔。

(続く)

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